ここで出来上がり紹介をしておきましょう。
まずクロージングから。
スーツとジャケット
フォーマルを作ろう!!に乗っていただいた、Sさんの略礼服。
生地はおなじみ葛利のカシミア5%混の定番素材、一体これまでに何着作ってきたことか。
いい意味で季節感がなく、そして何より黒の発色がいいんです。
せっかくだからちゃんと作りましょ、ということで、
ピークドラペル、ノーステッチ、ノーベント、両玉縁ポケ、拝みボタン、
ただ組下トラウザーズはベルトループ付きにしています。
Yさんからジャケット2着のオーダー。
まずはサックスブルーのマイクロハウンドトゥース。極小の千鳥格子だから万鳥とでも言うんでしょうか。どっかで見たことある、と思った方、はい、正解、私とお揃いです。
私の着ているジャケットを見て、それいいね、ということで、お作りしました。
この生地、実はスーツ生地のバンチにありまして、英ハリソンズの夏物Mystiqueからの一色です。
もう一着は、伊ロロ・ピアーナ、バラケからのチョイス、ウール、シルク、リネン、の3者混、
青みがかった杢グレーのベースに2×3インチのブロックチェックです。いつ見てもアルデックスの柄合わせはうまいですね。
Fさんの紺ジャケ。カノニコのウールメッシュ。この生地も夏のおなじみ素材です。
やや屈身があるぐらいでそれほど難しいご体格ではないのですが、
ディテールへの指示が細かくて、気を使いました。
内ポケットには右だけでなく左にも三角フタを付けて、
脇ポケには右のように左にも忍びポケ(切符入れ)を付けて、
衿穴は手かがりで、センターベントの重なりは1cm深くして、
と、初めて受ける修正もありましたが、SavileRowClubのラベルを付けるからには
間違いは許されません。アルデックスさん、すべてかなえていただき感謝です。
Sさん、フォーマルと同時にご注文いただきました、英ハリソンズのSeaShellモカブラウン色。
今シーズンキャンペーンを張りました、シワにならない麻、です。
綿パンを作ろう!!、で、その1は、Iさんから、紺のチノパンを洗って履きたい、というご要望で、
仕上がった後に一度水洗いをして縮ませてから裾上げをしています。
綿パンを作ろう!!、その2はSさんのサイド尾錠つきベルトレス。
生地はサマーツイル綿100%のサックスブルー。
左ピスポケなし、裾ダブル4.5cm,も、Sさんのシンボルディテールですね。
綿パンを作ろう!!その3は、Aさんのオリーブグリーンのストレッチポプリン。
4月に受けたご注文が3ヶ月かかってしまいました。
最初につまづいたのが、バラケから選んだ生地の要尺不足。バラケだから生地追加は不可能かと諦めかけていたのですが、なんとかハギレのような数10cmを探してもらって、制作継続。
ところが最終工程で工場がミシン操作を誤っておしりのポケットの付近にミシンの針を刺してしまうというミス。ウール素材ならスチームでカバーできる程度のミシン穴ですが、綿素材なので隠しきれない、それでもなんとかしようと、水蒸気をかけたり熱を加えたり、それが更に状態を悪くして、もう修復不能に。こりゃ生地を最初から選び直して作り直すしかないと、Aさんに連絡すると、体調を崩して入院中とのこと。退院後にもう一度ご来店いただいて新たに色違いをチョイス。急いで仕上げてようやく出来上がったのがこの一本。大変お待たせしてしまって、Aさん、すいませんでした。
リンクルフリー・フェアでのシャツ。
高校3年間は一つ上の厳しい先輩、なのに大学4年間は楽しい同期、のテニス仲間、Kさんから、夏恒例の半袖二枚のご注文。さん付けなのにタメ口、は、この7年の因果です。
続いて白2枚はIさん。上はピンOXでニューセミワイド、下はツイルでドレスBD。前立のステッチ、背中のプリーツに違いを付けています。
薄いラベンダー色のワッフル素材は、製薬会社お勤めのKさん。転勤の多いKさんですが、帰省のたびに時間を見つけてご来店いただいてます。やや開き気味のBDは、この頃増えているNewセミワイドBD版です。
長年の顧客のNさんとご結婚されたMさん、オケでホルンを奏でるそうで、
動きやすく、ニット素材で七分袖のシャツです。レディスらしく、カッタウェイラウンドの衿で、梅花のボタンを付けました。
Yさんご夫妻からリバティプリントの半袖3枚。
左はメンズ、かのウィリアム・モリスのいちご泥棒。綿ローンの素材なので、裏前立&ホリゾンタルワイドで。
中央、メンズのリネンのプリント。植物図鑑のような色柄で白地なので、レインスプーナーっぽく、アメリカンなNewショートレギュラーという新しい衿を付けまして、前立もしっかりとステッチの効いた表前立てに。
右はレディス。リネンの色違いです。色違いのペアルックで、夏はどこにお出かけでしょうか。
同じくYさんから、お仕事用の3枚。変わらぬサイズ、変わらぬカタチ、で、
左の2枚はカリビアンコットンSilver100/2Gのオックスフォード。濃いブルーと白。
ピンクだけは濃い色にしたくてグレードを上げてGold120/2GのOXをチョイスしました。
メンズのように見えますが、ショートラウンドの衿、梅花のボタン、細い前立、で、レディスとわかります。Kさんのご注文。
生地も綿100に見えますが、リネン混、しかもカリビアンコットンGold120/2Gとのブレンド。
これは絶対に着心地がいいはず。
これで夏を乗り切りましょう。
と、まずはここで一区切り、です。シャツはこの後、エコノミー・サービスへと続きます。
続いて、別稿で、カシミアセーターの仕上がり、さらに値上げ前の駆け込みがありました靴の仕上がりをご紹介します。