今回は、糸偏雑筆の場を借りて、オーダーシューズのリニュアルについてお話します。22年振りの一大変革で、通常の新着情報では説明し切れない内容ですので、このようなカタチを取りました。
本題に入る前に2つほど前置きです。当社の注文靴が2004年以来宮城興業(山形県南陽市)のカスタムオーダーのシステムと提携をしていることは言うまでもないこと(導入の経緯につきましては倶樂部余話【187】参照」)ですが、その販売方法については、各販売店が独自に考えることになりまして、その責任の証としてジャックノザワヤの注文靴には当社ブランドSavileRowClubを刻印しています。ですので、今回のリニュアルに関しても当社だけのお知らせ事項でして、宮城興業からのお知らせでもなければ、宮城興業のカスタムオーダーを扱う他のお店も全部そういう変更になるということでもありません。もちろん今回は宮城興業自体の大きな変革が契機であることは間違いないことで、それについては他のお店からもいろいろな表現で説明がなされることでしょうが、ここで申し上げるのはあくまでもジャックノザワヤとしての表現ですので、何卒ご理解くださいますようお願いいたします。
付随して、このお知らせは、ジャックノザワヤの顧客を対象として発信しています。顧客の中にはプロ顔負けの詳しい専門知識をお持ちの方もいらっしゃいますが、ほとんどの方はいわば普通の素人の皆様です。ですので当社の今までの注文靴のやり方をある程度ご存知であるということは前提としつつも、なるべく平易で簡潔な表現で説明しますので、詳しい方には物足りなさを感じるかもしれませんが、どうかご理解願います。
さていよいよ本題です。まず最初の一大事。作りが格段にグレードアップします。特に足の後ろ半分、かかと側のほうが大きく改善されます。かかと内部の材料に特殊な革素材(床革(とこがわ))を使用することで履く人の足型に応じて応変してフィットするという手法を採ります。これを「床(とこ)カウンター」と言います。これを説明すると長くなるので説明を省きますので、興味のある方は調べてみてください。それから、くるぶしが当たる、とか隙間が空く、というクレームも目立っていたので、くるぶし部分を下げて履き口を縦長にシャンとさせたりという調整をミリ単位でしています。もう一つ、この仕様にしますと、女性への対応が従来よりもしやすくなる、という副効果もあります。
靴の場合、中身が全く見えませんし、どれだけ改良されたのかは、結局のところ履いてみなけりゃわからない、という要素が強いのですが、宮城興業の最初の研修生にして若き新社長、荒井さんの言うことには、カスタムオーダーの分野で日本一を目指す、と、宣言しているので、この22年間の付き合いからその言葉にウソはないと確信し、この新仕様をぜひ実感してもらいたいと希望します。
次にデザインについてです。まずラスト(木型)について。SQ(スクエアトゥ)とES(エッグトゥ=ラウンドトゥ)、そしてMD(宮城デン=オブリーグトゥ)、の3つに統一。今までのCS(チゼルトゥ)は廃番になります。(デザイン一覧はこちらのリンクからご覧ください) 最新カタログ
まずSQとESについて。ESは22年前のスタート時から継続しているおなじみのラストですが今回からすべて新仕様にグレードアップします。SQは2025年から始まった新仕様による新ラストで、わかりやすく言うと、英国ノーザンプトンに代表されるEグリーンやチャーチやC&Jなどの各ブランドに通じるとても英国的なスクエアトゥのラストです。そして、ここ大事、SQとESは相互乗り入れが可能です。足長(捨て寸)もほぼ同じです。SQ/ESには全く新しいデザインもありますし、また従来のESの型紙を修正したりしながら、展開品番を急いで増やしています。7月のスタート時点では一部間に合わないデザインがありますが、それについては準備が整い次第スタートとなります。なお、この新体制に伴い、従来のCS(ロングノーズのチゼルトゥ)は廃番となります。(どうしてもCSが欲しいというリピータの方のためにしばらくは旧仕様のままで受注を承ります)
それと、ソール(底材)について。今までは革底を標準仕様にとしてきましたが、今回から、タフスタッズという宮城興業が開発したプラスティックラバーのソールを標準とし、革底仕様はオプションとします。日本の気候や歩道事情、耐久性、を鑑み、現実的な対応をすることにしました。これはSQ/ESだけでなくMDも同様です。
そのMDですが、こちらも新仕様にグレードアップし、新デザインも加わります。オールデンのドレスシューズをリスペクトすることから始まったMDシリーズですが、今後はRedWingやDannerなどを意識したワークテーストへもその範疇を広げていきます。チロリアンシューズやサイドゴアブーツ、発泡ラバーのホワイトソールなど新提案が目白押しです。
最後に価格について、です。2年前の大幅な値上げの際に、価格体系も複雑になっていましたが、これも見直します。これは私の考えですが、いくら仕様が良くなったからと言っても、やっぱり価格設定は大切なんです。当店としてはなんとか4万円台を維持したい、ということで、基本価格を49,800円(税別)に設定します。デザインによって、あるいは追加仕様については、追加オプションで対応します。
以上の内容を11ページのカタログにまとめました。ただしまだまだ制作途中ですので、完成版ではありません。こちらでご覧ください。
なお品番中にA,B,C,の文字がありますがそれがその品番のカテゴリーになり価格に呼応します。
最新カタログ
この新体制は2026年7月16日からスタートします。新しいサンプルも届きます。そしてスタートキャンペーンとして先着20足ぐらいには何らかの特典を考えています。どうぞ開始時までじっくりとご検討いただいて、新しい一足をご注文ください。
新しくなる「靴を作ろう!!」にどうぞご期待ください。
ジャックノザワヤ
野沢弥一郎