出来上がり! 紹介。この2ヶ月強の「誂える」の仕上がり品です。前半はクロージングを。

秋の2ヶ月間、なので、「揃える」の方の仕入れと販売に精力を傾けていて、
なかなか出来上がり! 紹介ができませんでした。
今回はまずはスーツから。

Kさんからのオーダーは、スリーピース&スペアパンツ、の4点セット。制作は那須夢工房。
このヘリンボーンストライプは見覚えのある方も多いんじゃないでしょうか。
はい、野澤屋100周年のときに別注したシルクウールのダブルクロス、です。
当店が別注したのは紺でしたが、実は葛利毛織さんの持ち生地として色違いの黒も織っていたのです。
その生地が葛利さんにまだ在庫にあったので、ピックアップしました。
このKさん、前回の出来上がり! で紹介した「倅に成人式の背広を誂えてくれ」と注文したお父上ご本人。
息子のスーツ生地を選んでいるうちに自分も作りたくなっちゃった、ということのようでした。
こういうの、落語だかことわざだかであったような。ミイラ取りが…、でしたっけ。


元ラガーマンで金融機関お勤めのSさんから、略礼服、それも一番地味に仕上げて、
というご注文。生地は葛利毛織のカシミア5%混、10マンスの定評フォーマル素材。
これ、ハンガーに普通に掛けてあって、ディテールもフォーマルにしすぎず、
いい意味で実に普通のスーツなんですが、
ここに、さすがアルデックス、という大きな特徴が現れているんです。おわかりでしょうか。
腕、です。左右対称にねじれたようなシワが出てますよね。体格のいいSさんですので、余計にそれが顕著に出ています。
もしこれが既製服だとして売り場に陳列されていたら、どうでしょうか、
「何だこのスーツ、腕に大きなシワが出てるぞ、仕立てが悪いんじゃないのか」と思われるかもしれませんね。そう言われるのを恐れてか、既製服ではここまで腕を前に振る仕立てはできないんです。
ハンガー映え重視、と言ったところでしょうか。
はい、人の腕は自然に前に振れていて、しかも腕というのは先細りにできています。
それに見事に対応した高い技術で作られている腕まわり、が、この写真から見て取れるのですね。
もちろん人間の体が中に入ればこのシワは消えてなくなります。
この腕の作り、アルデックスのウリのひとつですね。
オーダースーツはハンガー映えを考えなくていいので、
持てる技術を思いっきり表現できる、という一つの例であります。

ここで、Aさんのジャケット。英FOXのフラノの紺のご紹介、なんですが、
仕上がり直後に急いで送ったので、どうも写真を撮り忘れたようです。ごめんなさい。
少し明るめの紺はFOXならではの色でしたので、ご案内できずに残念です。



Yさんからのジャケット&トラウザーズ。制作はアルデックス。
ジャケットはハリスツイードのグリーン系無地。
Yさんが注文したのはジャケットだけでしたが、
その直後に奥様から内緒でそのハリスに合わせたトラウザーズを、とのオーダーが入りました。
伊カノニコのバンチにちょうどいい、茶系のハウンドトゥース(千鳥格子)があってこれに決定。
引きの写真ではなかなか素材感が伝わらないので、この生地をルーペを当てて撮ってみました。




おわかりでしょうか。特にジャケットのハリスツイードはすごい色数でしょ、見ていて飽きないです。
ついでに先述のAさんのFOXフラノ明るい紺無地も撮りました。いかがでしょう。

このルーペ、時々取り出して、お客様にも拡大画像を楽しんでもらってますが、
このルーペを紹介してくれたのがLOVAT MiLLの社長。渋谷の東急ハンズにあるよ、と教えてくれたんです。
もひとつジャケット。

Kさんのジャケット。これもアルデックス。
この生地、実は私とお揃い。英W.BillのフェニックスPhoenix。
このフェニックスの特徴は、秋冬物の色合いなのに生地がスーツ並みに薄い、ということ。
300g/m以下です。
ジャケットというのはスーツよりも更に季節感を出すことが重要なので、
冬物はより冬っぽく、夏物はより夏っぽく、というのが普通なんですが、
実際の季節の移ろいというのは、皆様実感されるように、
見せたい季節感と実際の気温とがいつも少しずつズレている、ということ、おわかりですよね。
ここにこのフェニックスのアドバンテージがあるのです。
実際私のフェニックスも出番が多く、大活躍の素材なので、Kさんにお勧めしてみたのです。
まさか色柄まで同じものを選ばれるとは思いませんでしたが。
あ、フェニックスと言っても、日大アメフト部とは無関係です、念のため。


