出来上がり紹介(クロージング編)。スーツ、ジャケット、トラウザーズ、シャツ。2024夏の仕上がり品の数々です。

ここで出来上がり紹介をしておきましょう。
まずクロージングから。

スーツとジャケット

フォーマルを作ろう!!に乗っていただいた、Sさんの略礼服。
生地はおなじみ葛利のカシミア5%混の定番素材、一体これまでに何着作ってきたことか。
いい意味で季節感がなく、そして何より黒の発色がいいんです。
せっかくだからちゃんと作りましょ、ということで、
ピークドラペル、ノーステッチ、ノーベント、両玉縁ポケ、拝みボタン、
ただ組下トラウザーズはベルトループ付きにしています。

Yさんからジャケット2着のオーダー。
まずはサックスブルーのマイクロハウンドトゥース。極小の千鳥格子だから万鳥とでも言うんでしょうか。どっかで見たことある、と思った方、はい、正解、私とお揃いです。
私の着ているジャケットを見て、それいいね、ということで、お作りしました。
この生地、実はスーツ生地のバンチにありまして、英ハリソンズの夏物Mystiqueからの一色です。
もう一着は、伊ロロ・ピアーナ、バラケからのチョイス、ウール、シルク、リネン、の3者混、
青みがかった杢グレーのベースに2×3インチのブロックチェックです。いつ見てもアルデックスの柄合わせはうまいですね。



Fさんの紺ジャケ。カノニコのウールメッシュ。この生地も夏のおなじみ素材です。
やや屈身があるぐらいでそれほど難しいご体格ではないのですが、
ディテールへの指示が細かくて、気を使いました。
内ポケットには右だけでなく左にも三角フタを付けて、
脇ポケには右のように左にも忍びポケ(切符入れ)を付けて、
衿穴は手かがりで、センターベントの重なりは1cm深くして、
と、初めて受ける修正もありましたが、SavileRowClubのラベルを付けるからには
間違いは許されません。アルデックスさん、すべてかなえていただき感謝です。


Sさん、フォーマルと同時にご注文いただきました、英ハリソンズのSeaShellモカブラウン色。
今シーズンキャンペーンを張りました、シワにならない麻、です。



綿パンを作ろう!!、で、その1は、Iさんから、紺のチノパンを洗って履きたい、というご要望で、
仕上がった後に一度水洗いをして縮ませてから裾上げをしています。


綿パンを作ろう!!、その2はSさんのサイド尾錠つきベルトレス。
生地はサマーツイル綿100%のサックスブルー。
左ピスポケなし、裾ダブル4.5cm,も、Sさんのシンボルディテールですね。


綿パンを作ろう!!その3は、Aさんのオリーブグリーンのストレッチポプリン。
4月に受けたご注文が3ヶ月かかってしまいました。
最初につまづいたのが、バラケから選んだ生地の要尺不足。バラケだから生地追加は不可能かと諦めかけていたのですが、なんとかハギレのような数10cmを探してもらって、制作継続。
ところが最終工程で工場がミシン操作を誤っておしりのポケットの付近にミシンの針を刺してしまうというミス。ウール素材ならスチームでカバーできる程度のミシン穴ですが、綿素材なので隠しきれない、それでもなんとかしようと、水蒸気をかけたり熱を加えたり、それが更に状態を悪くして、もう修復不能に。こりゃ生地を最初から選び直して作り直すしかないと、Aさんに連絡すると、体調を崩して入院中とのこと。退院後にもう一度ご来店いただいて新たに色違いをチョイス。急いで仕上げてようやく出来上がったのがこの一本。大変お待たせしてしまって、Aさん、すいませんでした。



リンクルフリー・フェアでのシャツ。
高校3年間は一つ上の厳しい先輩、なのに大学4年間は楽しい同期、のテニス仲間、Kさんから、夏恒例の半袖二枚のご注文。さん付けなのにタメ口、は、この7年の因果です。
続いて白2枚はIさん。上はピンOXでニューセミワイド、下はツイルでドレスBD。前立のステッチ、背中のプリーツに違いを付けています。
薄いラベンダー色のワッフル素材は、製薬会社お勤めのKさん。転勤の多いKさんですが、帰省のたびに時間を見つけてご来店いただいてます。やや開き気味のBDは、この頃増えているNewセミワイドBD版です。


