困ったときのフロンティア、と、そう呼んでいるのは、きっと当店だけではないはず。
と思うほどの信頼感を寄せている、英ハリソンズの定番合服地フロンティアがリニュアルになって
新しいバンチが届きました。おなじみの赤いバンチです。
平織り300g、という、ありそでない素材。
というのも、一般的に平織りは春夏物の織り方なんですが、300gは秋冬物に相当するウェイト。
ミルド(起毛)もしていないので、
ほんとに、いい意味で、季節感がない、という素材。つまりいつ着ても違和感がない。
その名から想像するに、多分ビギナー向けに考えられた素材だと思うので、
数多あるハリソンズのコレクションの中でも、比較的安価な価格設定、というのも嬉しいです。
最初は少し硬めの着心地ですが、着ていくうちに体に馴染んできます。これがいいところ。
とろとろしたイタリア系の生地とは全く違いまして、打ち込みのしっかりした硬めのこの素材ゆえに、
型崩れがなく、シワにもなりにくく、季節問わず長持ちする、
伝統的英国服地の矜持すら感じさせる、まさに、困ったときの一着、なんであります。
選択肢も豊富、特に紺系の充実はさすがでして、
全部で94色柄、うち新色柄は11種あります。
参考価格(税別)。スーツ98,000円~、ジャケット68,000円~、トラウザーズ43,000円~。
フロンティアのこの生地で、過去30年間、一体今まで何着作ってきたんだろう、と、考えてみました。
想像もつきません。百着までは行かないでしょうが、50着は軽く行ってるはずです。
カテゴリー: 01.スーツ
出来上がり紹介。スーツと靴。そんなにないのですが、ここで冬と春の境目と、一区切りとします。
まずスーツ、Kさん。ほぼ毎年、誕生月の12月にご注文をいただきます。
英ハリソンズの秋冬の代表的生地、プレミア・クリュ。
super100’s+カシミアでヨークシャー・ハダースフィールドの矜持を感じさせます。
柄をわかりやすくするために明るく撮ってますが、実際は濃紺ベース。
グレンチェック部分はほとんどわからないぐらい地味で、
サックスブルーのウィンドペインがわずかに柄物であることを表現しています。
紺のスーツを何着もお持ちのKさんらしい、自信に溢れた良いチョイスです。
毎年この時期のご注文は、ご自分の頑張りの励みにしていただいているようでありがたいです。
そのスーツの成果でしょうか、地元有力企業の重役さんとして大活躍のKさん。
新聞に昇格の人事が載るたびに自分のことのように嬉しく思います。
靴です。
Mさんはご高齢のお父様とお見えになり、お互いに2足ずつのご注文をいただきました。
Mさんに以前おすすめしたサイドエラスティックのモデル、おなじみ当店20周年モデルですが、
これをお父様にも履かせたい、と、スタイル違い、色違いで、2足。
Mさんご本人は、チゼルラストのフルブローグ、と、職人が一番嫌がると言われているホールピース、の2足。
靴には一家言お持ちのMさんらしい、マニアっぽいご注文でした。
次はこれ。
甥御さんの就職祝いに、と、「よし、おじさんが靴をプレゼントしてやるよ」と、
お二人でお見えになりまして、
そういうことならこのモデルしかないでしょうと、スワンネックステッチのキャップトゥ「02明」のご注文です。
紐が付いてないのは、紗乃織靴紐のロウ引き紐に付け替えるからです。
港区にお住まいのGさんからメールでの注文。
前寸がありますから、スタイルと革の色だけ決めればゴーできます。
写真ではわかりませんが、甲と小趾に1段階の乗せ甲をしているんです。
この赤茶色、以前の色はかなり赤っぽかったんですが、
リニュアルされてからは安心して勧められるいい色になりました。
日本一の車屋を目指すMさんのご注文は、南陽市のふるさと納税を活用したご注文。
せっかくだからいい革にしちゃおう、ということで、仏アノネイのカーフを使いました。
今回はここまで。
あれっシャツは、とお思いでしょう。珍しいことに2ヶ月間オーダーシャツがゼロ。
もともと冬場はセーターとアウターの売上が多くて、シャツの注文が減る時期ではあるのですが、
2ヶ月ゼロは初めてです。ファクトリーが心配して、お店潰れてませんよね、と、電話が入りました。
3月に頑張るからね、心配しないで。
ということで、この出来上がり紹介で、季節の切り替えとしましょう。
次項からは、春夏物の記事とになります。
出来上がり紹介。スーツ、シャツなど。
10月から今日12/18までの出来上がり紹介です。
まずスーツ。女性Oさんから。
遡って7月に開催したアルデックスのレディスの採寸会でのデータをもとに、後日ご注文をもらった
スーツです。生地は葛利毛織の100周年ダブルクロス紺です。
小柄なOさんなので心配でしたが、さすが女性の採寸だけあって、細部の微調整もうまく行って、
ご満足いただけました。
レディスのスーツは、ケージサンプルの借受、採寸者の出張、が必要となります。
予めその日程調整をいたしますから、お早めにご相談ください。
次はMさん。
スラントのチェンジポケット、フルステッチ、は、Mさんのお決まりスタイル。
生地は100周年ダブルクロスの色違いでブラックです。ストライプ感がネイビーよりも強調されます。
Mさんからは同時にシャツの注文も頂戴しました。
6枚、それぞれ少しずつ違います。
