出来上がり。スーツ、トラウザーズ、シャツ、ニット、シューズ。

この辺でいっぺんやっときましょう。出来上がりの紹介です。
まずスーツから。

富士市在住75歳のSさん。「仕事もリタイアしたし、スーツを着る機会はとっても少なくなったんだけど、近頃お腹だけが出てきて、きちんと着られるスーツが一つもなくなってしまって。まもなく息子のいる福島へ移住することになったので、そうなるとここへも来られなくなります。これが一生で最後のスーツになるかもしれないと思って、野沢さんに一着作ってもらいたいんです」とのお言葉。
嬉しくもありさみしくもあり。選んだのは英ハリソンズのフロンティア。無地っぽいハケ目のチャコールグレー。どの季節にもどんな場面でも、カチッと着られる、万能素材。チャコールなんだけどよーく見ると無地じゃない、という控えめな主張を込めて、これをお選びしました。
 Sさん、古いカルテを見ると最初のご来店が1991年。33年前です。家族ぐるみでお付き合いさせていただきました。ありがとうございました。


このカーブした上衿は那須夢工房。注文主は某金融会社の社長に就任したYさん。
就任記念に一着作ろう、と、一念発起、スリーピースのオーダーです。
葛利毛織のクラシックなマイクロヘリンボーンでチャコールグレー。細く仕上げた袖がうまくカーブして腕に吸い付くようにフィットしています。Yさん、おめでとうございます。


このバルカな胸ポケはアルデックス。Fさんから、10マンス的に長く来られるチャコール無地、ということで、ションヘル織機でナチュラルなストレッチ感のある葛利のサージを選びました。やや青みのあるチャコール、サージですから45度の綾織です。Fさん、小柄なんですがお腹だけがある、という、難しいご体格。しかも、生地からの押し返しがあるくらいにピッタリとしたフィット感がお好き。寸法を入れるのにミリ単位の細心の配慮が求められる緊張冷や汗のご注文。
葛利の動きの良い丈夫な素材とアルデックスの技術に助けられて、なんとかご希望どおりのスーツをお作りできています。


旅客運送業経営のMさん、シャツとトラウザーズの同時注文。
イン2タック、フラップポケット、裾はダブルの3.5cm,と、1950年代クラシック・ブリティッシュなテーストで、ライトグレーのフラノ。ここは見かけよりも軽くて動きのいい、葛利のS140’sフランネルを使いました。シャツはカリビアンコットン・シルバー100/2GのロイヤルOXの白無地。久々のご注文でしたので、一番スタンダードなNewセミワイドの襟をおすすめしました。ボトムとの相性も考えてゆったり目のシルエットでお作りしてます。


でシャツへ繋がります。Nさん、就職するご長男へシャツを3枚プレゼント。
左の2枚は、カリビアンコットン・シルバー100/2Gのブルーで、ピンOX無地とマイクロヘリンボーン。
右はリンクルフリー、ロイヤルOXの白無地。お父上のお喜びが具現化された3枚です。


車のセールスからご実家の後継者となられたKさん、久々のご来店で、リンクルフリーのシャツ2枚、ロイヤルOXの白とブルーです。セールスマン時代からのこだわりで、2連ボタンのカフに左袖の刺繍入り、はそのまま踏襲しました。


Fさんから白シャツ2枚。生地と衿型が違うのでそこだけアップに。
左、ツイル素材でホリゾンタルワイドの衿。
右、ピケ素材でNewセミのラウンドチップ。


Y夫妻のメンズ。トーマス・メイソンらしい美しいストライプ柄。「いい生地は15%off」適用。

Y夫妻のレディス。カリビアンコットン・シルバー100/2Gの新色ギンガム。グレーとピンク。「いい生地は15%off」適用。


左もレディス。Kさん。カリビアンコットン・シルバー100/2Gのギンガム新色のグリーン。衿だけクレリック、カフは共地のまま、というのがミソ。
右のリンクルフリー・ロイヤルOX白は新規のTさん。Fさんの会社に入った野球部体型のガッチリ新人、Fさんからのプレゼントです。


Iさんのカシミアベスト。レモンイエローです。
この注文が契機になって、UTOさんとの取引が復活しました。
詳しくは倶樂部余話【425】をお読みください。
7月ぐらいにオーダー会を考えています。


シンプルなブラックなサイドゴアブーツ。靴べら無しでスッポリ入ってピッタリ履ける、ブーツ作るならコレ、の私の提案に乗ってくれたKさんのご注文。


Mさんのゴルフシューズ。3つの素材で、コンビならぬトリプルです。ゴルフ特有のキルトだけベロア素材。Bワイズ、と、たいへん細いラストで、さらに内容積を少なくするため、全敷、かかとスポンジ入り、のオプションを加えています。

