出来上がり紹介。スーツ、ジャケット、トラウザーズ、シャツ、靴、そしてタイ。

物売りに忙しくて、出来上がり紹介が溜まってしまいました。
一気にご紹介です。
大きいものから順に。まずスーツ。

今春大学の入学式に臨む18歳のAさんに作ったスーツです。葛利毛織のウール100%ナチュラルストレッチのミッドナイトネイビー無地です。
未成年の方にスーツを作るのは正直あまり得意とは言えないのですが、ラガーマンの彼はかなりの大柄で既製品では合うものがなく、以前にお父上にスーツを仕立てた当店にお役が回ってきまして、お引き受けしました。
服というのは、大きい体の人ほどゆとり量を少なく取らないとダボダボに見えてしまいます。さりとて大きい人ほど窮屈に作ると動けなくなります。
特に若い人だとその塩梅がとても難しいのですが、なんとか喜んでいただける仕上がりでホッとしました。
コロナの影響で入学式があるのかどうか自体が微妙らしいのですが、
このスーツが晴れ舞台でお役に立てることを祈ってます。

ジャケットです。大きさも季節も正反対の2着。面白いものです。

小柄なKさんからは、ハリスツイードのジャケットのご注文です。インディゴブルーのヘリンベーンです。
デニムに合わせたいとのことで短めの着丈で仕上げました。


静岡を離れてもつながっているお客様も多いんです。
Tさんは静岡からご家族で東京に移られてしかもその後京都に単身赴任。
お正月の帰省も大事を取って新幹線でなく、レンタカー、
その途中に静岡に寄ってもらってのご来店です。
夏物のジャケットがヘビーローテーションでくたびれてきたので、いよいよ買い換えです。
おんなじ生地がいい、というご要望で、夏の売れ筋、カノニコのウールメッシュ素材です。
生地は同じですが、スタイルはよりかっこよく、フロントカットを大きめに、袖先を細く、と、大柄のTさん、数年前よりも体は大きくなっていましたが、
多分見た目は前のものよりもスッキリと見えているはずです。
真夏に冬物を、とか、真冬に夏物を、といった季節が反対のご注文は、お客様の都合で意外にあることなんですが、
そんなご注文にも難なくお応えできる、これはオーダーのいいところでしょうね。

トラウザーズです。
Yさん父娘のオーダーです。どちらも葛利毛織のブリティシュフラノやカシミア混のサキソニーを手配しました。

父の方から。左から、チャコール、ダークグレー、そしてトープ。
トープtaupeはモグラの意ですが、モグラ色っていうのもピンとこないので、
こういう色をトープと呼ぶことが多いです。

娘さんの方はミディアムグレーとダークグレー。どちらもやや青みのあるグレーです。
メンズの型紙から作ってますが、股上や裾幅などかなり女性向きにいじっています。

シャツに行きましょう。

愛知県のAさんから、再びリモートでのオーダーです。
左、カリビアンコットンシルバーラインの100/2G、サックスの細いロンスト。
生地入れ替えで3,000円offになった生地群から選びました。
右、トーマス・メイソンのブロード青シャツ。前にも言いましたけど、この青の色、日本の生地ではなかなか「ありそでない」色です。

白の無地オックス2枚はNさんのご注文。左右の2枚の違いを探しましょう。
左の生地、定番のピンオークスの真っ白。右はビンテージオックスの白でやや生成りがかっていて生地に重みや膨らみがあります。
左の衿型、ホリゾンタルカッタウェイ。右は、伊F社っぽい高い台衿にカーブの付いた色っぽい衿のナポリカッタウェイ。
左袖のイニシャル刺繍も微妙に変えていて、左はネイビー、右は少し明るい「ブルー」の指示です。
こういう間違い探しみたいな2枚オーダーは、うっかりしているとどっちにどっちだか、混同してホントに間違えやすいので、慎重に慎重に、オーダーシートを書きます。

靴です。

清水のYさんからのご注文。ご子息の婚礼のためモーニング姿の足元に新調しました。チゼルのラストでプレーントゥ。シンプル・イズ・ザ・ベスト、です。


伊豆のFさんからは、スウェードの紺のチゼル・フルブローグ、
♪one for the money, two for the show♪の”blue suede shoes”ですが、
特にFさんがエルヴィスのファンだというわけではないようです。

最後は今日届いたネクタイ。

これ2本口じゃなくて、一本です。Iさんからの小注文。
両端とも大剣のツインタイ、と言います。
普通に締めて使えますが、ループがないので、気になるようなら裏側同士を安全ピンで留めてください。

以上、出来上がり紹介でした。
ご用命ありがとうございました。

 


