雑誌掲載記事のお知らせ

発売中の雑誌「2nd【セカンド】」に、
私の書いた本「アイルランド/アランセーターの伝説」が紹介されました。
(vol.35 / 2010年2月号・2009年12月16日発売・P.175)

Aransweater091218

このこと自体は大変ありがたいことなのですが、
掲載記事のレイアウトが、
まるで私の本が他社のセーターを推奨しているかのような誤解を
招きかねない体裁になっています。
読者の方に誤った判断をしていただきたくないので、
ここで以下のように一文をしたためました。

「当店のアランセーターとスコットランド製の柄編みセーターとの違いについて」

当店のアランセーターをスコットランド製の柄編みセーターと混同されて
問い合わせをされる方が多いようです。
アランセーターの発祥地はアイルランドのアラン諸島(Aran Islands)です。
英国のスコットランドにあるアラン島(Arran)とは無関係です。
当社で扱うアランセーターはすべてアイルランドのアラン諸島の編み手によって編まれたもので、
スコットランドで編んだものではありません。

当社のアランセーターと混同されることが最も多いのが、
スコットランドのInverallanというニットブランドの商品です。
が、両者は産地も違いますし、AranとArranとallanでは綴りも全く違います。

そもそもLLというスペルはウェールズ地方によく見られる表記で、
ラ行よりも英語のthやドイツ語のch(バッハのハ)に近いのどを鳴らすような発音をします。例えば Llangollenという地名がありますが、
これは日本の多くのガイドブックがカタカナではスランゴスレンと表記しています。
ですので、もしかしたらInverallanもインバーアランではなく、
インべラスランとかインバアフランと書く方が現地の発音に近いのかもしれません。

日本人がRとLの区別が苦手なことを幸いに
日本の取扱業者がアランセーターとの混同を意識的に図ったものではないか、
と考えるのは、私だけののひねくれた思いでありましょうか。

但し、誤解のないように申し上げますが、Inverallan自体は
それはそれでとても良質なセーターです。
私どもで扱うアランセーターは編み手がその裁量で自由に編んだものですので
編み手によって柄もサイズもすべてまちまちで、
販売にあたってはとても手間暇が掛かり、
私どものような小規模の専門店でないとなかなか取り扱うことができません。

対して、Inverallanはハンドニットでありながら誰が編んだものでも
柄が全く同じでサイズもほとんど同じ、に仕上がっています。
これは相当に厳重なクオリティコントロールがないとできない芸当ですし、
大量販売にも向いています。

アラン諸島で編まれたリアルなアランセーターに固執するのでなければ、
Inverallanは大変良い選択肢のひとつではないかと思います。