同じくMさん。こちらは英国製スーパーバックス使用で、この毛足の短いスウェードはほんとに美しいですね。アデレードのセミブローグですが、ヒールカップをなくしてシンプルにしています。
全敷、かかとスポンジ入り、は、ゴルフと同様の措置です。

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本日はここまで。

皆様、ご用命、誠にありがとうございます。
末永くご愛用ください。


入荷速報。春夏のスーツ・ジャケットをお考えの皆様、お待たせしました。最新のバラケ、到着です。

イタリアの高級素材のうち、色揃えが欠けてバラけてしまったもの、通称、バラケ、
2024年春夏の最新版が到着です。

アッパーゾーン。
左列、伊エルメネジルド・ゼニア。スーツ91,300円~から100,100円~。
右列、伊ロロ・ピアーナ。スーツ91,300円~から97900円~。
さすが売れ線ブランドだけあって、よくバラけてますね。


ボリュームゾーンは、ほとんど伊カノニコ。グレージュっぽいのが多いですね。
スーツ77,000円~から84,700円~。

ジャケットです。

アッパーゾーン。ゼニア、ロロ・ピアーナ、クラスで、66,000円~より71500円~。


ボリュームゾーンは、かなりの種類があったので、こちらで良さげなものだけに絞りました。
ほとんど伊カノニコで、ウールあり、シルクあり、リネンあり、コットンあり。
51,700円~より66,000円~。

春夏物は秋冬物よりも着用頻度が少なくなるため、購入予算も抑えめの方が多く、
バラケの徴用度がより重要になります。
桜が咲くと一気に暖かくなって、
もたもたしてると、GW,汗ばんできて、もういいや、ってなっちゃうので、
ともかくご検討はお早めに。



入荷速報&イベント告知。シーシェルで作ろう!! シワにならないリネン、英国製ハリソンズのシーシェルSeaShellが大リニュアルでメランジ色が大増加。3月はトラウザーズをキャンペーンします。3/31(日)まで。

シワにならないリネンとして好評の英ハリソンズ・シーシェルSeaShellがリニュアルになりました。

全26色。ご覧ください、メランジ(杢(もく))のいい色合いが目白押しです。

360g,テトロン55%リネン45%、英国製。化繊混ですが見た目は完璧にリネン100%、
過去2年も評判が良く、ジャケットやスーツでおすすめしてきました。

このメランジばかりの色揃えを見て、ひらめきました。
これ、トラウザーズ(スラックス)に最適じゃないの。
寒い冬にコーディングスのモールスキンを履くごとく、
春夏にはシーシェルのシワにならないリネンを推奨しよう、と、いうアイデアです。

ジャケットでは躊躇するような色合いでも、トラウザーズならトライしやすいですね。
また、グレー系や紺系なら、ビジネスでもしっかり通用します。

ということで、通常ならトラウザーズをオーダーすると4万円超になるこの素材ですが、
冬のモーススキンと同等価格に揃えたいとの思いから、3月だけのキャンペーンプライスを特別に用意しました。
通常価格より約15% offの、37,950円(税込)~です。(ファクトリーや要尺により割増あり)
3/31(日)までの限定価格です。

なんでまだ寒い3月にやるの、というと、納期なんです。
ハリソンズは在庫を英国で一括管理していて、週2回エアーで日本に送るシステムなので、
工場制作と合わせるとどうしても4-5週間の納期が必要になります。
なのでGWあたりから履き始めたい、となると、3月中のご注文が必至になるのです。

あ、トラウザーズのキャンペーンですが、同素材でジャケットやスーツ、ベスト、なども、受け付けますよ。

出来上がる品物については自信があります。一番心配しているのは、
オーダーなので、ご来店が必要になる、ということです。モールスキンなら電話でも頼めるのに、です。
すでに寸法のある方ならリモートでもなんとか可能ですが、原則として対面接客をしたいです。
特に静岡県外の方、なんとか3月中の一日、都合をつけて静岡までいらっしゃいませんか。
どうしても行かれない、という方は、ご連絡ください。なんとか考えます。

言うまでもなく、SeaShellはトロピカルな貝殻のことであります。










入荷速?報。葛利毛織・春夏モノの定番生地、揃え直しました。これからもしっかり売ります。

当店のスーツ生地、国産は尾張一宮の葛利毛織の一本勝負ですが、
その春夏物の定番生地を一覧できるようにスワッチを揃え直しました。

毛100%やキッドモヘア混紡、モヘヤ&シルク混、ポリ混紡の「夏井さんのスーツ」(懐かし!)、など、
全部で26柄。
価格帯は、JPY84,700(税込)~からJPY97,900~まで。
すべて、100年の歴史を持つ葛利毛織が持つ自慢の旧式ションヘル織機で織られた風合い豊かな生地です。
スワッチの断面が一部よれよれしているのは、素人の私がピンキングばさみでカットしたから。悪しからず。

