糸偏雑筆【5】サイズのあれこれ (2025年11月17日)

 サイズの話です。
 英国モノのサイズ、セーターやスラックス、シャツなどの表記です。セーターだと・・38.40.42.44.・・とか、スラックスも・・30.32.34.・・と偶数ですし、ドレスシャツには16.5–34、などと、首周りと裄(ゆき)丈(肩巾の半分+袖)が書かれてますね。この数字の単位は何でしょうか。
これはこ存じの方も多いことでしょう。はい、インチinchですね。1インチは約2.54cmですので、セーターの40は約102cm、これが胸囲の仕上がり寸法です。
スラックスも同様に32だとウエスト81cm上がりです。ブランドにもよりますが、英国系のものはほぼ正確に表記通りの寸法に仕上がっているところが多くて、かなり信頼できるサイズ表記だといえます。
シャツの16.5—34は、首が42cmで裄が86cmということになりますね。
手編みのアランセーターは着丈も袖丈も仕上がりが一つ一つまちまちなので、私が1枚ずつ胸囲のサイズを平置きで実測して、48cmなら2倍して38”、56cm(x2で112cm)なら44”と、胸囲の仕上がり寸法だけを頼りにサイズ分けしてます。インチなんだよという意味で、数字の後ろに「”」印をつけるように心掛けています。

 それでは、イタリアのジャケットなどに使われている、・・・44.46.48.50.52.・・・というサイズ、この数字は何を意味しているのでしょう。これ、長いこと私も疑問でしたが、2倍すると胸囲の寸法(cm)になる、というのが答えです。つまり48だと倍して96だから胸囲96cmです,。
じゃ英国式とおんなじように考えればいいのね、というとこれがぜんぜん違うんです。96cmは仕上がり寸法じゃなくて着る人のヌードの寸法なんです。つまり、胸囲が96cm(半身で48)の体格の人は48というサイズが適してますよ、ということを意味しているんです。だからブランドによっても流行によっても仕上がりの寸法はまちまちなんです。
これ、上着だとまだわかりやすいのですが、スラックスになるともう大変。私、最初はヒップのサイズから割り出すものなのかなと思ったんですが、そうじゃない。例えば、46の上着を着るような体型の人が履くスラックスの大きさを46と表わそう、みたいな感じで、もうかなりあやふや。

 洋服を工業製品として厳格に捉える英国的思想と、ファッションは芸術作品だからと感性を重視するイタリアの発想、私はどちらも正しいと思います。ただ、イタリア式の場合には、着る本人が自分の体型を自分で正確に把握していることが大前提です。身長、体重だけじゃだめですよ。最低でも、胸囲、ウエスト、首回り、シャツの裄丈、靴のサイズ、は覚えておきましょう。

 靴のサイズ、これがまた、大変で、いくら調べてもその根拠がわからないのです。英国式はやはりインチだろという人がいるんですが、じゃ、7.5という靴のどこを測ったら7.5インチつまり19cmなのか、誰も答えてくれないんです。英国とアメリカで半サイズずれる理由もわかりません。それに靴は長さだけでなく幅も重要な要素なんですが、これも統一した基準がないみたいです。ですので、もう単純に暗記するしかないんです。下の表で自分のサイズを覚えてください。あくまでも目安ですよ。誰かこれらの数字の根拠をご存じの方がいたら教えて欲しいです。

さて、話として面白いのはここまでなんですが、日本の背広屋として避けて通れないサイズの話として、JIS規格の三元表示のことに触れないわけにはいかないので、しばらくお付き合いください。
 A5とかYA7とかAB4とか、聞いたこと、ありますよね。Y.A.B.E.というのは、字をよく見てください、はい、痩せ型から標準体、肥満体まで、を字面で表します。で身長165cmを4,170cmを5、と、5cm刻みで便宜上数字を振ります。胸囲―胴囲―身長、これを三元表示といいまして、こんな表ができます。

 こんなの覚えなくていいです。自分がどのあたりにいて、何体の何号(例えば私だとAB4です)なのか、だけは把握しておいて ください。JIS(日本工業規格)ですから、日本だけのしかも大昔に作った杓子定規なもので、この規格どおりに作っているスーツなどもはやどこにも存在しませんから、あくまで参考としてお考えください。つまらない話ですいません。

