秋冬のスーツ・ジャケット生地、新作のご紹介~その3. 葛利毛織。欧州のメゾンブランドも注目する旧式ションヘル織機のビンテージテイストはニッポンの矜持

お盆休みの直前に、久しぶりに一宮の葛利毛織さんを訪れ、
この秋冬から、取扱い生地の品番数を倍近くに増やしてもらえるようになりました。
英国でもイタリアでも織れないようなションヘル織機のビンテージな味わいのある生地を、
しかも問屋を通さずにファクトリーから店に直接販売してくれる、
ホントに葛利さんには感謝しています。

☆BASIC RANGE
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今年は特にボリュームゾーンの価格帯が非常に充実しています。
いつものようにバンチをバラしてボードに貼り付けましたら、
ご覧のとおり、3つになってしまいました。
ド定番の無地モノから、意欲的なストライプ、抑え気味のチェック柄、と豊富なバリエーション、
約100柄ありますが、これすべて均一価格です。
スーツ67,000円(税別)~。

☆☆UPPER RANGE
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二つ星のUPPER RANGEは、
super100’s, 120’s, 140’s、のコレクション(右側)と、
ダブルクロス、モヘアツイル、シルクウール(左側)。
どれも、高速織機では不可能なほどの経糸の密度で、
重厚感ある葛利ならではの風合いです。
スーツ69,000円(税別)~。

☆ジャケット、コート、ベスト、スラックス
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ネップ入りのスポーテックスタッチ、
ウールコーデュロイ、
ダブルフェイス(リバーシブル)のコート生地、
極小千鳥格子のスラックス用、など、
うまいコレクションが揃いました。
特にリバーシブルのコート生地は、
昨年自分でサンプルまで作って皆様に勧めようとしたら、
その時にはもう生地がなくなってしまい、本望を果たせなかったので、
昨年私のコートを見て、いいな、と思った方、ぜひ早めに生地だけでも押さえて下さい。
またウールコーデュロイは綿物よりも着心地が良く、色あせも少ないので、
お薦めです。
価格は写真の中の価格表をご覧ください。

 


秋冬のスーツ・ジャケット生地、新作のご紹介~その2. ハリソンズの英国製スーツ2バンチとW.Billからアイリッシュ・ドネガル・ツイード。

2016年、秋冬生地のその2は、
英国最大のマーチャント、LBDグループの2ブランドです。

まずは、赤いバンチでおなじみのハリソンズ。

☆ハリソンズ / プルミエ・クリュ(11oz/330g,super100’s & cashmere)
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当店の秋冬ハリソンズのバンチの中で一番売れているのが、
このプルミエ・クリュ。
仏語というのは意外ですが、英国らしさの中にコンテンポラリー性を採りこんでいるという思い入れなんでしょうか。
ドーメル・アマデウスの好敵手ともいえまして、
アマデウスの光沢感を苦手にする方には最適でしょう。
74色柄。
スーツ103,000円(税別)~。

☆ハリソンズ / リージェンシー(9.5–10oz/280-300g)
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3シーズン着られて適度な価格、というと、うちではフロンティアという生地コレクションを紹介してきました。
このリージェンシーはそのフロンティアの綾織り版、と言ったらいいでしょうか。
※フロンティア…280gの平織で、どちらかというと春物寄り
※リージェンシー…280gの綾織りで、どちらかというと秋物寄り。
という区別です。
今までフロンティアだけでは物足りなかった部分を
このリージェンシーで補完したいと考えています。
50色柄。
84,000円(税別)~。

次は個性的なジャケット生地を得意とするW.Billから。
☆W.Bill / IRISH DONEGALS (16oz/440g)
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今年はドネガルツイードの仕入れができなくなるかと危惧していたのですが、
救世主現る、助かったという思いのこの一群です。
ごついアイリッシュ感もさることながら、
なかなか特徴あるクセ目の色柄が入っているのがうれしいです。
24色柄。
ジャケット71,000円(税別)~。

 


秋冬のスーツ・ジャケット生地、新作のご紹介~その1. ドーメル(英国製)

2016年秋冬物の生地、新作パンチが届きました。

まずは、仏のドーメル。仏の会社ですがほとんどの生地が英国製です。
つまり英国製の品質を持ちながら、仏っぽい色気のある色柄、
というのがドーメルのウリです。
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☆アマデウス(10.5oz/310g)
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ドーメルのベストロングセラー、アマデウス約80柄。
定番の他に多くの新柄も加わりました。
仏の色気ある色柄、光沢にあふれた独特な仕上げが魅力です。
スーツ122,000円(税別)~。

☆アマデウス・ジャケッティング(9.5oz/290g)
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アマデウスの魅力を生かして、
ジャケット専用の生地コレクションを作りました。
約50柄。
秋冬品番ですが、これだけの重さ(軽さ)は珍しく、
こういう中間的な素材は、残暑や早春に使えるので、
持ってるとホントに重宝します。
ジャケット78,000円(税別)~。