今回、葛利毛織では、生地揃えの見直しと価格の変更があり、
春夏モノも秋冬モノも、当店おなじみのパタパタをすべて作り直しました。
こういう機会でないと、全てお見せすることもないので、
一覧で並べてみました。

結構あるもんでしょ。

なぜウチが国産生地は葛利の一本槍で、よその生地に浮気しないか、と言うと、
それだけココの生地に惚れ込んでいるからでして、
その理由として、それぞれのパタパタの一番上の価格表のところに、このように書いています。
それを紹介してこの記事の締めとしましょう。

葛利毛織(くずりけおり・愛知県一宮市)。尾州で100年続く最古参の毛織物ファクトリー。
昭和初期からずっと使い続けているションヘル織機は、とても低速で非効率ですが、
糸の張りも緩く手触りもソフトで、空気を多く含む自然なストレッチ感が保たれ、
最新の高速織機では出すことのできない、手織りに近いビンテージ生地の風合いがあります。


出来上がり! 紹介。この2ヶ月強の「誂える」の仕上がり品です。前半はクロージングを。

秋の2ヶ月間、なので、「揃える」の方の仕入れと販売に精力を傾けていて、
なかなか出来上がり! 紹介ができませんでした。
今回はまずはスーツから。

Kさんからのオーダーは、スリーピース&スペアパンツ、の4点セット。制作は那須夢工房。
このヘリンボーンストライプは見覚えのある方も多いんじゃないでしょうか。
はい、野澤屋100周年のときに別注したシルクウールのダブルクロス、です。
当店が別注したのは紺でしたが、実は葛利毛織さんの持ち生地として色違いの黒も織っていたのです。
その生地が葛利さんにまだ在庫にあったので、ピックアップしました。
このKさん、前回の出来上がり! で紹介した「倅に成人式の背広を誂えてくれ」と注文したお父上ご本人。
息子のスーツ生地を選んでいるうちに自分も作りたくなっちゃった、ということのようでした。
こういうの、落語だかことわざだかであったような。ミイラ取りが…、でしたっけ。


元ラガーマンで金融機関お勤めのSさんから、略礼服、それも一番地味に仕上げて、
というご注文。生地は葛利毛織のカシミア5%混、10マンスの定評フォーマル素材。
これ、ハンガーに普通に掛けてあって、ディテールもフォーマルにしすぎず、
いい意味で実に普通のスーツなんですが、
ここに、さすがアルデックス、という大きな特徴が現れているんです。おわかりでしょうか。
腕、です。左右対称にねじれたようなシワが出てますよね。体格のいいSさんですので、余計にそれが顕著に出ています。
もしこれが既製服だとして売り場に陳列されていたら、どうでしょうか、
「何だこのスーツ、腕に大きなシワが出てるぞ、仕立てが悪いんじゃないのか」と思われるかもしれませんね。そう言われるのを恐れてか、既製服ではここまで腕を前に振る仕立てはできないんです。
ハンガー映え重視、と言ったところでしょうか。
はい、人の腕は自然に前に振れていて、しかも腕というのは先細りにできています。
それに見事に対応した高い技術で作られている腕まわり、が、この写真から見て取れるのですね。
もちろん人間の体が中に入ればこのシワは消えてなくなります。
この腕の作り、アルデックスのウリのひとつですね。
オーダースーツはハンガー映えを考えなくていいので、
持てる技術を思いっきり表現できる、という一つの例であります。

ここで、Aさんのジャケット。英FOXのフラノの紺のご紹介、なんですが、
仕上がり直後に急いで送ったので、どうも写真を撮り忘れたようです。ごめんなさい。
少し明るめの紺はFOXならではの色でしたので、ご案内できずに残念です。



Yさんからのジャケット&トラウザーズ。制作はアルデックス。
ジャケットはハリスツイードのグリーン系無地。
Yさんが注文したのはジャケットだけでしたが、
その直後に奥様から内緒でそのハリスに合わせたトラウザーズを、とのオーダーが入りました。
伊カノニコのバンチにちょうどいい、茶系のハウンドトゥース(千鳥格子)があってこれに決定。
引きの写真ではなかなか素材感が伝わらないので、この生地をルーペを当てて撮ってみました。




