入荷情報。長いこと生地屋さんと付き合っていると時々出物の生地が手に入るんです。英国製ピュアカシミア紺無地やドネガルのヘビーツイードなど、一点ものの手持ち生地を紹介します。

普段の生地選びはバンチと呼ばれる見本帳から選びますが、
時々バンチにない生地が買える機会があります。
今までは店頭でのみご紹介していましたが、
せっかくだからここで記事掲載をしてみます。

☆W.Billピュアカシミア(ライトウェイト)紺無地
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今シーズンから取り扱いのスタートした英国ロンドンのマーチャントブランド「W.Bill」からの出物です。
正確なウェイトは不明ですが、カシミアのジャケット生地としては薄手に属しますので、
フラノのブレザーなどよりも軽くふわりと着られます。ジャケット参考価格94,000円(税別)。

☆W.Billドネガルツイード(ヘビーウェイト)チャコール猫足斑無地調
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同じくW.Bill から、アイルランドドネガルツイードのヘビーウェイトもの。
この手の生地は、ヘリンボーン織はよく見るのですが、
斑目の杢調な無地ライクなものはなかなか手に入らないので、現物買いしました。
参考価格、ジャケット88,000円、コート115,000円(ともに税別)。

☆Dormeruilホイップコード・ブラウン
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ドーメルはパリの会社ですが、生地はほとんどが英国製です。
キャバリーツイルとも呼ばれる綾織の生地で、
乗馬用のコートやジャケットに好んで使われます。
茶系の無地に見えますが、実はブルーやピンクなど10色ぐらいの色が織り込まれていて、
深い味わいがあります。
ジャケット参考価格89,000円(税別)。

☆Dormeruilアマデウス・ジャケッティング

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ドーメルのジャケット生地で、スーツと同じぐらいのウェイトなので、
秋も春も万能に使えるのがアマデウス・ジャケッティングです。

一般にジャケット生地はスーツ生地よりも季節感を打ち出すことが多くて、
どうしても夏はより夏っぽく、冬はより冬っぽく、という生地の多い中、
このくらいの厚さ(薄さ)のジャケット生地は意外になくて、
持ってて重宝な生地であります。

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ひとつは、ブルー系の極小千鳥格子、
もう一着は、ブラウン地に紺色使いのマイクロギンガム。
もちろんどちらも英国製です。
ジャケット参考価格89,000円(税別)。


入荷速報。冬ならではのフィルメランジェ、メリノウールダブルフェイス生地の一枚仕立てのジャケットHanns。

秋冬のフィルメランジェが好きなのは、ウール素材をやってきてくれることです。
裏毛のパーカーや吊り編みのTシャツなど、綿素材の印象が強いフィルメランジェですが、
そのモノづくりの感性をウールに転換すると、
これまた他にないうまい商品を作ってくれます。

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表地は無地に近いような細かい千鳥格子柄のメリノウール、
裏側にはフラノタッチの同色の杢無地、
これをシルク糸で表裏つないだダブルフェイス(二重織)。
素材表示にウール98%シルク2%とありますが、その2%はつなぎ糸だったんですね。

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こうしてできた一枚布を、裏地も芯地も使うことなく、はぎ合わせのテクニックで
見事にうまいシルエットのジャケットを作っています。
センターベント代わりに入れたリブの三角マチなんかグッドアイデアです。

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生地の特性を生かし、衿、裾、袖口などのエッヂは切りっぱなしにし、
前ボタンはスナップボタンを配しました。
(多分ボタンホールを付けると穴が変形するからではないか)

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品名Hanns。青系(同melange)と茶系(商品タグについている色名はwine)の2色。
よくこの値段でできたね、と思える、その価格は49,680円(税込)。


入荷速報。ナイジェル・ケーボン、半分ずっこモノ、その5は、ホスピタルジャケットのアイデアをベストに転用した、ホスピタルベスト。今度は前と後ろで、織り地と編み地が半々です。

前項のホスピタルジャケットのアイデアをベストに転用しました。
ただ今度は左右じゃなくて前後の半分ずっこです。

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前身頃に、ラッセル編み生地、
後ろ身頃にローデン織り生地、
を配しています。
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同じく陸軍=アーミーと海軍=ネイビーの2色。価格36,720円(税込)。

