オーダー ジャケット・ベスト

ジャケットを誂える、というのは、単にスーツの上着だけを作るのとは全く違う意味を持ちます。ジャケットにはスーツではできない遊びが入れられるからです。

ジャケットの縫製は、ポケットや背ベルト、肩プリーツなど、多様なディテール仕様が得意なファクトリーも加えて、4つのファクトリーを使い分けています。

服地は季節によって様々です。カシミア、ウール、シルク、リネン、コットン……。

ジャケットには、スーツよりも季節感の反映というのが重要な要素ですし、日本に四季という素晴らしい変化があることを愉しんでもらいたいものだと思いますが、しかし同時に難しいのが、演出したい季節感と実際の気候との違いにどう対応するかということです。

つまり、実際はまだ寒いのに涼しげに演出したい、とか、暖かさを感じさせたいのに現実はまだまだ暑い、という、悩ましげな気候の時期がなんだかんだと春と秋に3ヶ月ずつ、つまり一年の半分がそういう時期になるのです。

既製服というのは季節感を強調しないと売れないので夏物と冬物の素材感の違いが極端になりがちで、このどっちつかずの気候に対応しにくい面があるのですが、オーダー服の場合、どっちつかずは割と得意なところなのです。実際の気候と見せたい季節感、ジャケットの服地選びはこの差を楽しむつもりで悩まれるといいのではないかと思います。

肩パットを省いてシャツ袖仕立ての軽量なジャケットも作ることが可能です。

おおよその価格帯ですが、国産生地で4万円代より、英国生地で5万円代より、承ります。

また、オッドベスト(単品ベスト)のオーダーも承ります。衿付きやダブルブレスト、背側も共地、など、ご要望にお応えいたします。

ベストというのは、いざ欲しいモノを探そうと思ってもなかなかどこに売ってるのかが見当たらないものです。作った方が早い、の代表アイテムかもしれません。 しかもベストは生地代がわずかで済みますので、かなり高級な素材を使ってもそれほど価格がアップしない、というメリットもあります。

ひとつデメリットも言っておかないといけません。実はベストのオーダーというのをファクトリーはあんまり歓迎していません。上着や組下と違ってベストには専用のラインがないので、ベストのオーダーが入ると上着のラインの中にベストの縫製をイレギュラーに挟み込むことになり、つまりファクトリーからするとベストは時間と手間が掛かる割には儲けが薄い、という困ったチャンなアイテムなのです。
そのバランスをとるために、ファクトリーはベストの納期をかなり長く設定します。上着や組下よりも作るのが簡単そうなベストがなぜ一番納期が遅いの、という疑問はもっともなんですが、そういう事情があるのです。