これは「誂える」ではなくて、取り寄せ品。
鎌倉シャツさんのウールトラウザーズです。Fさんからのご依頼。
昨年と内容が変わっていないので、強くご案内はしていませんが、
引き続き取り寄せ体制はできてますので、いつでもご注文いただけます。
ウールはネイビーとチャコール。コットンはベージュとネイビーです。

長くなったので、シャツと靴は後編に。










 


45年前のジャックノザワヤです

45年前のジャックノザワヤです。

浜松のOさんが、郷土史研究の最中に中央図書館で偶然見つけた記事を送ってくれました。
中日新聞1978年(昭和53年)12月9日付。
私は当時、大学2年生の冬休みで、この店ではなく、紺屋町のパンツショップ(セヴィルロウ倶樂部の発祥の地)でアルバイト中でした。
奇しくも掲載日の12/9(日本時間)はジョン・レノンの命日。この2年後に彼は凶弾に倒れることになります。


12月なので、ゲームをします。ハーレィのVoe True Shetland、6色持とう!のキャンペーン。

Voeは6色。WhiteSheep, SilverSheep, Greysheep, Black Sheep, Moorit, Fawn(この色だけはエベレストもありにします)。1ply,2ply,4plyの3つの厚さ(薄さ)があります。
つまり掛け算すると6色x3種の糸で18種、あるわけです。これにサイズが36″–44″の5サイズです。スタイルは丸首プルオーバのひとつだけですね。

【6voe】 まずすでに6色持っている人、いらっしゃいますか? 6色撮って写真送ってください。スコットランド製のクリスマスプディングをプレゼントします。

【5voe】 5色持ってる人、6色目は4割引にします。写真とともに、ご希望のply,色、サイズ、をお伝え下さい。在庫がない場合、次年度の予約として承ります。

【4voe】4色持ってる人、5色目は2割引、です。写真とともに、ご希望のply,色、サイズ、をお伝え下さい。在庫がない場合、次年度の予約として承ります。

【3voe】3色持ってる人、4色目は15%引きです。

以上の締切は12月29日まで。1月に申告されても無効です。

ちなみに私は、エベレスト含みで4voeです。WhiteとGreyがまだありません。
今年中にどっちかは買います。

商品の記事はこちらです。


月例エッセイを更新しました。倶樂部余話【422】コンランのこと

倶樂部余話【422】コンランのこと
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生地の紹介。ツイードを中心に秋冬のジャケット生地を一覧でご案内します。

遠方の顧客から「ツイードのジャケットを考えているんですが、どんなラインナップがあるのか教えてください」という問い合わせが入りました。
かなり広範な漠然とした質問に、どう答えたものか、と、思案した結果、
いっそこれを記事にしてしまおう、ということで、
いきなりですが、こんな生地がありますよ、と、一気にまとめてご紹介することにいたしました。

バンチの表紙を一覧で撮りました。

☆ハリスツイードHarris Tweed(英スコットランド・アウター・ヘブリディーズ諸島)

泣く子も黙る?ハリスツイード(登録商標)です。
あまりにポピュラーなので、もう詳しい説明は不要でしょう。
世界の各マーチャントがそれぞれにウェイトや色柄を指示して発注するので、
マーチャントによって展開内容は異なりまして、
当店での展開は、全幅(150cm幅)のフェザーウェイト。
フェザー(羽根)級と言いながら、490gもありますが、これでも軽い方に属するわけです。
2023年はご覧の28色柄の展開です。
ジャケット参考価格69,000円((税別・以下同様)~。

SALEです

この色柄、手持ち生地が一着分だけありまして、割引価格で提供します。
ここの記述部分は売れた時点で削除します。

☆ポーター&ハーディングPorter&Harding・ハーツイストHartwist(英スコットランド・ホーウィック)

いわゆるロバットツイードです。スコットランド・ホーウィックのロバットミルLovat Millで織られています。
ここには私一度訪れたことがあります。こんなに音の大きいうるさい工場は他にないです。
なんで緑ばっかりなの?、の私の質問に、だってスコットランドの森は緑だろ。とのあっさりした答え。
そうか、この生地、森の中ではカモフラージュになるんだ、と、納得。
スコティッシュカントリーウェア、の代表選手で、ヘビーなツイードです。
当店での展開生地は560g、一番重たいのですが、ロバットの中ではこれで中ランクぐらい。
これ以上重いと現実離れ、怖いもの見たさ、の類になります、というのが私の見解です。
ジャケット参考価格87,000円~。

