入荷速報。3年目も本気。ロンドン「コーディングスCORDINGS」のモールスキンのトラウザーズ。当店ではウォッシュ&プレシュランク、さらに裾上げ時にはボタン補強をしてお届けします。今年は3色展開。



3年目も本気。英コーディングスCordings、モールスキンのトラウザーズ、
今年は3色展開で、オリーブグリーン、キャメル、新色の利休鼠(りきゅうねずみ)。ネイビーは一年お休みします。

こうやって届いたものはレアな状態、ここから、5日間の格闘で、こう。

タグを外して、裏返しにして、たっぷり洗って、高温で長時間乾かし縮ませて、
また表向きにひっくり返して、ジーンズたたみにたたみ直し、
血合いのように強く残った谷シワはスチームと低温プレスで取り除き、タグを付け直して、と、
ふぅ、コインランドリーにはいろんな人が出たり入ったりするんだ、と観察できました。


一昨年に書いた原稿に加筆訂正しつつ2023年の解説文といたします。

コーディングスCORDINGSは、1839年創業で180余年の歴史を誇る、
ロンドン・ピカデリーにあるブリティッシュ・カントリーウェアの専門店。
私も何度行ったかしれません、いつも冷やかしばかりでしたが、ずっとずっと憧れの店でありました。


一度経営危機に陥ったとき、この店の大の顧客であったエリック・クラプトン氏が支援を引き受け、
現在もE.C.が筆頭の大株主として経営を支援していることも、この世界ではよく知られた話です。
そのコーディングスの商品をまさか自分の店で売ることができるなんて、
夢にも思ってませんでした。

3年連続の入荷、モールスキンのトラウザーズです。
生地は当然というか必ずというか、英国ブリスベン・モスBRISBANE MOSS、の生地です。
英国の生地と言えばスーツやジャケット生地のような毛織物が多いのですが、例えば西ヨークシャーの名だたる毛織物のミルももともとは綿織物から創業したところも多く、
いわば、ブリスベン・モスはかたくなに綿織物を守り続けた稀有なブランドとも言えまして、
特にこのモールスキンは、他社の追随を許さないブリスベン・モスを代表する素材といえます。
英国でモールスキン(モグラ肌、の意)といえば、ブリスベン・モス、このヘビーな素材以外にありえません。


今年のモールスキンの展開は3色。オリーブ、キャメル、利休鼠。

オリーブは一番モールスキンらしい色と言えるでしょうか。
まずは最初に一本持っておきたい色です。


ボタンフロント、ベルトレス、ブレィシス(サスペンダー)釦付、は、
ジッパー発明の前から続いてるんだぞ、のコーディングスの矜持みたいなもんでしょうか。
シルエットもクラシックで、股上深めでそれほどに細身ではありません。
でも裾幅20cmですから裾周りはスッキリ、です。
ウェスト仕上がりもサイズ表記と比べるとやや大きめです。

キャメル。赤みのあるらくだ色です。これはぜひセーターと合わせたいです。モグラ感が一番わかる色です。
チノだと寒そうだし、コーデュロイでは野暮ったいし、というときにこのキャメルは最適です。



ベルトレスですが左右にゴム入り(背中部分にあり表からは見えません)のアジャスターがあり、
6cmの調整が効きます。
ベルトレスと言うと抵抗を示される方も多いのですが、それが違うんです。私も3本買って
履いてみて感動したのがこのベルトレス、ゴムとアジャスターのおかげで、
ホントによくフィットするんですね、まさにベルトいらず=ベルトレス、であります。
6cmも調整できるので、多少太ったり痩せたりしても、大丈夫です。

最後は新色、利休鼠です。


この色、印刷や画像だとなかなかうまく伝わらない色なのです。しかも英国の色名がLOVATですが、
我々がツイードなどでよく知っているロバットグリーンとは全く似てない色なので、
こりゃ混乱するよな、ということから、当店はイメージとして捉えて欲しくて
勝手に利休鼠と名付けました。
茶人・千利休が好んだ茶器の色で、緑がかったねずみ色を指します。
こういうネズミがいるわけではないので念のため。
試みに利休鼠で検索をしてみてください。この色合いが理解できるはずです。
多分北原白秋の名も出てくるでしょう。我が高校の校歌も作詞してます。また城ヶ島は中学1年生のときに遠足で行きましたが、雨ではなかったです。余談が過ぎました、失礼。

さてここからが当店独自の施しになります。
洗濯表記がドライクリーニングのみになってますが、
モールスキンは元々が冬の作業着から由来する素材、洗ってこそ味の出る素材です。
でも洗うと縮みそうだよなぁ、ということが心配になりまして、
日本で一番コーディングスに詳しい富山のKさんに電話をかけて相談しました。
彼は実際にロンドンのコーディングスに勤務し、販売と仕入れを経験しており、
帰国後も、長年に渡りブリスベン・モスのモールスキンの取り扱いを続けているので、
彼の意見をぜひ聞いてみたかったのです。
で、彼の意見を取り入れた上での当店の結論ですが、
全部一度洗ってから販売する、ということにしました。
これ以外の方法は考えられませんでした。
で、先述の5日間の行程です。
案の定3cmほど縮みまして、また当然風合いも変わりました。あたりが出ていい感じに古ぼけました。
タイトルの総合写真もワンウォッシュ後のものです。

サイズ表です。エージェントの資料にウェストの調節幅や数字の単位を手書きで書き加えました。
たとえば普通は32インチだと81cmが通例ですから
こいつがやや大きめの仕上がりだとお分かりいただけるでしょう。


それから、もう一つ、昨年からのことです。
フロントのボタン付けが甘いことがあるので、裾上げ加工のときに必ずボタン付けもチェックし、
付け方の甘いボタンはしっかり補強をすることにしました。
小用で構えたらアサガオにポトン、じゃ、笑い話にもならないですから。

それから、もう一つ大切なこと。価格です。
英国ものは値上がりが激しく、この商品も今年は33,000円(税込)となりました。
加えて、当店独自の施工として、洗い加工、ボタン補強、裾上げ、を施しますので、
加工料として1,430円の加算を申し受けます。(この加算はエージェントの了解を得ています)
ですので、当店での提供価格は34,430(税込)となります。どうかご理解ください。
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サイズ切れが起きやすい商品なので、色、サイズ、別の詳細な在庫は
webShopに反映させます。
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※通販時の裾上げについて。股下寸法をご指示いただけましたら裾上げ(3つ巻ミシン縫い3cm幅)いたします。ただし裾上げ加工後の返品や交換には応じられませんのでご了承ください。
裾上げの目安です。参考までに。

まだもう少し縮むかも、ということで、ややクッションする程度に長めにピンを打ちました。

さらに余談。先日映画「Concert for George」を観てきました。Paul MaCartneyのピアノのイントロで始まった While My Guitar、E.C.のボーカルとギター、泣いちゃいました。歌を聞いてあんなにボロボロ泣いたのは久しぶりでした。
E.C.と同じギターはとても弾けないけど、E.C.と同じズボンは履いてるよ、今年で4本目だよ。