スーツ・ジャケットの春夏生地②「ハリソンズ」

1863年エジンバラ創業のハリソンズ・オブ・エジンバラ

今は大きな服地卸LBDの傘下に属していますが、
ココの生地は、英国服地の王道を行く、といった感じで、
「仕立て映えのする」伝統的な色柄の生地作りを貫き通しています。

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春夏のスーツ生地、
ウール100%モノは、重たい順から、フロンティア(スーツ\93,450~)、ミスティーク(スーツ\109,200~)、ハバナ(スーツ\127,050~)、
また昨年登場したサマーキッドモヘア混のファイヤーフライ(ホタル)も注目生地です(\129,150~)。

ジャケット用にはメルソレアというバンチがあって、
コレには、打ち込みのしっかりしたアイリッシュリネン(ジャケット\77,700~)や
綿ツイル(ジャケット\69,300~)など、4種の素材が入っています。

※ハリソンズは、ご注文が入ってから生地が英国より空輸されますので、
工場入りまでに一週間ほど掛かります。
納期に余裕を持ってご注文下さい。


スーツ・ジャケットの春夏生地③「葛利毛織」

日本の毛織物産地といえば、尾州(尾張=愛知県西部)。
世界のトヨタだって元々は機織り機の製造がその始まりです。

今でも尾州には毛織物ファクトリーがたくさんありますが、
その中でも最古参に属するのが、葛利毛織(ブランド名はドミンクス)です。

この小さなファクトリーが近年にわかに注目を浴びてきた一番の理由は、
古い低速織り機・ションヘル織機でゆっくり織られるぬくもりと膨らみのある服地ゆえ。

当店では2008年からここと問屋を通さない直接の取引をスタートし、
この素晴らしい生地を中抜きのダイレクト価格で仕入れています。
品質と価格との比較では、最も高いパフォーマンスがあると自負しています。

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この春夏物では、約140柄の生地を用意しました。

最も種類が豊富なのは、スーツ\79,800~の生地で、
ウール100%を始め、モヘア混で40年前の柄を復刻したオールディーズパターンなど、
意欲的な柄もあります。

また、super140’S のトロピカル(スーツ\97,650~)や
キッドモヘア55%のクラシック素材(スーツ\99,750~)など、
イタリアのアパレルからも引き合いの入ってくるような最高級の素材も
手頃価格で調達できます。


秋冬の服地のトピックス。巴里発英国製の「ドーメル」です。

パリのドーメルは、スキャバル(本社ブリュッセル)と並んで、英国服地の老舗マーチャントとして以前からよく知られています。
古くからある街角の仕立屋さんのウィンドウには未だにドーメルの文字が看板ブランドして飾られていたりしてますから、ご年輩の方ですと、ちょっと懐かしい名前になるでしょう。

実は私も少し前まではドーメルはシニア向けのオールドファッションなブランドだとばかり思っていたのですが、昨年ぐらいからちらほらと業界内の仲間うちの間から(近頃ドーメルがいいらしいよ)という声が聞こえ始めたのです。
その噂は本当でして、日本の服地卸をエージェントにした従来のやり方を廃し、100%子会社の日本法人設立によるパリからの直販体制で、新しい展開を目論んでいたのでした。

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まずご紹介するのが、この新生ドーメルを代表する秋冬物服地「アマデウス」です。
イングランド中央部のファクトリーで織られるsuper100’sの服地で、約150柄あります。
驚いたのは「英国でもこんなに光沢感溢れる艶っぽい服地を織れるのか」ということ。服地に漂うこの色気は、「こりゃイタリアが誇るZニアやRロ・Pアーナにも負けてないよ」と感嘆です。スーツで\139,650を予定しています。

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もうひとつは「スポーテックス・ビンテージ」。
かつて英国紳士はゴルフをするにもスーツを着ていました。そういうスポーツ用スーツのため1922年にドーメルが考案した革命的な素材、それが「スボーテックス」(登録商標!)でした。
この生地のスーツは上下別々にも着ることができて、つまり今で言うセットアップスーツのルーツとも言えるのですが、実はこの厚さ(薄さ?)のジャケット生地というのが他では 意外に見あたらないのです。
秋冬らしいツイーディな素材感でありながら秋の早い時期から着られるジャケット、というご要望は以前から多く出ていましたので、このスボーテックスはそれに最適な素材としてお薦めしたいと思います。ジャケット\89,250~です。