☆ダブル・ビルW.Bill シェトランド・ツイードShetland Tweed (英スコットランド)

W.Billは、ジャケット生地が得意なブランドで、よそにないユニークな色出しが得意です。
この生地についての情報は少なくて、はっきりは言えないのですが、
シェトランドと言っても、シェトランド諸島で織っているのではなくて、
シェトランドウールを使ってスコットランドの何処かで織られているものだと推測します。
ツイードながらソフトで軽く、ウェイトは390gです。
ジャケット参考価格73,000円~。

☆ダブル・ビルW.Bill ドニゴール・ツイード(アイルランド・ドニゴール県)

ネップと呼ばれるカラフルな色糸の混じりが特徴のドニゴール・ツイードです。
ドニゴールには最大手のマギーを始めとしていくつかのミルがあり、
W.Billがどこのミルに発注しているのかは不明ですが、
さすがW.Bill、色出しがうまいです。
ウエイトは440g。ハリスが食傷気味になっている人には最適かもしれません。
ジャケット参考価格75,000円~。

☆モロイ&サンズMolloy&Sons ドニゴール・ツイード (アイルランド・ドニゴール県)

いい意味でクセを弱めたドニゴールツイードです。
ネップもおとなしめですし、ウェイトもやや軽め、
レディスのスカートにも使えるほどの汎用性がウリの生地です。
ジャケット参考価格73,000円~。

ツイードはここまでですが、ジャケット生地として人気の高いものも一緒にご紹介します。

☆ハリソンズHarrisons of Edinburgh・ムーンビームMOONBEAM (英スコットランド)

ハリソンズのムーンビームは、通称ラムアン。
ラムズウール75%アンゴラ25%のブレンドは、カシミアタッチなブレンドとしてポピュラーな素材です。
ツイードの粗野なイメージとは異なり、ラムアンは都会的なラグジュアリー感があります。
ウェイト320g。ジャケット参考価格98,000円~。

☆ダブル・ビルW.Bill・フェニックスPhoenix (英スコットランド)

W.Billらしい上手い色出しですが、この生地の特徴はズバリ軽さ、薄さです。
290gはスーツと同じぐらいの重さしかないのです。
ジャケットというのは、スーツよりも季節感を演出するものなので、
ついついヘビーなものに気持ちが行ってしまうのですが、
この薄さのジャケットは実に重宝なんです。夏や真冬以外の8ヶ月ぐらい、出番が多いんです。
ジャケット参考価格80,000円~。


えーい、ついでだ、ジャケットにお勧め、として、あと3つ。

☆キャバリーツイルCavelryTwill (ホイップコードWhipCord)

乗馬服のイメージが強い素材ですね。いろんなところから出てきている素材ですが、
たまたま今年、伊カノニコから送ってきた総合バンチに手頃な価格で入っていたので、
これを取り上げない手はない、と思い、ここでご紹介。
440g。ジャケット参考価格65,000円~。あとトラウザーズとしてもオススメで43,000円~。

☆ライヒトフリートLeichtfried・ローデンLoden (オーストリア・チロル地方)

チロリアンジャケットとしてよく知られるローデンクロス。
ボイルド、つまり熱湯で茹でて茹でて縮ませてフェルト化させている織布です。
おなじみのローデングリーンの他、フラノに似た色合いのものもありますが、
フェルトなのでフラノほどの毛羽立ち感もなく、
また、見た目よりもずっと軽く仕上がるのも人気です。何しろ360gしかないんですから。
ジャケット参考価格69,000円~。

☆フォックスのフラノ Fox Brothers.Classic Flannel (英イングランド)

フランネル。我が国では、綿だとネルと言われるのに、ウールだとフラノと略される、不思議な言葉。
フラノといえば、これまた泣く子も黙る?、フォックスのフラノです。
私、思うに、特に、上から3つのグレーの杢の色出しは絶対に他所では出せない、
冷たさのないミネラルな色合い、ではないかと。
写真は370gのもの。ジャケット参考価格103,000円~。

ふうっ、泣く子も黙るで始め、再び泣く子も黙るで締めました。

こんな感じで原稿書きました。