長年の顧客のNさんとご結婚されたMさん、オケでホルンを奏でるそうで、
動きやすく、ニット素材で七分袖のシャツです。レディスらしく、カッタウェイラウンドの衿で、梅花のボタンを付けました。


Yさんご夫妻からリバティプリントの半袖3枚。
左はメンズ、かのウィリアム・モリスのいちご泥棒。綿ローンの素材なので、裏前立&ホリゾンタルワイドで。
中央、メンズのリネンのプリント。植物図鑑のような色柄で白地なので、レインスプーナーっぽく、アメリカンなNewショートレギュラーという新しい衿を付けまして、前立もしっかりとステッチの効いた表前立てに。
右はレディス。リネンの色違いです。色違いのペアルックで、夏はどこにお出かけでしょうか。


同じくYさんから、お仕事用の3枚。変わらぬサイズ、変わらぬカタチ、で、
左の2枚はカリビアンコットンSilver100/2Gのオックスフォード。濃いブルーと白。
ピンクだけは濃い色にしたくてグレードを上げてGold120/2GのOXをチョイスしました。


メンズのように見えますが、ショートラウンドの衿、梅花のボタン、細い前立、で、レディスとわかります。Kさんのご注文。
生地も綿100に見えますが、リネン混、しかもカリビアンコットンGold120/2Gとのブレンド。
これは絶対に着心地がいいはず。
これで夏を乗り切りましょう。

と、まずはここで一区切り、です。シャツはこの後、エコノミー・サービスへと続きます。
続いて、別稿で、カシミアセーターの仕上がり、さらに値上げ前の駆け込みがありました靴の仕上がりをご紹介します。


入荷速報。ニコラス・モス・ポタリー、アイルランドから到着しました。

例年よりも大幅に遅れての到着です。

今回は2箱と少なめなんですが、開けますと、

全部新聞紙などに包まれてます。柄がわからないから、全部広げます。手が真っ黒になります。

これら、すべてご注文分です。フリー販売分はありません。
毎年5月ぐらいに開催する予約会でのご注文です。

例年6月の初めに届くのが通例なのに、今年こんなに遅れた理由。
笑い話として聞いて下さい。
まず、壁時計の箱の仕上がりが大幅に遅れました。
品物ができてるんなら箱なしでいいから送ってよ、といったところ、
箱がないと時計の針が壊れるのよ、との返事。
今回届いてみてそういうわけが分かりました。こりゃ仕方ないわ。
で、航空便もいつもより時間がかかりました。貨物便はとっても混んでいるようです。
途中、広州の空港に届いた時点で問い合わせが入りました。
マグカップが入っているようなので、食品衛生法に関わる資料を提出していただかないといけないかもしれません。
これは想定内なので、すぐに対処したにもかかわらず、
今度は成田の税関でストップがかかりました。開梱検査になりました、との連絡。
なんでそこまですんの、そんなこと言われたのは初めてです。
これは想像ですが、壁時計のムーブメントが、金属探知機かX線検査で引っかかったのかな、
爆発物の疑いがかかったのかもしれません。
ネットで荷物の動きが逐一分かるので、ずっと見ていると、相当な時間税関で止まっていて、
ようやく動きが見えたと思ったら、
えっ、アイルランドへ差し戻し、だって。何かの間違いだろ!
慌てて、今朝9時を待って、電話で問い合わせ。やっとのことで担当者につながると同時に、
ネットの画面が更新されて、静岡営業所に到着。との表示。
でようやく届いたのが今日の正午ぐらい。
いやぁ、肝を冷やしました。







 


出来上がり紹介。スーツ、ジャケット、トラウザーズ、シャツ、ソックス、etc.。

前回から2ヶ月経ちましたので、このあたりで、出来上がり紹介、です。

スーツ、Iさんからのご注文です。

葛利の夏定番、ウール100%のトロピカルでチャコール無地。那須夢工房の制作です。
会社勤務を終えて、気分一新、新たなお仕事に就いた、Iさん。
会合の機会が増えるようで、新しいスーツが大活躍しそうですね。