秋冬の服地のトピックス。まずは「葛利毛織」です。

当店が初めて「葛利毛織」さんにスポットを当てて皆様にご紹介したのが4月のことでした
尾州(愛知県)産地の毛織物ファクトリーの中でも最古参に属し、今では貴重なションヘル織機でゆっくりとやさしく織られる葛利の服地は、近い将来必ずその注目度が増すことだろうと確信したものです。
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その後7月に工場を訪問し、先方の葛谷社長といろんな話し合いをしまして、そこから意気投合でとんとんと話が進み、
この秋冬物から葛利の服地を直接ファクトリーから仕入れられることになりました。
機屋とテーラー屋の直取引というのは、今までの日本の流通ではあまり例のなかったことですので、これはちょっと画期的な進化なのであります。
ま、ともかく、当店は葛利さんと今後ずっとがっちりと太い取り組みをしていきましょう、と固い握手を交わしたわけでして、
このたび早速に約100柄の服地見本を紹介できることになりました。私なりに分かりやすいように並べ替えて何枚かのシートにまとめました。
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ベーシックな無地のサキソニーやフラノはもちろん、グレンチェックやヘリンボーンなど定番の柄物、トレンドを意識した光沢感あるストライプも入ってます。また、某欧州メゾンに輸出しているsuper140’sの美しい服地も含まれています。

クオリティの高さに加え、ユーロ高燃料高のおり、価格というのも国産服地の大きなメリットでして、
大半の生地がスーツで7万円台後半、というバジェット・プライスが実現できました。
また、今までは割高感があり積極的にお薦めしていなかったスラックスのオーダーも、今後は力を入れていきます。スラックスのオーダー仕上がり価格は\29,400~です。


春夏のスーツ・キャンペーン。葛利毛織にスポットを当てます。

「葛利(くずり)毛織」の名を知っている方は、今はまだ少ないと思います。
でもきっとあと二年も経つと、ああ、これがあのとき野沢が言ってた服地屋さんかぁ、と、
その知名度は上がってくるはずです。
そのくらい、今我々の業界では注目度の高いところだと言えます。

愛知県一宮市の木曽川近くにある、大正元年創業の毛織物ファクトリー、葛利毛織。
ここの何がすごいのか、と言うと、すべてが「ションヘル織機」なのです。
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で、ションヘル織機の説明です。手元にある解説をそのまま書き写しますと、
「ションヘル織機とは、1960~70年代に活躍し、現代の高速織機には出せない意匠性を出すことが出来ます。ただ現代の織機の4分の1というスピードしか出ないので生産性に欠けますが、その昔ながらの風合いの生地や目の詰まった腰の強い生地は多くのファンを魅了しています。」とあります。
(その大きな音からそのまま「ガチャンコ」との愛称で呼ばれることもあるようです。)

どっかで似たような説明を聞いたことありません?
デニムやシャツ生地などの綿織布における「シャトル織機」(セルビッヂ(耳)付きの生地で知られていますね)や、
編み生地における「吊り編み機」(当店で言えばフィル・メランジェですね)、
この説明と同じです。
そして、その共通点は、どれも日本に残った旧式の機械、ということです。
そして、ゆっくりとしたスピード、打ち込みはしっかりとしているのに空気を一緒に織り込んだようなふっくら感…、というのも同じです。

今回は、葛利の服地から5つの柄を用意しました。
すべてストライプ柄で、ウール77%キッドモヘア21%ポリエステル2%。(一番下の柄のみウール100%)の夏物らしい素材です。

価格ですが、いくら貴重なションヘルの服地だとは言え、
国産服地ですので、そんなべらぼうな生地値ではありません。
シングルスーツ上下のオーダーで、メンズ\79,800~、レディス\72,450~、です。
この価格は、キャンペーン特別価格ですので、5月11日(日)までの限定有効価格とします。