アランセーターは1930年代にアラン諸島イニシモア島に住むボストン帰りの名ニッター、
マーガレット・ディレインが、
その原型を作り上げたものです。(詳しくは拙著をお読み下さい)
彼女が創り出したのはアランセーターだけではありませんでした。
その昔からアラン諸島の男性が腰に巻いていた、
指編みでカラフルに編み上げるクリスというベルト、
このクリスベルトを応用してユニークな帽子を考案したのです。
帽子のボディはこのベルトを輪状にしたもので、
そこに編み棒で編んだニットを付け足し、
飾りにかぎ棒でクロシェ編みのフリンジを取り付けました。
指編み、棒編み、カギ編み、の三種の編み方が一体となった、
三位一体(トリニティ)なクラフトが、クリス・ハットです。
今もこれを作れるのは島でもごくわずかで、
現地の島ではほぼ入手不能、
唯一ダブリンのクレオでのみ販売されています。
十数個しかなかった在庫のうち少しだけ譲ってもらって、
トランクに詰めて持ち帰りました。
9,660 。