Mさん、オールシーズン対応の葛利の紺無地。柔らかいイメージにしたいのでアウトポケットで対応しました。45度の綾織で、サージだとわかります。



ジャケット&トラウザーズ、Aさん。
ジャケットは、英ハリソンズ、春夏用ウール&リネンのIndigoという名の素材。
天然藍というわけではなくて、藍染っぽい色合いと素材感が特徴なのでこの名があるようです。
wool80%・linen20%のブレンドなので、麻っぽさはあまりなくてもちろんシワ感も少なく通気性もあり、使いやすい素材です。
トラウザーズは、今シーズンキャンペーンを張りました、英ハリソンズのSeaShell。例のシワにならない麻、のパンツです。一番濃い紺を選びました。
今回、青系の濃淡で上下を構成しました。小柄なAさんなので、コントラストを最小限に抑えるコーディネートは良いチョイスです。ちなみに、上はアルデックス、下は那須夢工房、と、上下で違うファクトリーを使いました。


もう一着、ジャケット&トラウザーズで、Yさん。
上は、伊カノニコのウール・メッシュ。当店でも20年近く扱い続けている「麻に見えるウール」素材で、このグレージュ(グレーがかったベージュ)は今年発売になったばかりの新色。スラントのチェンジポケットはYさんのシンボルディテール、貝釦も涼し気ですね。
下は、やはりキャンペーン素材の英ハリソンズのSeaShell、シワにならないリネンで、新色のメランジカラー、グリーンががった苔のような地衣類ライケンlichen、絶妙ないい色で、ジャケットには使いづらいですがトラウザーズなら使いやすい色としてお勧めしました。こちらは上下ともアルデックスで仕立てています。

ということで、キャンペーンを張りましたSeaShellの単品トラウザーズの仕上がりが続きます。

これ、私・野沢のです。ダークグレーのメランジ。グレーのトラウザーズは何本持っててもいいので、この色にしました。通気性を確保したいので、普段よりもやや太めに仕立てました。

これはIさんの明るめの紺色。ワンタック、という選択もいいですね。

Nさんはセピアグレー。深煎りのコーヒー豆、という感じの色合いです。

紺無地サージのジャケットを作ってくれたMさん、SeaShellの提案にも乗ってもらいました。
私のグレーよりもずっと明るいライトグレーです。少し青緑掛かってます。
下の紺無地は残布で作ったジャケットの組下です。


ということで、キャンペーンのSeaShellのトラウザーズが6本ありましたね。
バンチから色を抜いて重ねてみました。この6色です。

私もヘビーローテーションで使用中です。重たさがかえって生地のハリコシになってくれて、
とても涼しく快適に履いてます。もちろん、シワは全く付きません。驚きです。

シャツです。

いい生地だけ15%offのキャンペーン期間中のご注文。
左はレディスIさん、カリビアンコットンsilver100/2G、グリーンのギンガム。
スタンドカラーに星型のボタン。東京からのリモートオーダーです。
右の2枚は、Yご夫妻。ハードマンの南ア産アイリッシュリネンでピンクメランジ。
麻のピンクはこのくらい濃い色の方がいいですね。


Tさんも15%offキャンペーンで。2枚口はどちらもカリビアンコットンsilver100/2Gです。
左の濃紺ギンガムの方は休日用で、NewセミBDの衿、32&11mmの前立、短い着丈、チャコール色のボタン、と、遊びっ気たっぷりに。右の白ツイル無地はとってもオーソドックスに、白蝶貝がきれいですね。実は衿型はどちらも同じニューセミワイド。BDにするかしないか、でずいぶん見た目が変わります。ちなみに背中の仕様も、BDだとセンターboxプリーツに変更しています。

Mさんはカリビアンコットンgold120G/2にリネンを混ぜたハケ目ブルーの夏素材。ホリゾンタルワイド。いかり肩の補正入りです。


ここからはオプションフェア適用。レディス、Iさん。
生地は上のMさんと同じシリーズのカリビアンコットンgold120G/2に
リネンを混ぜた夏素材のブルーギンガム。
無料になった3つのオプションは、サイズ割増、別布クレリック、白蝶貝。


Iさんの2枚口。
左はタブカラー・ルーブ留。スナップボタン留も選べますが、よりクラシックなループタブを選びました。
右はピンホール。シルバーのピンは本来は有料ですが、オプションフェアで無料に。


レディスの2枚口。Yさんのリペアです、だから2枚ともクレリック。
リペアのときは希望の衿型を指示できます。
左はホリゾンタルワイド。右はセミワイドです。


シャツのイベントと併催してソックスのご注文も受けました。
ドレスの方は、定評の継続品番、クラシックリンキングのコットンリブホーズ、と、下は小さめサイズのご注文。これはなかなか売ってないので、こういう機会に押さえていただく、大正解です。
カジュアルは、アーガイルの新作と、リネンボーターの新品番。
アーガイルはとても気に入ったので、久しぶりに販売用として多めに仕入れました。別稿にて詳しく紹介しています。