出来上がり紹介。靴、シャツ、礼服、ジャケット、トラウザーズ。

この2週間に仕上がってきたものです。

フルブローグ(ウィングチップ)は茶系で作る方も多いのですが、
なぜか黒で作る方が続きました。
スーツよりもジャケットスタイルに合わせたい、とのお考えなのでしょう。
中の革の色は、ダークパープルをチョイス。やってみるとそれほど派手じゃないです。


普段はシンプルな黒のプレーントゥや一文字ばかりのSさんですが、
珍しく遊びのある靴のオーダーです。
竪琴のようなフロントデザイン(アデレード)のセミブローグ(ストレートチップ)を中茶のスウェードで作りました。
革底に半革のヒール、ネーム入りのインソール、は、彼の矜持でしょう。


オフタイムのチェックのシャツを3枚同時に頼まれました。
左、伊製の英国ブランド「トーマス・メーソン」からオックスフォード織の紺ギンガムです。意外なことにこの大きさのギンガムはよそにはなかなかないんですよ。
中、国産カリビアンコットン100/2Gの綾織で、タッタソールの格子。黒と茶の2色構成は男性的で引き締まります。
右、国産の三子糸(3ply)使いのオックスフォードで、タッタソールチェックの中では基本のキな、赤と紺の2色もの。3枚とも同じ衿型、ボタン位置で、全く同じように見えますが、一箇所だけ違うのに気が付きますか。はい、カフの幅です。他の2枚がノーマルな7cm幅なのに対して、これの赤紺タッタソールだけは6cm幅。
なぜか、と言うと、他の2枚はウールタイやニットタイなどでタイドアップのスタイリングもあり得るのに対して、これは洗いざらしのシワ感を残した、もちょっとくだけたスタイリングのほうが適していると考えたからです。これ、発注主からは言われてないけど私が勝手に内緒でアレンジしました。許して、Yさん。




Sさんからブラックの略礼服のご注文。胸や肩はしっかりあるのに首が細い、という体型故に既製の服が合いにくいのです。
私が一番オススメしているカシミア5%入りの葛利毛織の生地で作りました。
フォーマルはいじれるところが少ないのですが、ちょっとだけ工夫をいれました。
まず「拝みボタン」。こうしておくとディナースーツの代用になります(その時は脇ポケットのフラップはしまってしまいましょう)。それと写真では見えませんが、組下(トラウザーズ)の持ち出しをなくし、普段は付けるベルトのステイループも付けませんでした。こうすると、ベルトレスのようにも見せられるからです(その際は上着のボタンを必ず留めてベルトループが見えないようにしてください)。


今年から始めた英FOX のフランネルで、ジャケットのオーダーです。
フラノといえばフォックス、と言われるだけあって、よそにはない、ほんとに不思議な色合いです。

拡大ルーペで見るとグレーの色しかないのに、
生地全体で見るとなんともアース感のあるや若い色合いになるんです。
多分、メランジ(杢(もく))のブレンド具合が絶妙なんでしょうね。
このオーダー、やり方も初体験で、他県にお住まいのAさんとテレビ電話で接客いたしました。お互い粘り強くやりまして、なんとか完成にこぎつけました。

で、ですね、このフラノをAさんにお勧めしているうちに、
私もこの生地が欲しくなっちゃいまして、一緒にトラウザーズを作ってしまいました。
どうせ作るなら、と、アルデックスから提案のあった最新モデルのスリムな型紙でやってみました。どうですか、ウェスト88cmには見えない、すっきりデザインでしょ。これがなかなかの履き心地、お気に入りで今日も履いてます。





 

 

 


出来上がり紹介。フェア期間中に受けたシャツが次々に仕上がってきました。

11月前半に実施したフェア期間中に受けたシャツが
次々に仕上がってきました。


不動産会社の代表Yさんのオーダー。
軽めのニットジャケットの中にノータイで裾出しのシャツ、ボトムはデニム、というスタイルのYさんのチョイスは、ドレスっぽい、と、デニムっぽい、の、両極端な2枚でした。
左はトーマス・メイソンの細番手ブロードのブルー無地。
このブルーの色は、ありそうでない色でして、実は隠れた売れ筋です。
右はインディゴ素材で極小のドット入り。仕上がったあとに製品洗いでブリーチしていまして、そのため到着が一週間遅れました。


六法全書が必携のNさんは、肌触りの柔らかな極細番手の生地を選びました。
左の白無地は、国産最高峰クラス、スビンコットンの160/2G(160番手双糸ガス焼き)。シルクよりすごいかも。
右は、イタリア製S.I.C.170/2(海島綿170番手双糸)のストライプ、うっすらグレーベースです。
ワイド系の衿型だとスーツのラペルに当たるのが気になるということで、いつもレギュラーの衿を指定されます。


