出来上がり紹介。スーツ、ジャケット、トラウザーズ、シューズ、シャツ、ソックス・ホーズ。

前回から随分経ってしまいました。
スーツから。

Yさんから略礼服のご注文。葛利のカシミア5%混のおなじみの生地、一体何着この生地で礼服を作ってきたことか。
礼服の場合、どこまでちゃんと礼服にするか、反対にどこまで略式にするか、のさじ加減がお客様によって異なるので、ちゃんと聞き取りをすることが必要です。
Yさんの場合、略礼服だけどビジネススーツとして着てもおかしくない程度に、更に略して、ということなので、ステッチなし、ノーベント、裾シングルモーニングカット、は、礼服のルール通り、
でも、ラペルはノッチドラペルに、前釦は2つ、フタ付きの脇ポケ、アウト1タック、ペルトレスのように見せることもあるということで持ち出しなしのベルトループ付きにしてしかもサスペンダーボタンも付け、さらに御本人のシンボルディテールとして袖ボタンの本切羽、と、細部に神経を使いました。


Aさんから、これが人生最後のスーツだよ、というお断り付きのご注文。
何だかそういうスーツのご要望がこのところ多いんですね、手放しで喜べないのが難しいところ。
もちょっと聞き込むと、定年退職が近いので、退職の日にぴしっと体に合った新しいスーツを着たい、ということのようです。
退職は終わりではなくて次のステップへのスタート、人生の節目には新しいスーツ、
そう思うとAさんのお考え、素敵だなぁ、と思った次第。
さて、最後のスーツだから一年通して長く着るよ、と言われて私が選んだ生地は、とろふわのラグジュアリー感のある素材ではなくて、ある意味とても英国生地らしい、ハリソンズのフロンティア、硬めの素材で型崩れもなく、丈夫で長持ち、色もチャコールよりもやや明るめのダークダークグレー、杢感もある色で、これも今まで何着仕立てたかわからないほどのロングセラーのものです。

ジャケット。

Nさんから羽織るようなシャツジャケットの仕立てで、ハリスツイードを2着、というご注文。
織りラベルを付ける場所がなくてファクトリーは困ってました。


Iさんのジャケットは、英W.BillのIndigoというシリーズの生地。ウール80%リネン20%という組成なので、一応春物のカテゴリーに属するのですが、
麻混っぽくない風合い、春物っぽくない暖色の色使い、から、秋にも使える一着と捉えてこの生地をチョイスしました。
日本人は生地感について割と杓子定規なところがあって、春夏物の生地、秋冬物の生地、と区別したがりますが、確かにこのように柔軟に考えて生地選びをすることも大切だなぁ、と思います。


別のIさんから、英ハリソンズのSeaShellでジャケット。
シワにならない麻、としておなじみの素材となりましたね。
このメランジの色、いいでしょ、セピアグレーとも言える、茶がかったグレー杢の無地、
この色だと、ボトムスにダークカラーもライトカラーも合わせられるんです。

Kさんのスーツ。ですが別に着ることも多いのでジャケット+パンツのセットアップとしてのご注文、
綿100%ベージュのシアサッカーなので、遠目には白っぽい無地に見えます。
大見返し、薄めの肩パット、イン2タック、裾ダブル、など、Kさんらしさを盛り込んでます。

トラウザーズ。
Yさん、5本。まず2本はウール。


生地はフロンティア。困ったときのフロンティア、で、使い道の多い素材です。
左はグレーに見えますが、黒とグリーンを交互に織り込んだグレンチェック。
右は細かい千鳥格子で、これも黒と茶の2色織り込みです。

この3本は色違い。国産のリネンシャンブレーでベージュ、グレー、ネイビー。
水洗いできる仕様に、というご要望でしたので、むくで仕上がったものを一度洗って縮ませた後にもう一回軽くプレスしてから裾上げしました。

夫人のCさんも綿パン。薄手のコットンツイルのキャメル色。
後ほど登場する「チノシャツ」の生地です。
ピスポケットなし、がレディスらしいですね。


4月に値上げ前の駆け込みがあったため、靴のオーダーはこの時期さっぱりでした。
Hさんが御子息の大学入学祝いにとプレゼントした一足は、古い顧客にはおなじみの当店20周年モデル、サイドエラスティックの通称「お通夜靴」、フォーマルにも使える靴べらいらずのイチオシ靴です。