 最後に。サイズについての問い合わせはかなり多いです。アランセーターなんて1枚ずつ違うので写真だけではわからないことも多いです。ときどき、ご自分の体型サイズのことは何にも教えてくれないで、品物の仕上がり寸法を神経質なほどしつこく聞いてくる方がいらっしゃいます。私は工場長じゃなくて洋服屋ですから、寸法を測ることは答えではなく、あなたにふさわしいサイズはどれなのか、を一緒に考えるのが仕事です。
それと、服のサイズというのはこれじゃなければいけない、という絶対的なものではなく、どう着たいかでいくらでもその違いを楽しめるものだという柔軟性を持ってほしいです。自分のサイズを知ること、これはとても大切です。でもサイズに縛られてしまうのは本末転倒です。(弥)


※ニコラス・モス、クリスマス受注会。限定品も。11/30(日)まで。

初めての試みです。「クリスマス前が一番売れるんだよね」というニックの言葉がヒントになりました。
内容、価格は春の時と同じですが、今回限りのクリスマス限定品があります。


Winter Green LgMug  8,470 円(税込)(いつもののLgマグと同価格です)


リピータの方ばかりだろう、という予想なので今回は店内でのサンプル展示はいたしません。
価格表や注文票等は下記よりダウンロードできますのでご利用ください。
頼んでみようかな、という方は、どうぞ遠慮なくご連絡ください。
限定マグ一個だけでも承ります。クリスマス前には必ずお届けします。

商品の全容については本国のWEBサイトを参考にしてください。
ただし、受注できない品物も載ってますし、価格も当てにならないので、
商品を見る、ということだけにご利用ください。

本日只今から11/30(日)まで受け付けます。
期間がないのでお急ぎご検討ください。
記録を残す意味でもなるべくメールでご連絡ください。

価格表です。
2025 JPY Retail Price

オーダーフォーム(シェイプとパターンの対応表)です。
Order Form JPY 2025

限定品のWinter Greenのラージマグはこの表にないので、ご注文のメールに書き添えてください。
このオーダーフォームに記入して発注もできますが、特に形式にはこだわらないので、
メールに書き並べてるなり自由な形でご連絡いただければ結構です。


入荷速報。リズ・クリスティLiz Christyの手織りスカーフ、3種類あります。

 

☆GalwayWool 22,000円

2022年に何のコネもなかったGalway Woolと私とを橋渡ししてくれたのがリズだったんです。
(Galway Woolについてはブランド紹介をご覧ください)
で、Galway Woolを使ったアランセーターという私のプランが頓挫した後、
またリズに相談したんです。「GalwayWoolを使ったスカーフを考えてくれない?」
でいろいろやりとり。
GalwayWoolの品質の素晴らしさ、特にこのバイニン(ナチュラル・ホワイト)の色の良さと抜群の弾力を生かしたいので、GalwayWoolは絶対に染めないでそのまま使うべきだよね。でも、白無地じゃ面白くないし、Lizらしさが欲しいよね。
ということから届いたのがこのマフラーです。
warp(タテ糸)はGalwayWool Bainin100%、welt(ヨコ糸)はネップ入りのメリノウールで、白とブルーの2色を使いストライプを入れました。ということで、白主体とブルー主体の2柄の展開です。
サイズ。幅20cm。長さ170cm(+フリンジ8cmx2)。
着用写真の結び方。左は二つ折りしてループ通し。右は二重巻きしてひと結び。以下のスカーフも同様です。

☆Monet Small 29,700円

Lizの出世作にして長年のロングセラー、リズ・クリスティの代名詞ともなっているモネのスカーフ、
当店でも20年以上続けている、モネのスカーフ。
(Liz Christyについてはブランド紹介をご覧ください)
今回、サイズを小さくしてみました。価格を抑える意味もありますが、一番の理由はメンズで使いたかったからなんです。
色柄は過去最も人気の高かった2つを選びました。
warp(タテ糸)コットン糸の構成はご存知、モネの「水連」、2本とも同じです。
welt(ヨコ糸)は、手染めのブクレウールで、左がルピナス(マメ科・藤の仲間)、右がラベンダーです。
サイズ。幅20cm,長さ155cm(+フリンジ10cm x 2)。

☆Bragan 29,700円

昨年度のリピートです。詳細は昨年記事をご覧ください。
warp(タテ糸)はコットン、welt(ヨコ糸)はドネガルウール、のヘリンボーン織り。
幅21cm。長さ170cm(+フリンジ9cm x 2)。
左、パープル。右、モスグリーン。

この1月も会えなかったので、LizとJackの2ショットは今回もなしです。すいません。


 

 


入荷速報。ヨーツェンJoutsen到着です。世界最北のダウン専業カンパニーから、最強モデルの登場です。男はTUISKU、女はSIIRI。

最新作です。そして今後何年かヨーツェンを代表する品番になることでしょう。
男女あるのですが、うり二つの兄妹モデルなんです。

メンズはTUISKUという品番。Jet BlackのXSのみ。194,700円。


レディスはSIIRIと言います。同じくJet BlackのXSのみ。184,800円。

サイズや合わせ、ボタンの数が異なるのは当然として、他の違いは、レディスだけはウェストドローコードが付いていることと、内ポケットがメンズは2つ、レディスは1つ、ということです。
なので商品説明は一緒に話します。




