出来上がり紹介。靴ばっかり編。

4月は靴のラッシュでした。
大幅値上がりの駆け込みを煽りまして、空前絶後の20足のオーダーをひと月で受けました。
1年分の前倒し、という感じです。
納期も結構かかりまして、最後のお客様の仕上がりが8月ようやく届きました。
ちょっと長くなりますので、ここで折りたたみますが、飽きずにどうかご覧ください。


2つ穴のプレーントゥ。オリジナルはCS(チゼルトゥ)のVフロントなんですが、
これをES(エッグトゥ)のラウンドラストに変更すると、
木靴のような可愛らしいデザインに変化します。色は赤茶色。K.M.さんのオーダー。

Y.I.さんからは似て非なりの2足口。どちらも黒。紐は紗乃織に交換しました。
左は、フルブローグ(ウイングチップ)メダリオンなし、
右は、セミブローグ(ストレートチップ)竪琴上の甲デザインはいわゆるアデレード、メダリオン付き。


今までで一番注文が多いのがこのスワンネックステッチの一文字(キャップトゥ)。
I.I.さんからのオーダーは一見なんの変哲もなさそうですが、実は左右のサイズが違うのです。
右24.5-2Eに甲に2mmの乗せ甲、左25.0-E乗せ甲なし。写真ではわからないでしょうね。


H.Y.さんから3足のご注文。
キップの黒は当店では20周年モデルと呼んでいる、
サイドエラスティック、ブローグなし切り替えのみのスリップオン。これも過去何足売ったことか。
スウェードの黒の方は、20周年型ではなくオリジナルのデザイン、つまり、切り替えにブローグのあるもの。

そして3足目は、中茶の革で、新提案のレイジーマン(lazy man=怠け者)です。
一見フルブローグのサイドエラ。フロントのヒモはイミテーションです。


T.N.さんからは伝モデルのプレーントゥ。
27.5の4Eですからかなりずんぐりむっくりに見えます。
赤茶の型押し革で、ストームウェルトのダブル巻き、ドスンとしたイメージをつけました。

K.O.さんの2足口。
スコッチの型押し黒のタッセルスリッポン。このデザインは甲が低めなので、甲高補正を入れました。
もう一足はステアの型押し革で、レイジーマンです。
型押し革がいいのは、キズが目立たないことですね。


ブーツのイチオシといえば、サイドゴアです。靴べら要らずだし、しゃがんでも足首がちゃんと曲げられてかかとが浮かない、こんなブーツはサイドゴアだけです。H.A.さんのご注文。

キャップもない極めてシンプルなブレーントゥ。
幅はあるのに甲は薄い、という、M.S.さんに合わせてのアレンジは、
25.5-3Eをベースに母趾と小趾に乗せを入れて、そして全敷仕様に。
つま先ゴムのOPも5月からは有料になりますが、4月までは無料でした。

A.I.さんの2足口。ほとんど双子で、中敷の革の色だけが違うのです。
ストームウェルトのダブル巻きはIさんのアイコニックオプションですね。


M.N.さんからペニーローファーのご注文。
かかとにもステッチを回して、アメリカンなイメージを付けました。
スリッポンのときだけは、内革のカカトの部分は裏革にして滑りにくくします。


S.Y.さん、赤茶色で外羽根のウィングチップ。ちょっとアメリカンなイメージですね。
この方も極度の左右違い。左足は25.5-Eなのに、
右足は24.5-2Eに母趾にも小趾にも甲にも乗せを入れる大補正。
つまり右足のほうが短くて太い、
少年時代のサッカーの影響だそうです。


キャップトゥ、スワンネックステッチ。S.K.さんから。
24.5-Dはなかなか既製ではないサイズです。更に母趾と小趾に少しだけ補正。
ヒモは紗乃織に交換しました。


K.H.さんから、サドルシューズ。クロなんですが、甲のパーツ、つまりサドル(=鞍(くら))のところだけ、
型押しの革に変えている、とっても控えめなコンビなんです。
アンダーステートメント、控えめな主張、Hさんらしいなぁ、と感じます。


S.O.さん、伝のハイカット2つ穴チャッカ。これもコンビなんですよ。
前の方はスムースレザー、後ろはスコッチ型押し、どちらもクロ。
分かる人にしか分からないコンビですね。


さてどんじり。Y.H.さん。ナンバーワンスタイルのスワンネックキャップトゥですが、
実はオプションいっぱい。
仏アノネイのカーフ、溝伏せの革底、ヒールアップ(積上げ高)+ピッチドヒール(楔形の積上)、ベロにスポンジ入れ、紗乃織靴紐装着。
納期も4ヶ月かかりました。

これで当分の間、靴のオーダーは開店休業状態になるのかな。
何しろ1年分売ったぞ、って感じでしたから。
来年の4月、どうやって売上を作ろうか、今から考えておかないと。

多くの皆様、ありがとうございました。
どうぞご愛用ください。
リペアも是非お待ちしてます。