ということで今日はこのあたりで。

ご用命いただき、誠にありがとうございました。
どうぞ末永くご愛用ください。



 

 


出来上がり。スーツ、トラウザーズ、シャツ、ニット、シューズ。

この辺でいっぺんやっときましょう。出来上がりの紹介です。
まずスーツから。

富士市在住75歳のSさん。「仕事もリタイアしたし、スーツを着る機会はとっても少なくなったんだけど、近頃お腹だけが出てきて、きちんと着られるスーツが一つもなくなってしまって。まもなく息子のいる福島へ移住することになったので、そうなるとここへも来られなくなります。これが一生で最後のスーツになるかもしれないと思って、野沢さんに一着作ってもらいたいんです」とのお言葉。
嬉しくもありさみしくもあり。選んだのは英ハリソンズのフロンティア。無地っぽいハケ目のチャコールグレー。どの季節にもどんな場面でも、カチッと着られる、万能素材。チャコールなんだけどよーく見ると無地じゃない、という控えめな主張を込めて、これをお選びしました。
 Sさん、古いカルテを見ると最初のご来店が1991年。33年前です。家族ぐるみでお付き合いさせていただきました。ありがとうございました。


このカーブした上衿は那須夢工房。注文主は某金融会社の社長に就任したYさん。
就任記念に一着作ろう、と、一念発起、スリーピースのオーダーです。
葛利毛織のクラシックなマイクロヘリンボーンでチャコールグレー。細く仕上げた袖がうまくカーブして腕に吸い付くようにフィットしています。Yさん、おめでとうございます。


このバルカな胸ポケはアルデックス。Fさんから、10マンス的に長く来られるチャコール無地、ということで、ションヘル織機でナチュラルなストレッチ感のある葛利のサージを選びました。やや青みのあるチャコール、サージですから45度の綾織です。Fさん、小柄なんですがお腹だけがある、という、難しいご体格。しかも、生地からの押し返しがあるくらいにピッタリとしたフィット感がお好き。寸法を入れるのにミリ単位の細心の配慮が求められる緊張冷や汗のご注文。
葛利の動きの良い丈夫な素材とアルデックスの技術に助けられて、なんとかご希望どおりのスーツをお作りできています。


旅客運送業経営のMさん、シャツとトラウザーズの同時注文。
イン2タック、フラップポケット、裾はダブルの3.5cm,と、1950年代クラシック・ブリティッシュなテーストで、ライトグレーのフラノ。ここは見かけよりも軽くて動きのいい、葛利のS140’sフランネルを使いました。シャツはカリビアンコットン・シルバー100/2GのロイヤルOXの白無地。久々のご注文でしたので、一番スタンダードなNewセミワイドの襟をおすすめしました。ボトムとの相性も考えてゆったり目のシルエットでお作りしてます。


でシャツへ繋がります。Nさん、就職するご長男へシャツを3枚プレゼント。
左の2枚は、カリビアンコットン・シルバー100/2Gのブルーで、ピンOX無地とマイクロヘリンボーン。
右はリンクルフリー、ロイヤルOXの白無地。お父上のお喜びが具現化された3枚です。


車のセールスからご実家の後継者となられたKさん、久々のご来店で、リンクルフリーのシャツ2枚、ロイヤルOXの白とブルーです。セールスマン時代からのこだわりで、2連ボタンのカフに左袖の刺繍入り、はそのまま踏襲しました。


Fさんから白シャツ2枚。生地と衿型が違うのでそこだけアップに。
左、ツイル素材でホリゾンタルワイドの衿。
右、ピケ素材でNewセミのラウンドチップ。


Y夫妻のメンズ。トーマス・メイソンらしい美しいストライプ柄。「いい生地は15%off」適用。

Y夫妻のレディス。カリビアンコットン・シルバー100/2Gの新色ギンガム。グレーとピンク。「いい生地は15%off」適用。


左もレディス。Kさん。カリビアンコットン・シルバー100/2Gのギンガム新色のグリーン。衿だけクレリック、カフは共地のまま、というのがミソ。
右のリンクルフリー・ロイヤルOX白は新規のTさん。Fさんの会社に入った野球部体型のガッチリ新人、Fさんからのプレゼントです。