まずこのシェルの素材がすごい。

生地の裏が白いんです。写真の上の生地です。これ、二層構造になっていて、
ポリエステルの表生地にTPU(熱可塑性ポリウレタン)の樹脂をコーディングしてます。
TPUは専門的に説明すると長くなるのでやめますが、
「優れた防水浸透風防性、ソフトタッチ、強い耐摩耗性、低温耐性」を持つ樹脂で、
通常はプロユースのアウトドアウェアに使われる特殊素材ものです。
どこのなに、という素性を明かすことができないのが残念なんですが、アジア某国製の生地。
そして、OEKO-TEX STANDARD 100の認証を取っています。
OEKO-TEX(エコテックス)はスイスに本部を置く機関でエコロジカル素材の判定に世界一厳しい基準を持つところです。

で、この黒の色。従来の光沢のあるオニキス・ブラック(写真の下の生地)ではなくて、艶消しのジェット・ブラックです。ググったらこう出てきました。
「jet black」(ジェットブラック)は、漆黒、真っ黒を意味する言葉です。非常に濃く、純粋な黒を表し、色の名前は古代エジプトでも使われていたジェット(黒玉)という宝石に由来します。
※色としての意味: 非常に濃い黒色で、漆黒とも言われます。ファッションや製品の分野で、深みのある黒を表現するために使われます。
※由来: 化石化した木材が地中深くで高圧・高温にさらされてできる「ジェット」という宝石の色に由来しています。磨くと光沢のある深い黒になります。
※象徴: ハイエンドなファッション、贅沢、洗練、そして力強さ、神秘性、自信などを象徴することがあります。

(身長164cm)

シルエット、デザイン、ディテール、全て、文句のつけようのないパーフェクトな仕上がり。北欧らしい無理無駄のないシンプルなものです。数年前にモデリストを変えて以来、腕周りがスッキリかつ立体的な曲線ラインになり、二の腕がもたつきません。男女ほぼ同じスタイルですが、レディスだけにはウェストドローコードを配して、くびれを調整できます。

(身長156cm)

と、ここまでは私独自の解説。以下は、ヨーツェンからの説明を自動翻訳します。

☆Tuiskuは寒い冬の日のためのメンズ・キルティング・ダウン・パーカー・コート。 ゆったりとした男らしいデザイン。 2方向からアクセスできるパッチポケット、取り外し可能なストームフード、大きな内ポケットなど、機能的なディテールが満載。 目立つメタルのプレススタッズと新しい刺繍ロゴが躍動感を与えている。 トゥイスクはダウンを内側に保ち、優れた透湿性と防水性を可能にするアウトドア用のテクニカル素材を使用しています。
–XSのサイズ コート丈88cm、チェスト60cm,裾幅59cm,肩幅55cm、袖丈64cm。日本での大きめのMに相当します。展開最小サイズです。
– ダウン 281 g|L - コート重量 1490 g|L
– ストレートでリラックスしたマスキュリン・ダウンパーカ・コート
– フロントにジッパーとフラップ付きパッチポケット、内ポケット2つ。
– ストームブリム付きフードは取り外し可能。
– フロントのジッパーはオーバーレイの下にあり、プレススタッズ付き。
– ややワイドな袖、ストレートカフス、内側にリブ。
– 裾にドローストリング

☆Siiriは、冬のデイリーユースに最適なモダンなキルティング・ダウン・パーカー・コート。 丸みを帯びた暖かみのあるデザイン、ゆったりとしたパッチポケット、目立つ金属製のプレススタッズ、新しい刺繍ロゴが新鮮な印象を与えます。 取り外し可能なストームフードは、機能的でリラックスできるデザインです。 Siiriはダウンを内側に保持し、優れた透湿性と防水性を可能にするアウトドア用のテクニカル素材を使用しています。
– XSのサイズ。コート丈88cm、チェスト58cm,裾幅61cm,肩幅43cm、袖丈67cm。日本での大きめのMに相当します。展開最小サイズです。
– ダウン 236 g|M – コート重量 1310 g|M
– ストレート&リラックス・ダウン・パーカー・コート
– ウエストにドローストリング
– フロントにジッパー付きパッチポケット、内ポケット2つ。
– ストームブリム付きフード(取り外し可能)
– フロントジッパーは2ウェイ、プレススタッド付き。
– ワイドスリーブ、袖口はストレート。
– 裾にドローストリング