これはHさんからのリペア依頼。ソールの張り替えと同時に、サイドゴアの取り換えをしました。
こういうリペアもできるんですよ。

数が多いのがシャツです。

ハードマンのリネン白無地。Uさん、衿型はホリゾンタルカッタウェイ。
麻モノなので、いつものサイズ取りよりも半回りだけ大きめに作りました。


I女史よりメールでご注文。おなじみ素材のマイクロヘリンボーンのブルー。スタンドカラーよりも更に低いバンドカラーです。


Yさん母娘でご注文。母はメンズっぽい黒いギンガムのBD。
娘は伊カンクリーニのサテンっぽいグレーの無地でふんわりした生地。
趣が全く違うのが面白かったです。


単身赴任の長いKさんですが、帰静のタイミングでシャツを注文してくれます。
左は当店で定評の人気、トーマスメイソンの濃いブルー無地ブロード。この色、ありそでない、よそにない色で、Kさんも2度目の注文です。
右は、これもロングセラー、マイクロヘリンボーンのライトグレー。先述I女史のバンドカラーと色違いです。

 
Aさん、どちらも伊カンクリーニ。ブルー刷毛目ベースのストライプと白地青線のグラフチェック。
衿型はこのところずっとスチュワート・レギュラー。開き具合と衿の大きさのバランスがいい衿型です。


レディスが二枚。
左、Iさん、カリビアンコットンシルバーラインに新たに加わったマルチストライプを選んでもらいました。ショートラウンドの衿。
右、Kさんは、ハードマンのリネン混キャンディストライプ。これも今年からの新生地です。スタンドカラーのところだけ白のクレリック。

 
Iさんの白2枚。
左は、極めてオーソドックスに、カリビアンコットンシルバーの100/2Gロイヤルオックスでホリゾンタルワイドの衿。
右の半袖は、ポロシャツのようなニット生地。糸は伊アルビニから取って国内で仕上げたメリヤス素材。ホリゾンタルワイドをボタンダウン仕様にしてます。
Iさんは製造年を暗号で刺繍で入れます。しかも身頃の下部分に白い糸で目立たぬように。Iさんのアイコンディテールですね。


左は私の注文。姫路方面旅行の折、播州織工房館で買ってきたブラウン無地のネルシャツ生地。
フタ付きのひだポケットは無地でしかできない(柄物だと柄合わせができない)デイテールなので付けてみました。衿はショートレギュラー。ワークシャツっぽいものによく合う衿型です。
右は、チノシャツのサンプル。別項ご参照ください。



最後はソックス、ホーズ。オーダー品ではないのですが、全てご注文品で店売りはないのでここに載せます。
今回5名からのご注文。上段はコットンのホーズ。
定番のクラシックリンキングのリブ無地は、左から、ブラック(2列)、ネイビー、ボルドー、チャコール。右端だけグレンチェックの平編みブラック。
下段、リネンのボールドなボーダー。インターシャコットンアーガイル5ダイア新色、細かいアーガイルは新作2色です。右端、これドリフソックスと呼ぶらしいです。

ご注文いただきありがとうございました。












 

 

 


月例エッセイ「倶樂部余話」を更新しました。

月例エッセイ「倶樂部余話」を更新しました。第439話「あきらけく、桃一バンザイ」
こちらからお読みください。

同時に、月一回のメルマガをリストに従って配信いたしました。もし届いていない方がいたら、お手数ですがこちらまでご連絡ください。
メルマガには限定情報も載っています。配信ご希望の方は、こちらから所定事項をご記載の上、お申し込みください。


入荷速報。英アラン・ペインAlan Paineの新作は16Gコットンの半袖ポロニット「ペイントンPaignton」。Ultra-lightweight high twist cottonは超軽量強撚綿糸とでも訳しましょうか。

英アラン・ペインAlan Paineからの新提案は真夏対応のコットンポロニット、もちろん洗えます。
16G Ultra-lightweight high twist cotton 100%、マダガスカル製、24,200円。
品番名のペイントンはイングランド南部沿岸の高級保養リゾート地、英国のリビエラなんだそうです。

真夏も平気、しっかり洗える、カットソーじゃなくてニットだからとっても大人、ジャケットインもよし、クールビズ大丈夫。
4色採用しました。

サックスブルーメランジ。この杢の感じはとってもいいです。

私、40”を着ました。身長164cm、体重74kg,胸囲96cm,ウェスト88cmです。ちょうどですけど、洗って縮んだらちょっと小さいかな。S-Mというところでしょうか。袖口リブのテンションは甘めで締めつけ感はほとんど無いです。

ライトグレーメランジ。メタリックなグレーじゃなくてミネラル鉱石的な柔らかいトーンの杢グレーです。袖付の減らし目もきれいでしょ。

42″を着ました。やや大きい目ですが、アラン・ペインはウォーターフィニッシュが甘く、つまり洗うと割と縮むので、最初はこのくらいのゆとりが欲しいです。M-Lというところでしょうか。
44”サイズ(L-LL)もあります。

