入荷速報。ナイジェル・ケーボン、半分ずっこモノ、その4。野戦病院の傷病兵がはおるホスピタルジャケット、織り地と編み地が半々に。

いきなりですが、織り生地(weave)と編み生地(knit)の違い、ってお分かりでしょうか。

織りの物は経(たて)糸と緯(よこ)糸の2本の糸を使い面にします。
対して編みの物は一本の糸を往復させて絡ませて面にしていくものです。

ですので同じ糸を使っても織り生地と編み生地とでは手法が違うので
同じような風合いに仕上げることはかなり困難なことで、

例えばコンビネーション物をデザインするにしても、
織物同士、または編物同士で組織を変えたりしてコンビを考えるのが普通のやり方です。

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ところが、です。そこが普通じゃないのがナイジェル・ケーボンでして、
このジャケット、同じ糸を使いながら、

片やローデンクロスという織り生地、
こなたラッセルニットという編み生地、の

半分ずっこ、になっているというシロモノであります。

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ただし同じ色の同じ糸なので、パッと見は普通の単色ジャケットに見える、というのがミソ。
着込んでいくうちにそれぞれが違う経年変化をおこすので、
だんだんと二つの生地が区別のつくように見えてくるはずです。

さて、よく見て下さい。
前身頃も後ろ身頃もそして両方の袖も、
ついでに腰のポケットも、
見事に左右の生地が異なっているのですが、不思議に違和感がありません。

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デザインはホスピタルジャケットと呼ばれているもので、
野戦病院などの傷病兵が外出の際に寝間着の上に羽織るようにと考案されたモノ。

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オリジナルはかなり強いブルーだったそうで、
防寒だけでなく、脱走防止の意味もあったようです。

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入院兵が入れ代わり立ち代わり交互に着たり脱いだりするので、
ややゆったり目の作りでデザインも極めてシンプルなものになっています。
裏地もなく、また生地自体も多少の伸縮性があるので、
ニットジャケットのようなふんわりとした着心地です。

メンテナンスのしやすさを考えたのでしょうか、
前ボタンは取り外せる仕様になっています。

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陸軍=アーミーと海軍=ネイビーの2色。価格69,120円(税込)。


入荷速報。ナイジェル・ケーボン、半分ずっこモノその3は、ガンジーセーター。まえうしろ両面着られます。

私、「アイルランド/アランセーターの伝説」の著者ですので、
ちょっと偉そうに言ってしまいますと、
アランセーターの発祥は、1910年ごろにそのころすでにポピュラーだった
ガンジーセーターをベースにして、
アラン諸島の女性の独自の感性とスキルによって
より装飾性が加味されて進化したたものです。
ですので初期のアランセーターの中には、
ガンジーセーターのように上半身にしかなわ編み模様の柄が入っていない、
ガンジーからアランへの過渡期を示唆するようなセーターも散見されています。

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多分ナイジェルもそういう古いセーターを何枚か資料として見ているんでしょう。
そして、二つの柄の違うガンジーセーターを前と後ろでつないでしまったんです。

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だから、前&後ろで、どっちでも着られる両A面なんですが、
背中のポケットに手を入れる奴はいないと思うので、
一応ポケットのある方を表と考えましょう。

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本来ガンジーセーターは紺なのですが、
その後アランセーターに昇華してから白が加わりました。
なので白と紺の2色です。価格31,320円(税込)。


入荷速報。ナイジェル・ケーボン、半分ずっこモノその2。二大定番シャツをミックスするとはなんという芸当でしょう。

半分ずっこのその2は、シャツです。

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ナイジェル・ケーボンの二大定番シャツ、
オックスフォードのブリティッシュ・オフィサーズシャツ、と、
シャンブレイのエベレストメディカルシャツ、
この二つを大胆にも左右で分割して、半分ずっこしてしまうという、
なんという芸当でしょう。

