生地の紹介。ツイードを中心に秋冬のジャケット生地を一覧でご案内します。

遠方の顧客から「ツイードのジャケットを考えているんですが、どんなラインナップがあるのか教えてください」という問い合わせが入りました。
かなり広範な漠然とした質問に、どう答えたものか、と、思案した結果、
いっそこれを記事にしてしまおう、ということで、
いきなりですが、こんな生地がありますよ、と、一気にまとめてご紹介することにいたしました。

バンチの表紙を一覧で撮りました。

☆ハリスツイードHarris Tweed(英スコットランド・アウター・ヘブリディーズ諸島)

泣く子も黙る?ハリスツイード(登録商標)です。
あまりにポピュラーなので、もう詳しい説明は不要でしょう。
世界の各マーチャントがそれぞれにウェイトや色柄を指示して発注するので、
マーチャントによって展開内容は異なりまして、
当店での展開は、全幅(150cm幅)のフェザーウェイト。
フェザー(羽根)級と言いながら、490gもありますが、これでも軽い方に属するわけです。
2023年はご覧の28色柄の展開です。
ジャケット参考価格69,000円((税別・以下同様)~。

SALEです

この色柄、手持ち生地が一着分だけありまして、割引価格で提供します。
ここの記述部分は売れた時点で削除します。

☆ポーター&ハーディングPorter&Harding・ハーツイストHartwist(英スコットランド・ホーウィック)

いわゆるロバットツイードです。スコットランド・ホーウィックのロバットミルLovat Millで織られています。
ここには私一度訪れたことがあります。こんなに音の大きいうるさい工場は他にないです。
なんで緑ばっかりなの?、の私の質問に、だってスコットランドの森は緑だろ。とのあっさりした答え。
そうか、この生地、森の中ではカモフラージュになるんだ、と、納得。
スコティッシュカントリーウェア、の代表選手で、ヘビーなツイードです。
当店での展開生地は560g、一番重たいのですが、ロバットの中ではこれで中ランクぐらい。
これ以上重いと現実離れ、怖いもの見たさ、の類になります、というのが私の見解です。
ジャケット参考価格87,000円~。

☆ダブル・ビルW.Bill シェトランド・ツイードShetland Tweed (英スコットランド)

W.Billは、ジャケット生地が得意なブランドで、よそにないユニークな色出しが得意です。
この生地についての情報は少なくて、はっきりは言えないのですが、
シェトランドと言っても、シェトランド諸島で織っているのではなくて、
シェトランドウールを使ってスコットランドの何処かで織られているものだと推測します。
ツイードながらソフトで軽く、ウェイトは390gです。
ジャケット参考価格73,000円~。

☆ダブル・ビルW.Bill ドニゴール・ツイード(アイルランド・ドニゴール県)

ネップと呼ばれるカラフルな色糸の混じりが特徴のドニゴール・ツイードです。
ドニゴールには最大手のマギーを始めとしていくつかのミルがあり、
W.Billがどこのミルに発注しているのかは不明ですが、
さすがW.Bill、色出しがうまいです。
ウエイトは440g。ハリスが食傷気味になっている人には最適かもしれません。
ジャケット参考価格75,000円~。

☆モロイ&サンズMolloy&Sons ドニゴール・ツイード (アイルランド・ドニゴール県)

いい意味でクセを弱めたドニゴールツイードです。
ネップもおとなしめですし、ウェイトもやや軽め、
レディスのスカートにも使えるほどの汎用性がウリの生地です。
ジャケット参考価格73,000円~。

ツイードはここまでですが、ジャケット生地として人気の高いものも一緒にご紹介します。

☆ハリソンズHarrisons of Edinburgh・ムーンビームMOONBEAM (英スコットランド)

ハリソンズのムーンビームは、通称ラムアン。
ラムズウール75%アンゴラ25%のブレンドは、カシミアタッチなブレンドとしてポピュラーな素材です。
ツイードの粗野なイメージとは異なり、ラムアンは都会的なラグジュアリー感があります。
ウェイト320g。ジャケット参考価格98,000円~。

☆ダブル・ビルW.Bill・フェニックスPhoenix (英スコットランド)

W.Billらしい上手い色出しですが、この生地の特徴はズバリ軽さ、薄さです。
290gはスーツと同じぐらいの重さしかないのです。
ジャケットというのは、スーツよりも季節感を演出するものなので、
ついついヘビーなものに気持ちが行ってしまうのですが、
この薄さのジャケットは実に重宝なんです。夏や真冬以外の8ヶ月ぐらい、出番が多いんです。
ジャケット参考価格80,000円~。


えーい、ついでだ、ジャケットにお勧め、として、あと3つ。

☆キャバリーツイルCavelryTwill (ホイップコードWhipCord)

乗馬服のイメージが強い素材ですね。いろんなところから出てきている素材ですが、
たまたま今年、伊カノニコから送ってきた総合バンチに手頃な価格で入っていたので、
これを取り上げない手はない、と思い、ここでご紹介。
440g。ジャケット参考価格65,000円~。あとトラウザーズとしてもオススメで43,000円~。

☆ライヒトフリートLeichtfried・ローデンLoden (オーストリア・チロル地方)

チロリアンジャケットとしてよく知られるローデンクロス。
ボイルド、つまり熱湯で茹でて茹でて縮ませてフェルト化させている織布です。
おなじみのローデングリーンの他、フラノに似た色合いのものもありますが、
フェルトなのでフラノほどの毛羽立ち感もなく、
また、見た目よりもずっと軽く仕上がるのも人気です。何しろ360gしかないんですから。
ジャケット参考価格69,000円~。

☆フォックスのフラノ Fox Brothers.Classic Flannel (英イングランド)

フランネル。我が国では、綿だとネルと言われるのに、ウールだとフラノと略される、不思議な言葉。
フラノといえば、これまた泣く子も黙る?、フォックスのフラノです。
私、思うに、特に、上から3つのグレーの杢の色出しは絶対に他所では出せない、
冷たさのないミネラルな色合い、ではないかと。
写真は370gのもの。ジャケット参考価格103,000円~。

ふうっ、泣く子も黙るで始め、再び泣く子も黙るで締めました。

こんな感じで原稿書きました。