Fさんは転職に際して、心機一転の気分で、気合い入れのスーツ、スリーピースです。
生地は英ハリソンズのフロンティア。最も万能な生地としてロングセラーの人気です。
平織り300gはなかなかよそにはない生地です。色柄はブルーグレーのピンヘッドです。
次のMさんは、古くからの顧客Mさんのご子息。親子2代、というのは、近頃増えてきた傾向です。
そりゃ35年もやってりゃそうなりますね。
つぶしの効く葛利のマイクロヘリンボーンの紺と
バラケから選んだ伊ロロピアーナsuper150’sのエレガントなグレーストライプ
使い分けしやすい2着のチョイスです。
ファクトリーは、上襟のカーブでおわかりですか、那須夢工房です。
Mさん、一緒にシャツのご注文もいただきました。
ちょうどリンクルフリーフェアの期間でした。
白はごくごく普通に、ブルーはボタンや刺繍を少し遊びました。これも使い分けしやすい2枚ですね。
ソックスの注文会での商品です。
下段はフェアアイルのホーズ、メンズとレディス、Yさんご夫婦のなかよしお揃い発注です。
上段のアーガイルソックスは、ウール&コットンの新作。着用者は私・野沢でありんす。
10月11月は秋冬の最盛期にしては、出来上がりが少ない、と思われるかもしれませんね。
この時期は「揃える」モノの販売に注力していているので「誂える」モノは一息ついてしまうのかもしれません。
ジャケットのオーダーの仕上がりはまたこれから12月の後半に控えてます。
そんな中で、堅実にオーダーが入るのがシャツです。
リバティプリント。左、女性のIさん。右、男性のNさん。
おふたりとも、リバティのファンでリピートのご注文です。
2枚とも同じ生地で、カリビアンコットンsilver・100/2Gの最新作、ドビーのツイルに細ストライプを編まれた複雑な織りで、白ではなくて薄いグレーなので、独特な光沢感があります。
左はYさんのレディスなんですが、この仕上がりを見たTさんが、これ欲しい、となって同じ生地でのご注文。
オプションフェアでしたので、白蝶貝、ネーム刺繍、ポケットチーフ、を付けました。
当社のIT部門相談役、Mさんが世田谷から車すっ飛ばして静岡に来ました。
実家帰りかと思ったら、そうじゃなくてシャツの注文のために来てくれたみたい。
Mさん、夜中でも早朝でも、困ったときにツイッターにすぐに解決策をくれまして、感謝してます。
襟型を変えたり、ボタンを変えたり、クレリックにしてみたり、と、楽しんでもらいました。
はい、出来上がりいろいろ、でありました。
入荷速報。遅れていました、スーツのバラケ生地、到着しました。
出来上がり紹介。スーツ、ベスト、そしてエコノミーのシャツがたくさん。
10月に入る前に、ここで出来上がりの紹介です。
まず、NZ100+JN50の記念生地、葛利のダブルクロスでのスーツの仕上がりです。
Kさんは、スリーピース、それもベスト(正確にはウェストコートと呼びます)は、衿付きのダブル、という仕様。
Mさんはオーソドックスなツーピース。細身ですがいかり肩が強い男性です。
フォーマル用のウェストコート。Yさん。
ピンクのシルク生地はフォーマル専門の神田の生地屋で私が直接買い付けてきました。
そしてエコノミーのシャツがたくさん。
急いで届けなければいけないものもありましたので、袋のまま、簡単にまとめて撮りました。
解説も省略いたします。
こうやって見るとやはり白とブルーが圧倒的に多いですね。
そんな中で、皆様、色々と自分だけの一枚になるよう、細かいところに工夫を入れ込んでいただいて、
楽しんで作っていただけたと思います。
ありがとうございました。
さぁて、10月、だぞ。
出来上がり紹介、特別編。レディスのスーツ、アルデックス製。
4年前の店舗移転のときに展開を断念したレディスのスーツですが、
今回、ちょっと変わったカタチで展開を再開しました。
メンズのオーダースーツで主力ファクトリーである豊橋のアルデックスが、
少し前にレディスでも新しいパターンを引き直していいスーツを作り始めていたのは知っていたのですが、
これを店で始めるには、予めそれなりの数のゲージサンプルを作らなければならず、また採寸の勉強もやり直す必要があり、躊躇していたのです。
そしたら、展示会で豊橋にお邪魔した際、「そういうお店のために、有料の出張サービスをしています。静岡にも行きますよ」とのお誘い。
葛利毛織で別注しましたNZ100+JN50の記念のダブルクロスの生地を夫婦で揃いで作りましょう、ということで、Y夫妻のスーツのご注文でこれが実現しました。
7月の某日、アルデックスの東京営業所から担当営業のK女史が来静。
事前に送ってきてある数着のゲージサンプルを使って、採寸してもらいました。
私は見ているだけなので、こうやってその様子を撮影することができました。
今後のためにスカートの採寸も含めます。
一時間ほどかかりました。
そして仕上がったのがこちら。
細腹が美しく入った女性らしいシルエット、やっぱり女性ものは総重量も軽いです。
御本人に試着いただきました。
はい大成功、大満足です。
メンズで多くの方に喜んでいただいているアルデックスの高い技術力を
これからは女性にもお楽しみいただけます。
この出張サービスは、事前に日程の調整が必要ですので、
ご希望の方はお早めにご連絡ください。
まもなくふたり目のご注文が入る予定です。これまた楽しみです。