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これもまた作るにはかなり面倒な苦労があったろうと想像できます、
遊びも真剣にやるのです。

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色は、インディゴとエクリュの2色。価格25,920円(税込)。


入荷速報。ナイジェル・ケーボン、半分ずっこモノその1。トレーナ(スウェットシャツ)、二つの異なるデザインを左右で半分ずつこしました。

今シーズンのナイジェルの商品には「半分ずっこ」モノが増えていました。
なんだか隠しテーマの様でしたが、

さすがナイジェルのアイデアは他よりもちょっと卓越していまして、
半分ずっこ具合が半端じゃないのです。

多分「ユーモアは分かるけど、でもコレ私ダメ」という人も出てくるかもしれません。

これから5回にわたってその「半分ずっこ」をご紹介します。

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まずその1は、トレーナ(スウェットシャツ)です。

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2つのビンテージスウェットを左右で真っ二つに割って繋いでいます。
どちらも身頃と袖は素材切り替えをしていますが、
生地も違えば袖の付け方も違う、首前と首後ろのVガゼットは大きさも違う、
衿、裾、袖のリブも幅も長さも違っています。

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それぞれ半身だけ作って真ん中でつなぎ合わせるなんて、
何と手間の掛かる遊びなんでしょう。

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それでも、使っている糸と色はすべて統一しているので、
ぽやーと見ただけでは普通の無地のトレーナのように見えて、
とてもこんなに凝った作りをしているとは見えない、
そこがまた、いいところであります。

色は、ネイビー、グレー、エクリュの3色。価格16,200円(税込)。


入荷速報。ナイジェル・ケーボン。英国空軍(RAF)ジャケット。ショート丈のシンプルなジャンパーです。

前項のドイツ空軍と英仏海峡上で戦ったのが英国空軍Royal Air Force、通称RAFです。
で、こちらはそのRAFのフライトジャケットです。

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まあこれも「ナイジェル・ケーボン RAFジャケット」でググれば、
いろいろな解説が読めるでしょう。

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ハリのあるヘビーなポプリン素材コットン100%のシェル、
特殊なジップストッパー、二段編みの袖口リブ、
片手で操作できるサイドアジャスター、など、
細かいところの語りどころはたくさんありますが、

全体的には、こんなシンプルなジャンパーはなかなかないということであります。

狭いコックピットの中で、計器に引っ掛かるものがあってはならないので、
極力余計なものがそぎ落とされている、ミニマルの極みです。

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LYBROというのはナイジェルが復活させた英国のワークブランドですが、
このブランドを付けたアイテムについては、香港のファクトリーを使い、
値ごろ感の実現を図っています。
38,880円(税込)


入荷速報。ナイジェル・ケーボン、ジャーマン・フライトジャケット。WWⅡ当時のドイツ空軍服を元にした秋冬用のナイロンジャンパー。

「ナイジェル・ケーボン ジャーマン・フライトジャケット」

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軍機の狭いコックピットで邪魔にならないコンパクトな着丈、無駄を省いた装飾、
右胸のレザーは酸素ボンベのチューブを付けるため、
袖のジッパーは操縦桿を握ったままで開閉できる仕掛け、
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首のストラップで防風対策、

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などということは、上記をキーワード検索するとあちこちで見てとれます。

便利な時代ですが、ナイジェルの展示会でもらう資料が元になっているので
出処が一緒なら内容もほとんど同じです。

あえて私が繰り返すこともないので、詳しくは他所に譲ることにして、
このジャケットで私が感じるのは、
これが第二次世界大戦のドイツ軍モノだということについてです。
ユダヤ系の人にはこういうことでもデリケートな思いがあるのでしょうか。

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もちろん、ナイジェル本人もそして私たちも、
ナチスを称賛する意図も戦争を肯定するつもりも全くなく、
このウェアの出来栄えだけを抽出しているにすぎないのですが、
考える人は考えたりするんだろうなあ、なんて思うのです。

66,960円(税込)