おわかりでしょうか。特にジャケットのハリスツイードはすごい色数でしょ、見ていて飽きないです。
ついでに先述のAさんのFOXフラノ明るい紺無地も撮りました。いかがでしょう。

このルーペ、時々取り出して、お客様にも拡大画像を楽しんでもらってますが、
このルーペを紹介してくれたのがLOVAT MiLLの社長。渋谷の東急ハンズにあるよ、と教えてくれたんです。
もひとつジャケット。

Kさんのジャケット。これもアルデックス。
この生地、実は私とお揃い。英W.BillのフェニックスPhoenix。
このフェニックスの特徴は、秋冬物の色合いなのに生地がスーツ並みに薄い、ということ。
300g/m以下です。
ジャケットというのはスーツよりも更に季節感を出すことが重要なので、
冬物はより冬っぽく、夏物はより夏っぽく、というのが普通なんですが、
実際の季節の移ろいというのは、皆様実感されるように、
見せたい季節感と実際の気温とがいつも少しずつズレている、ということ、おわかりですよね。
ここにこのフェニックスのアドバンテージがあるのです。
実際私のフェニックスも出番が多く、大活躍の素材なので、Kさんにお勧めしてみたのです。
まさか色柄まで同じものを選ばれるとは思いませんでしたが。
あ、フェニックスと言っても、日大アメフト部とは無関係です、念のため。


これは「誂える」ではなくて、取り寄せ品。
鎌倉シャツさんのウールトラウザーズです。Fさんからのご依頼。
昨年と内容が変わっていないので、強くご案内はしていませんが、
引き続き取り寄せ体制はできてますので、いつでもご注文いただけます。
ウールはネイビーとチャコール。コットンはベージュとネイビーです。

長くなったので、シャツと靴は後編に。










 


出来上がり紹介。スーツ、ジャケット、シューズ。

出来上がり紹介です。夏の終わり、というところでしょうか。

スーツとジャケットです。8月にスーツ・ジャケットを作ってくれたら優遇します、というメルマガメンバー限定のクローズドキャンペーンを行いまして、何人かが賛同してくれました。売上の乏しい8月なので、助かりました。

Kさんがご子息をお連れになり、この子に成人式&就活のスーツを仕立ててやって、というご依頼。
息子がいたらいつかは言ってみたいセリフ、私は娘二人だったので残念ながら言えずじまいでした。
生地は葛利の綾織ナチュラルストレッチの紺無地。今までに一体何人の人に勧めてきたのか、というほどの定番素材ですが、
初めの一着、として、これ以上適した生地はないでしょう、ということで、迷わずこの生地を選びました。
310gの秋冬モノに属する素材ですが、表面をミルド(起毛)してないし、葛利のションヘル織機ならではの空気をたっぷり含みながらゆっくり織ることで生まれるナチュラルなストレッチ感は、
スーツを着慣れないビギナーにとっては動きやすくしかも型崩れしにくくて、最適です。
ファクトリーは那須夢工房をおすすめしました。この上衿でおわかりですね。
那須のファクトリーは高い技術力にしては工賃がリーズナブルで納期もそんなにかからない(その代わりオーダーとしてイジれる自由裁量部分がとても少ないという制約があります)ので、
標準体型で比較的若年層の方が、いい意味で普通のスーツを、というときには、おすすめできます。


略礼服は何度も作ってますが、久しぶりに「ちゃんとした略礼服」をお作りしました。Fさんのご注文。
「ちゃんとした略式」というのも変な言い方ですが、
つまり、ディナースーツ(タキシード)やディレクターズスーツに転用が可能な略礼服、という意味です。
すなわち、シングルブレスト、ピークドラペル、1つボタン拝み式、(フラップなし)、ステッチなし、ノーベント、
ノープリーツ、(ベルトレス)、シングルモーニングカット、ということです。
今回はカッコを付けた2つについては、不祝儀時の着用を考慮して、フラップ付き(写真はフラップを収納しています)、ベルトループ付き(ただしベルトなしで着る場合を考慮してステイループ(バックルピン留め)は付けない)、に変更しています。
生地は、これも当店のロングセラー、葛利毛織のカシミア5%入り深黒朱子織り、黒の艶が一番良く出ます。
ファクトリーはアルデックス。Fさんからは以前にもスーツのご注文をいただいていますが、その寸法よりも少しずつ大きめ、いい意味で少しだけ野暮ったく、仕上げました。略礼服ですので、スタイリッシュになりすぎないように、また着用年数も普通のスーツよりも長くなりますので、万一の体型変化にも対応しやすいように、という配慮です。
フォーマルウェアは、普段のスーツよりもイジれる部分が少なく、決まりきった形になるので、既製服でも対応はできるのでしょうが、
フォーマルウェアに一番必要な「着方」をアドバイスしながらお作りしていく、というのは、オーダーでないとできないことではないでしょうか。
ご葬儀や祝宴などに臨席すると、礼服をきちんと着られていない方をたくさん見かけます。こちらから指摘するような野暮な真似はいたしませんが、困るのは、向こうから「野沢さん、プロから見て私のこの着方でおかしくないよね」と尋ねられることです。万一おかしなところがあったとしても、そこでダメ出したところでその場で直せるものではなく、相手に恥ずかしい思いをさせるだけですので、絶対にダメ出しができません。濁した言い方しかできないので困ります。
フォーマルを着るときに一番大事な心構えは、不安なく自信を持って着る、ということに付きます。
そのお手伝いはお任せください。
話が長くなっちゃったな。次行きます。