レディスを2枚ご紹介。
左、Yさんのスタンドカラー。カリビアンコットン100/2Gのドレス向きオックスフォードで、ライトグレーの無地です。
せっかくのオプションフェアですので、白蝶貝、フライフロント(比翼前立)、袖口に銀のトカゲ、の3つを盛りました。
右は、OLのKさんから。3ply(三子糸)のオックスフォード素材で、赤x紺のタッタソール格子。
英国カントリーらしい素材ですが、ラウンドカラーで女性っぽさを出しました。白蝶貝とポケットチーフはオプションフェアならでは。


Hさんからはオフタイムのシャツのご注文。
左、トーマス・メイソンのオックス素材で大きめ柄のギンガム。
BDじゃ当たり前すぎて面白くない、というご意見から、フィナモレ調のナポリカッタウェイにしてみました。
右は綿ネル素材。この衿型、見たことないでしょ。
実はどんな衿でもボタンダウンにする、という画期的なアレンジができるんです。それを使って、ホリゾンタルワイドのボタンタウン、というものを作ってみました。

しかも前立のボタン位置を標準よりも2cm高くして、開き巾を狭くしています。
これ、大成功でありました。
カントリーっぽさを出すために、ボタンはマーブルボタンにしています。


高校の先生、Tさんは、柔らかくてしかもちょっと光沢のある感じの素材がお好みです。
カリビアンコットン120/2Gの最新品番2色、グレーとブルー
をチョイスいただきました。
衿型は、近頃最もご注文が多いNewセミワイドの衿型から、
衿先をくるんと丸くしたラウンドチップという衿です。
これだと王子様のようにならないです。

わかりますか。無地のようですが、細かーい亀甲紋の柄物です。


音楽ライブエンタメの会社にお勤めのMさんから楽しいシャツのご注文。
カンクリーニの赤いストライプに
ホリゾンタルカッタウェイのクレリック。
刺繍は衿(左側)にも入れられるんです、ギョーカイっぽく8分音符です。
袖口は白くしない、というのが成功の秘訣です。カフスまで白くしちゃうとバニーガールみたいになっちゃいますから。

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皆様、ご注文ありがとうございました。



出来上がり紹介。スーツと靴。

スーツの仕上がりです。

大学の先生からのご注文。
今までは割と重ため硬めの英国的素材が多かったのですが、
今回、バラケ生地の中から、伊Z社のふんわりした素材を選んでもらいました。
これぞイタリア服地、という感じの包まれるような感覚の生地です。
無地に見えますが、実はチェックです。

わかりますか。


焦げ茶のスウェードでサイドモンクストラップ、は、
中学の先生からのオーダー。
29.0cmでチゼルのラスト、と、過去最長記録を更新です。
比較のために左に置いた私の靴(宮城デン25cm)が子供の靴のように見えます。



出来上がり。靴の出来上がり紹介です。

カントリーブーツをグレーの革で作りました。
この色を作るのは2足目、久しぶりです。
アンティーク感があっていい色ですよね、Kさん。

Oさんからは、アデレードのセミブローグを赤茶の革で、のご注文でした。
腰裏はダークパープルで遊んでます。


フルブローグ、つまり内羽根のウィングチップですが、
このデザインを黒い革でいただくことは意外にないのです。
でも、なんかグラスゴーのビジネスマン、ってな感じで、Nさん、いい感じですね。
紗乃織靴紐に付け替える前なので、紐を通してません。

いろんなオーダーをいただきますが、このデザインが一番多いのです。
キャップトゥでスワンネックステッチ。キホンのキ、でしょうか。
こちらも紗乃織付替前でまだ紐を通してません。Tさんからのオーダー。

 


出来上がり紹介。スーツやジャケットの出来上がり。

W.Billのフェニックスという生地で作ったFさんのジャケットです。
秋冬のジャケット生地の中ではかなり薄手で、スーツと同じぐらいのウェイトしかないのですが、その薄さ軽さが他にない特徴で、
真冬ものへいくまで、または春物へ移行する前、こういう時期に着るには最適のジャケット生地です。

フラノといえばFOX,FOXといえばフラノ、というくらい、
フランネルの代名詞、FOX BROTHERS のチョークストライプのミディアムグレーのスーツ、Iさんからのオーダーです。風格あるなぁ。


ハリスツイードの今年の新柄で、Yさん(女性)から、ジャケットとベストのオーダー、
メンズ仕立てで女性合わせに作りました。
重ねて着ることはしないでそれぞれ別に着たいということでしたので、
ジャケットには4つ穴の革ボタンを使い、またベストは背中にも共のツイードを使いました。

そのYさんのお嬢様に選んだ生地は、オーストリアのローデンクロス、
ボルドー色です。チロリアンジャケットの生地ですね。
こちらはレディスの型紙でレディスのファクトリーに入れています。
(レディスはゲージサンプルを処分してしまったので、以前からのデータのある方にのみご対応しています。新規のご注文は受け付けていませんのでご了承ください)