Iさんのカシミアベスト。レモンイエローです。
この注文が契機になって、UTOさんとの取引が復活しました。
詳しくは倶樂部余話【425】をお読みください。
7月ぐらいにオーダー会を考えています。


シンプルなブラックなサイドゴアブーツ。靴べら無しでスッポリ入ってピッタリ履ける、ブーツ作るならコレ、の私の提案に乗ってくれたKさんのご注文。


Mさんのゴルフシューズ。3つの素材で、コンビならぬトリプルです。ゴルフ特有のキルトだけベロア素材。Bワイズ、と、たいへん細いラストで、さらに内容積を少なくするため、全敷、かかとスポンジ入り、のオプションを加えています。

同じくMさん。こちらは英国製スーパーバックス使用で、この毛足の短いスウェードはほんとに美しいですね。アデレードのセミブローグですが、ヒールカップをなくしてシンプルにしています。
全敷、かかとスポンジ入り、は、ゴルフと同様の措置です。

————————————————-
本日はここまで。

皆様、ご用命、誠にありがとうございます。
末永くご愛用ください。


出来上がり! 紹介。この2ヶ月強の「誂える」の仕上がり品です。後半はシャツやシューズなどを。

出来上がり!紹介の後半です。
まずシャツから。

Mさん、カリビアンコットンSilver,100/2Gのツイル素材。
カラーステイがなく衿がロールしているロールドレギュラー(左2つ)と、
ワイド気味で大きめ衿のユーロボタンダウン(右の白)、の3枚口です。


別のMさん、メンズです。衿だけのクレリック、ニューセミワイドのラウンドチップ。
リバティプリントの中でも、かの有名な「いちご泥棒」ウイリアム・モリス作、です。
ただし、色合いはブルーベースに変えています。オリジナルは緑っぽいし、いかにも壁紙の色ですよね。
これ、小鳥がイチゴをついばもうとしている絵なんですが、
私、かつて、この絵柄が逆さまになってるブラウスを着ている女性とすれ違ったことがあります。
鳥が下を向いてるので私はすぐにわかったのですが、
知らずに着ているからいいものの、知ったら恥ずかしいでしょうね。


こちらはメンズっぽい色柄ですが、レディス。Fさんのご注文、
伊アルビニのダークチェックです。
オプションフェアの期間でしたので、白蝶貝ボタンにグレードアップ、
そして共布のカフリンクスも作っちゃいました。


これもレディス。Yさんから「いつものカタチで」のリピートオーダー。
カッタウェイラウンドの衿で七分袖です。
リンクルフリーウェアに乗っていただきました。


Aさん、リンクルフリーウェアで3枚口。
ホリゾンタルワイド1枚とニューセミワイド2枚、に分けました。


ソックスのオーダー会をやって、定番の無地ホーズを中心にご注文いただいたんですが、
入荷時に写真を撮り忘れまして、
私の頼んだカジュアルものの新作だけあとから自宅で撮りました。
コットンのボーダー柄や、アーガイルの新作。ウールは5ダイヤ、コットンは4ダイヤです。


最後はシューズ。Sさんのご注文はギリーです。
ギリーはスコットランド伝統の靴で、ウイングチップの元になった靴と言われています。
スコティッシュダンスのときにも履かれますが、
本当は靴紐がすごく長くて、アーガイルのロングホーズのところまで編み上げるのですが、
それは現実的ではないので、普通の紐の長さにして、タッセルを付けました。
革は英国製のスーパーバックのベージュです。なかなかない良い色ですね。
作り直しがあったり、タッセルの付け方がお粗末でやり直させたり、
なんだかんだ3ヶ月ぐらいかかってしまいました。

_____________________


皆様、ご用命ありがとうございました。
末永くご愛用いただけたら嬉しいです。

 


出来上がり! 紹介。この2ヶ月強の「誂える」の仕上がり品です。前半はクロージングを。

秋の2ヶ月間、なので、「揃える」の方の仕入れと販売に精力を傾けていて、
なかなか出来上がり! 紹介ができませんでした。
今回はまずはスーツから。

Kさんからのオーダーは、スリーピース&スペアパンツ、の4点セット。制作は那須夢工房。
このヘリンボーンストライプは見覚えのある方も多いんじゃないでしょうか。
はい、野澤屋100周年のときに別注したシルクウールのダブルクロス、です。
当店が別注したのは紺でしたが、実は葛利毛織さんの持ち生地として色違いの黒も織っていたのです。
その生地が葛利さんにまだ在庫にあったので、ピックアップしました。
このKさん、前回の出来上がり! で紹介した「倅に成人式の背広を誂えてくれ」と注文したお父上ご本人。
息子のスーツ生地を選んでいるうちに自分も作りたくなっちゃった、ということのようでした。
こういうの、落語だかことわざだかであったような。ミイラ取りが…、でしたっけ。