中身のダウンのこと、独自特許の洗浄システムなどについては、言わずもがな、でしょうから、今回は省略しました。詳しくはブランド解説をお読みください。私の工場探訪記(2005年1月。-17℃!)もあります。

最後になりましたが、設定価格です。かなり高価ですし、計画生産で締め切りも早いので、ヨーツェンを展開できる販売店がほとんどなくなってしまいました。当店は直輸入のメリットを活かして、なるべく現地での販売価格に近い値段で提供したいと心がけていて、取扱店がないことからなんの気兼ねもなく独自の価格付けができるようになりました。
今回の2品番も、普通の値付けをすれば25万はくだらない価格となるところですが、税込でも20万を切りたい、という当初の希望をなんとか叶えることができました。
それでもいい値段であることには変わりないので、在庫はとても少ないです。XSはアジアでしか売れないので、現地のストックも期待できません。取り寄せはまず難しいでしょうから、在庫がなくなってしまったあとは来年のご予約を承ることにいたします。これだけの品物ですので、1年待っても価値はあります。といっても予約の締め切りは例年通り1月末、ですのでご注意ください。

最後に、ライトアップLUSCとの発注のお手伝いは例年通りやってますが、今年は一件だけ、仲間卸をしています。熊本の農歩屋(のっぽや)というお店です。卸売には消極的な当店ですが、同業者としてお店の姿勢にほだされまして協力しました。


出来上がり紹介の続きです。

出来上がり紹介、続きます。


Kさんから甥っ子Mさんに就職祝いにオーダー靴のプレゼント。
最もオーソドックスな一文字(キャップトゥ)でスワンネックステッチ入りのES02。
中底に漢字でフルネームが刺繍してありまして、真上からの撮影が憚られました。
紐が通ってないのは、紗乃織の蝋引き紐を付けるため、デフォルトの紐を通さないで納品させたためです。


注文靴ではなく、これは取り寄せ品。Hさんから宮城興業のSt.Relaxの客注です。
この靴、実は私が自転車通勤用に毎日のように履いている愛用品と同じカタチのものです。

シャツです。


ここからはシャツのエコノミーサービスの仕上がり品です。

Iさん、四つ葉のクローバー2枚に赤唐辛子の3枚口。

Kさん、濃いめのブルーのブロード無地と、スレーキストライプの2枚口。

Nさん、ブルーの刷毛目ストライプ、ピンOXの白無地はBD,シルキータッチの白キナリとブルーのロンストはnewセミワイド、の4枚口。

Kさん、白2枚。ツイルとピンOX。写真で違いがわかりますか。

Mさん、白とブルーの夏っぽいマルチストライプ・ブロードとオックス素材のタッタソール・黒xブルー。

Mさん、クレリックのタプカラーは久しぶりのご注文。ポケットの下あたりにイニシャル刺繍入り。


Mさん。生成りベースのストライプやドビーストの白やブルーなど。
衿型やボタンの色で様々に変化をつけました。

Nさんもカジュアル主体。ベージュ無地のツイルと濃紺のキャンディストライプ、
色ボタンや猫目ボタンで、変化をつけました。


京都からテレビ電話で注文のHさん、4枚口。白、ブルーはいいとして、
チェックの2枚は、丸く並べた写真の「何時の方向のピンク」とか「いやそれじゃなくてその隣の…」
なんて話しながら楽しく決めました。

Hさん、白とブルーの無地ピンOX 。こういう全く普通のおんなじ2枚口、というのは、案外少ないんですね。

レディスIさん。細かいドビーストライプで白とブルー。衿型やボタンで違いを付けてます。
Iさん4枚口。白2枚とチェック2枚は用途が違うので、着丈も衿型も異なりまして、
色々遊んで変化をつけています。


これは私。ずっと前から気になっていたマルチストライプなんですが、
何年も続けて入荷してきたのでよほど売れないのかとちょっと可哀想になって私が引き取りました。

ここからは職域オーダー会、某金融機関某支店の会議室を一日お借りしました。
今年で11年目になります。始めた頃は白無地のオーダーばかりでしたが、クールビズ、コロナ、を経て、中身も随分変わりました。
ざっとのご紹介になります。

メンズと

レディス。

このエコノミーの仕上がりが9月に届いて、これで春夏物の一区切りとなります。

写真の写りが悪かったり、急ぎの送りやお渡しで写真を撮り忘れたものもあったりして、
すべての仕上がり品を紹介することができません。
「わたしのが紹介されてないじゃん」と、お怒りの方もいるかも知れませんが、
どうかご了承ください。


秋冬物の出来上がり紹介はまたいずれ。