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以上、これで、ナイジェル・ケーボン、半分ずっこのシリーズは、とりあえずおしまいです。

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ところで、半分ずっこ、って、皆さん言わないですか。
調べてみると、半分こっこ、って言うところもあるらしいですね。
「ハーフ&ハーフ」とか「フィフティ・フィフティ」とか、ほかの表現も考えてみたのですが、
半分ずっこ、が一番伝わりやすい言い方かな、と思いまして、
今回はそうしてみました。


入荷速報。ナイジェル・ケーボン、半分ずっこモノ、その4。野戦病院の傷病兵がはおるホスピタルジャケット、織り地と編み地が半々に。

いきなりですが、織り生地(weave)と編み生地(knit)の違い、ってお分かりでしょうか。

織りの物は経(たて)糸と緯(よこ)糸の2本の糸を使い面にします。
対して編みの物は一本の糸を往復させて絡ませて面にしていくものです。

ですので同じ糸を使っても織り生地と編み生地とでは手法が違うので
同じような風合いに仕上げることはかなり困難なことで、

例えばコンビネーション物をデザインするにしても、
織物同士、または編物同士で組織を変えたりしてコンビを考えるのが普通のやり方です。

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ところが、です。そこが普通じゃないのがナイジェル・ケーボンでして、
このジャケット、同じ糸を使いながら、

片やローデンクロスという織り生地、
こなたラッセルニットという編み生地、の

半分ずっこ、になっているというシロモノであります。

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ただし同じ色の同じ糸なので、パッと見は普通の単色ジャケットに見える、というのがミソ。
着込んでいくうちにそれぞれが違う経年変化をおこすので、
だんだんと二つの生地が区別のつくように見えてくるはずです。

さて、よく見て下さい。
前身頃も後ろ身頃もそして両方の袖も、
ついでに腰のポケットも、
見事に左右の生地が異なっているのですが、不思議に違和感がありません。

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デザインはホスピタルジャケットと呼ばれているもので、
野戦病院などの傷病兵が外出の際に寝間着の上に羽織るようにと考案されたモノ。

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オリジナルはかなり強いブルーだったそうで、
防寒だけでなく、脱走防止の意味もあったようです。

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入院兵が入れ代わり立ち代わり交互に着たり脱いだりするので、
ややゆったり目の作りでデザインも極めてシンプルなものになっています。
裏地もなく、また生地自体も多少の伸縮性があるので、
ニットジャケットのようなふんわりとした着心地です。

メンテナンスのしやすさを考えたのでしょうか、
前ボタンは取り外せる仕様になっています。

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陸軍=アーミーと海軍=ネイビーの2色。価格69,120円(税込)。


入荷速報。ジャケットを作ろう! 英国のジャケット生地、サンプルブックが揃いました。ご存じハリスツイードと新星W.BILLを紹介します。

英国らしいジャケット生地、いつものと新しいの、両方紹介です。

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☆ハリスツイード
まずはご存じ、ハリスツイードです。スコットランド西方の島で織られます。
毎年変わらないんでしょ、と思われがちですが、
今年の大きな変化は、重たくなったことです。
昨年までは400gのスーパーファインウェイトが主力でしたが、
今年はちょっと重たくなって、ほとんどの柄が490gのフェザーウェイトに置き換わりました。
世の中の声が、やっぱりハリスはこのくらい重たくなくっちゃ、というところなんでしょうね。

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チェックから無地まで、約40柄ありますが、すでに品薄品番が出始めています。
製作はまだ先でもいいのですが、生地の押さえだけでも早い方がいいと思います。
ジャケット仕立て上がり参考価格62,000円~(税別)。

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で、今年初登場は、W.BILLです。
実は私も卸元から紹介されるまで全く知らないところでした。

1846年に北ウェールズのモールドで小さな店を開業。
日本でいうと江戸時代後期、黒船来航の直前です。
ツイードやブランケット、カシミア生地などの独自の生地ぞろえで繁盛し、
1892年にロンドン進出を果たしました。

英米ではユニークなジャケット生地を扱うマイナーな服地卸として
貴重な存在だったようですが、日本ではそれほどには知られていませんでした。
それがこの度、ハリソンズを扱う英国最大の服地マーチャントLBDグループが
ここを買収したことで、一気に日本にも紹介されることになったという経緯です。