APグリーン。APはアラン・ペインのこと、つまりブランドロゴに使われているフォレストグリーンのこと。襟のラベルを見るとおんなじ色だってわかりますね。

ネイビーです。ちゃんとした普通のネイビーです。


ウォッシャブルです。なるべく日陰で置き干し、ハンガー干しはよくカタチを整え、丈が伸びないようにしてください。
42″=107cmとの表記がありますが、実寸は1.5インチほど大きめです。先程も言ったようにアラン・ペインは少し縮むことを想定しています。

この商品、昨年8月に予約会をしまして、ご予約分は別に確保しています。フリー販売分はとても少ないので、webShopで在庫を確認のうえ、ご購入ください。






入荷速報。クリケットベストの新色入荷。英アラン・ペインAlan Paineから7Gコットン100%マダガスカル製。

アラン・ペインのクリケットベスト(チルデンベスト)です。綿100%7G、マダガスカル製。
英語ではslipoverと言います。22,000円。

今年度は予約状況が芳しくなくて、販売分もとても消極的でして、
このグレーの40″(日本サイズのMに相当)のみの販売となります。
ちなみにこの色は日本だけの展開色。ラインの色は黒ではなくて濃紺です。


アラン・ペインAlan Paineは1907年創業の英国のニットブランドですが、他社に先駆けて工場の移転を決断し、
現在のファクトリーはアフリカ南東部の巨大な島マダガスカルです。
多分時代を読むのがちょっと早すぎたんでしょう、アフリカに工場移転、というイメージの低下、あまりの価格差に、安かろう悪かろう、の先入観があり、当社もずっと敬遠していたのですが、
今となっては、英国製ニットの価格の超高騰も手伝って、アフリカ製という悪イメージも製品のできの良さで払拭してきたので採用と相成りました。


入荷速報。今年もやります。5年連続。ニッポンイチのTシャツ、と、呼んでもいいでしょう。米富繊維YONETOMIから極めつけの白Tと黒T。このすごいTシャツ、リピーターが続出してます。

(昨年書いた記事を一部だけ修正して更新しています。先行して入荷しているブレトンシャツ(無地のバスクシャツ)についてはこちらをご覧ください)

夏物で5年連続、なんて、当店初かもしれません。ニッポンイチのTシャツ、今年も届きました。

4年前に山形の米富繊維で出会いました。
白Tシャツの苦手な私がやっとたどり着いたTシャツです。もう何度も何度もガンガン着ました。
5年目ですので、だいぶ行き渡ったはずですが、複数枚欲しいとか、色違いも、とか、というリピーター需要も多くあるので、少しだけ仕入れました。ご予約の方の分は別に確保してあります。


ちゃんとした解説は今回も後ほど載せますが、
ともかく、今年もだまされたと思って買ってください。私を信じてくれるなら。
以下は昨年と同じ内容です。


透けない、くたらない、ガンガン洗って変化しない。
湿度の高い真夏日に一日着てましたが、通気性吸湿性も抜群、快適です。丸胴です。

価格は7,480円(6,800円+税)
サイズはUNISEXで 1 2 3 4の4サイズ
1|着丈68cm 身幅50cm 肩幅46cm 袖丈19cm (メンズS・レディスM相当) 
2|着丈70cm 身幅53cm 肩幅48cm 袖丈20cm (メンズM相当)
3|着丈73cm 身幅56cm 肩幅50cm 袖丈21cm (メンズL相当)
4|着丈76cm 身幅59cm 肩幅52cm 袖丈22cm (メンズLL 相当)ただし今年は仕入れていません。


私(身長165cm胸囲96cmウエスト86cm)は2を着ています。
女性モデルは1です。

webShopでは販売不可なので、予約や配送のご希望はメールかお電話で。便宜をお図りします。
info@savilerowclub.com  
0542520231

さて、「続きを読む」 詳しい解説です。
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出張報告です。

 
 
 
 
 
 
 
 
 
福岡の講演は予定を1時間以上オーバーして3時間弱も喋ってしまいました。本を書いて20年経ったので、その後の20年の話を入れたくてつい盛り込み過ぎました。 30人の聴講の皆様、ありがとうございました。
 
 
翌日は雷雨の中、下関をチャリで回りました。

かつて捕鯨で栄えた駅周辺の階段路地の迷路、

国際旅客港の玄関口の顔を持つ唐戸、

毛利の佇まいそのままの厳格な武家の城下町の長府、

それぞれの距離はそんなに離れてないのに、趣の異なる3箇所、下関は面白い町です。

駅でレンタサイクルにまたがった途端に豪雨が振り始め、
観光が終わる頃にやっと止んだのに、
その雨雲を新幹線で追っかけてしまい、静岡駅でマイカー(チャリです)で帰宅しようとしたらまた雷雨にやられる、という、散々なずぶ濡れ。
一体どこまで私は雨男なんだ。