元ラガーマンで金融機関お勤めのSさんから、略礼服、それも一番地味に仕上げて、
というご注文。生地は葛利毛織のカシミア5%混、10マンスの定評フォーマル素材。
これ、ハンガーに普通に掛けてあって、ディテールもフォーマルにしすぎず、
いい意味で実に普通のスーツなんですが、
ここに、さすがアルデックス、という大きな特徴が現れているんです。おわかりでしょうか。
腕、です。左右対称にねじれたようなシワが出てますよね。体格のいいSさんですので、余計にそれが顕著に出ています。
もしこれが既製服だとして売り場に陳列されていたら、どうでしょうか、
「何だこのスーツ、腕に大きなシワが出てるぞ、仕立てが悪いんじゃないのか」と思われるかもしれませんね。そう言われるのを恐れてか、既製服ではここまで腕を前に振る仕立てはできないんです。
ハンガー映え重視、と言ったところでしょうか。
はい、人の腕は自然に前に振れていて、しかも腕というのは先細りにできています。
それに見事に対応した高い技術で作られている腕まわり、が、この写真から見て取れるのですね。
もちろん人間の体が中に入ればこのシワは消えてなくなります。
この腕の作り、アルデックスのウリのひとつですね。
オーダースーツはハンガー映えを考えなくていいので、
持てる技術を思いっきり表現できる、という一つの例であります。

ここで、Aさんのジャケット。英FOXのフラノの紺のご紹介、なんですが、
仕上がり直後に急いで送ったので、どうも写真を撮り忘れたようです。ごめんなさい。
少し明るめの紺はFOXならではの色でしたので、ご案内できずに残念です。



Yさんからのジャケット&トラウザーズ。制作はアルデックス。
ジャケットはハリスツイードのグリーン系無地。
Yさんが注文したのはジャケットだけでしたが、
その直後に奥様から内緒でそのハリスに合わせたトラウザーズを、とのオーダーが入りました。
伊カノニコのバンチにちょうどいい、茶系のハウンドトゥース(千鳥格子)があってこれに決定。
引きの写真ではなかなか素材感が伝わらないので、この生地をルーペを当てて撮ってみました。




おわかりでしょうか。特にジャケットのハリスツイードはすごい色数でしょ、見ていて飽きないです。
ついでに先述のAさんのFOXフラノ明るい紺無地も撮りました。いかがでしょう。

このルーペ、時々取り出して、お客様にも拡大画像を楽しんでもらってますが、
このルーペを紹介してくれたのがLOVAT MiLLの社長。渋谷の東急ハンズにあるよ、と教えてくれたんです。
もひとつジャケット。

Kさんのジャケット。これもアルデックス。
この生地、実は私とお揃い。英W.BillのフェニックスPhoenix。
このフェニックスの特徴は、秋冬物の色合いなのに生地がスーツ並みに薄い、ということ。
300g/m以下です。
ジャケットというのはスーツよりも更に季節感を出すことが重要なので、
冬物はより冬っぽく、夏物はより夏っぽく、というのが普通なんですが、
実際の季節の移ろいというのは、皆様実感されるように、
見せたい季節感と実際の気温とがいつも少しずつズレている、ということ、おわかりですよね。
ここにこのフェニックスのアドバンテージがあるのです。
実際私のフェニックスも出番が多く、大活躍の素材なので、Kさんにお勧めしてみたのです。
まさか色柄まで同じものを選ばれるとは思いませんでしたが。
あ、フェニックスと言っても、日大アメフト部とは無関係です、念のため。


これは「誂える」ではなくて、取り寄せ品。
鎌倉シャツさんのウールトラウザーズです。Fさんからのご依頼。
昨年と内容が変わっていないので、強くご案内はしていませんが、
引き続き取り寄せ体制はできてますので、いつでもご注文いただけます。
ウールはネイビーとチャコール。コットンはベージュとネイビーです。

長くなったので、シャツと靴は後編に。