☆フェニックス made in Scotland
300g弱という、こういう薄手のジャケット生地が意外に今までなかったんですね。
秋口から春先まで(うんと寒い真冬だけはちょっと寒いかも)
長―く使ってもらえる服地です。
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24柄の見本が揃いました。
ジャケット仕立て上がり参考価格71,000円~(税別)。

☆シェットランドツイード made in Scotland
英国らしいツイードが欲しい、だけどハリスではかたくて重たすぎる、
もう少し肩の凝らない、ソフトで軽くて、だけど風合いのいいツイードはないものか、
という声、今までもありました。その答えがコレです。
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400g弱というウェイト、スコットランドらしい色合い、24柄がお目見えです。
ジャケット仕立て上がり参考価格68,000円~(税別)。

☆タッタソールのベスト生地 made in England
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こういう生地がちゃんとそろっている、というのもW.BILLの魅力です。
12柄もあります。ベスト仕立て参考価格29,600円~(税別)。

☆クラシックなウールコート Ireland and Austria
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コート生地もちゃんと用意してくれてるんです。
上4柄、アイルランドのドネガルツイード、ヘリンボーン柄。650gというヘビーウェイトです。
下4柄はオーストリア・チロル地方ののローデンクロス。520g。
どちらも、コートで115,000円~、ジャケットで81,000円~(税別)。

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ジャケットのオーダーは、生地取寄せに一週間ほど掛かるものもありまして、
全部で4-5週間ほどを要します。
5週間後というともうだいぶ涼しくなりますから、
今年はジャケット作ろうかな、というつもりの方は、もうそろそろ動き始めてください。

考えることはみなさん同じでして、生地の品切れはあるとき一気にやってきます。
どうか後れをとることのないよう、早めのアクションをお勧めします。


入荷超速報(仮)。今日から秋体制に切り替え。なので今入荷している新商品をばっと簡単に羅列しておきます。

実質的には今日から秋の体制に切り替えます。

いろんなものが実は届いていたり、もうすぐ届くのですが、
必ずしもお見せしたい順番に都合よく届くというものでもないのです。

で、入荷速報は、紹介したいもの、急ぐものを優先して、写真を撮って、解説を付けて、順次掲載しますが、
ここでは、今届いているものを取り急ぎ順不同で、簡単に紹介しておきます。

☆フィルメランジェ。長袖ハイネックのTシャツ。単独でもまたインナーとしても使えます。

☆新ブランド、オックスフォード・ブルー。到着しました。英国バーミンガムの自社工場で作る、ワックスドコートやキルティングジャケット。男女あり。海外で見つけてきた商品で知名度は低いですが、自信ありのファクトリーブランドです。

☆ジョナサン・リチャード。アイルランドから届いたのは、当店特注のウール無地のネクタイ。長さも幅も当店指定です。

☆クッシェンデール。アイリッシュウールのストール。当店別注サイズでキーワードはOne Third。

☆アランセーター。衿付きのカーディガン(アラン・レジェンド)は5色とも完納しました。出来るだけ早くWEBにも在庫が載せられるように現在準備中です。

☆もう一社からアランセーター。丸首プルオーバー(オモーリャ)は、一部がすでに成田まで届いています。9月10日頃には販売スタートできる見込みです。

☆ジェイミーソンのフェアアイルセーター。今年は早期展開ができそうです。成田からの通関を終えたようですので、これも9月初めには店頭に並べられるでしょう。

☆ドレイクスのネクタイ。今日届きました。新作約30本です。

☆無地セーター。英国イングランドはスメドレーのメリノウール、
スコットランドのホーウィックニットのカシミアとメリノ、どちらも9月初めの入荷です。男女とも。

☆ジャケット生地の見本が続々到着してます。
ハリスツイードの生地見本も届きました。
今年一押しは、北ウェールズ出身のマーチャントW.Bill。
薄手のウール生地やシェットランドウールなど、冬へ向かう前の時期(実はこれが意外に長い)に重宝するジャケット生地です。

☆スーツ生地は、ドーメル、ハリソンズ、葛利毛織、の定番生地がリセットされました。

☆新作ではないですが、シャツやパンツの定番も色サイズのリセットを進めています。

と、こんなところです。

さあ、いよいよ、今日から気持ち切り替えて、

秋、始めます。