Nさんから、長く愛用してきたアイリッシュリネンの紺のジャケットが、さすがに傷んできたので、そろそろ買い替えたい、というご要望をいただきました。
運よくバラケの生地に、Spence&Brysonのアイリッシュリネンの綾織で、明るめの紺無地がありましたので、
迷わずこれを注文しました。
ちなみに、Spence&Brysonはしばしばアイルランド製、と言われますが、
Spence&Brysonの発祥地も現在の織元であるUlsterWeaversも、アイルランド島のアルスター地方、すなわち、北アイルランドに属するので、
正確にはUK,つまり英国製になります。
打ち込みのしっかりした綾織のアイリッシュリネンなので、結構重たいし、通気性もそれほどではなくて、
リネンと言っても決して涼しいという感じではないのですが、
それこそがNさんが長年の愛用品の買い替えとして求めていたモノなのでした。
一年ぐらい着込まないと味が出てこない、これぞアイリッシュ・リネン、であります。
これも那須夢工房に縫製を依頼しました。プレスワークを多用し、肩から首周りの収まりが美しい那須ならではのフィット感です。
同時に頼んだのが、黒のリネン無地のトラウザーズ。こちらは、国産の平織りで軽量、気軽に使える素材を選びました。

続いては、靴を作ろう!!キャンペーンの仕上がり、後半です。

Iさん、10年以上前に作ったダブルモンクがさすがに傷んできたので、作り替えです。
以前は無料でできたストラップのゴム入れですが、今は有料になっていまして、ごめんなさい、です。
でもモンクシューズのストラップは壊れたら靴全部がオシャカになってしまうので、
なるべくならいじらないほうがベターでして、有料でもゴム入りに変更することをおすすめしています。


Sさんのセミブローグ、すべてにブローグが付きメダリオンも付いていて、これを「セミ」と呼ぶのもなんだかなぁ、と思うのですが、フルブローグ(いわゆるウイングチップ)と区別する意味でセミブローグ(いわゆるストレートチップ)と呼びます。フルブローグよりもセミブローグのほうがビジネス寄りなので、お仕事用としてはセミのほうが人気があります。
実はこの靴も、買い替えです。Sさん、10数年前に作った靴を何度かリペアをしながら履き続けてきましたが、今回宮城興業にリペアとして送ったところ、バラしてみたら相当傷んでいて、直せなくはないけれど新たに作るよりも高くつくし、サイズも少し小さくなる、との見積もりが出てしまったので、リペアを諦めて同じものを一足作ることになったものです。

こちらも同じSさんのオーダー。ちなみに、同じ人が同じサイズで複数足をご注文される場合、
同じサイズのラスト(木型)を一人で2足使ってしまうと、万一そのラストに別の方から新たな注文が入るとラスト不足になる恐れがあるので、それを避けるために一足ずつ作ることにしています。これを、ラストの回転待ち、と呼びます。Sさんの場合も同様で、概ね納期が3週間ほどズレます。
今までよりも少し趣を変えたい、というご希望でしたので、
デザインをサドルシューズにして、革も型押しの革を使って、少し野趣っぽくしてみました。


サドルシューズといえばコンビが適してます。サドルシューズがきれいに3分割のできるデザインだからですね。
Yさんからのご注文です。前部分と後ろ部分とベロ、これが型押しのブラウン、真ん中のサドル部分とかかとのバックステイをベロアのタバコカラー、で色分けしました。スポーティさを出すため、底部分の色合いは薄茶色にしました。Yさん、コンビのサドルだけで一体何足お持ちなんだろうな。

ということで夏の終わりの出来上がり紹介でした。
次回の出来上がりは、いよいよ「シャツを作ろう!!~エコノミーサービス」のご紹介となります。