春夏のコットンやリネンの生地見本が、英国製と日本製、両方同時に届きました。

春夏のコットンやリネンなどの生地見本が届いたのでご紹介します。

☆SMITH WOOLLENS/ソラーロ(英国製・毛100%)
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オリーブカーキの色をベースに赤い糸を織り込んだ玉虫色の生地。
太陽の名を称する、英国を代表する夏のウール生地です。

☆W.BILL コットンツイル(英国製・綿100%)
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今は毛織物が主体の西ヨークシャー地方も、産業革命当初は綿織物がメインでした、
という歴史を思い出させてくれる、
英国製の綿織物、
重たいものから軽いものまで数種類が混ざっています。

☆W.BILL アイリッシュ・リネン(アイルランド製・麻100%)
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やや肉厚のしっかりしたアイリッシュリネンが24色も揃いました。

☆スーピマ・コットン(日本製・綿100%)
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無地、ストレッチ、チェック、シアサッカー、カモフラージュ、と、多彩に。

☆コットンダンガリー2種(日本製・綿100%) & リネン3種(日本製・麻100%)Img_6525
コットンダンガリーは、チェックやストライプ、と、ペイズリージャカード。
リネンは、昨年も好評だったオックスシャンブレー、
レインコートにも使われるウェザークロス、
パンツにも向いているポプリン、
の3種。

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秋に、だんだん寒くなるだろう、ということは想像がつきやすいのに比べて、
春に、だんだん暑くなってくるんだ、ということは想像しにくいものでして、
ですので、どうしても春夏物のジャケットというのは注文するタイミングが遅くなってしまいがちです。
これは勧める私たちにも責任の一端はあるのですが、
だから、寒いうちから早めにお勧めし始める、ということより適した方法はないのであります。

まだまだ、その気になりにくいとは思うのですが、
2月のうちからご紹介しておくことにしました。


入荷情報。長いこと生地屋さんと付き合っていると時々出物の生地が手に入るんです。英国製ピュアカシミア紺無地やドネガルのヘビーツイードなど、一点ものの手持ち生地を紹介します。

普段の生地選びはバンチと呼ばれる見本帳から選びますが、
時々バンチにない生地が買える機会があります。
今までは店頭でのみご紹介していましたが、
せっかくだからここで記事掲載をしてみます。

☆W.Billピュアカシミア(ライトウェイト)紺無地
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今シーズンから取り扱いのスタートした英国ロンドンのマーチャントブランド「W.Bill」からの出物です。
正確なウェイトは不明ですが、カシミアのジャケット生地としては薄手に属しますので、
フラノのブレザーなどよりも軽くふわりと着られます。ジャケット参考価格94,000円(税別)。

☆W.Billドネガルツイード(ヘビーウェイト)チャコール猫足斑無地調
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同じくW.Bill から、アイルランドドネガルツイードのヘビーウェイトもの。
この手の生地は、ヘリンボーン織はよく見るのですが、
斑目の杢調な無地ライクなものはなかなか手に入らないので、現物買いしました。
参考価格、ジャケット88,000円、コート115,000円(ともに税別)。

☆Dormeruilホイップコード・ブラウン
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ドーメルはパリの会社ですが、生地はほとんどが英国製です。
キャバリーツイルとも呼ばれる綾織の生地で、
乗馬用のコートやジャケットに好んで使われます。
茶系の無地に見えますが、実はブルーやピンクなど10色ぐらいの色が織り込まれていて、
深い味わいがあります。
ジャケット参考価格89,000円(税別)。

☆Dormeruilアマデウス・ジャケッティング

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ドーメルのジャケット生地で、スーツと同じぐらいのウェイトなので、
秋も春も万能に使えるのがアマデウス・ジャケッティングです。

一般にジャケット生地はスーツ生地よりも季節感を打ち出すことが多くて、
どうしても夏はより夏っぽく、冬はより冬っぽく、という生地の多い中、
このくらいの厚さ(薄さ)のジャケット生地は意外になくて、
持ってて重宝な生地であります。

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ひとつは、ブルー系の極小千鳥格子、
もう一着は、ブラウン地に紺色使いのマイクロギンガム。
もちろんどちらも英国製です。
ジャケット参考価格89,000円(税別)。


入荷速報。冬ならではのフィルメランジェ、メリノウールダブルフェイス生地の一枚仕立てのジャケットHanns。

秋冬のフィルメランジェが好きなのは、ウール素材をやってきてくれることです。
裏毛のパーカーや吊り編みのTシャツなど、綿素材の印象が強いフィルメランジェですが、
そのモノづくりの感性をウールに転換すると、
これまた他にないうまい商品を作ってくれます。

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表地は無地に近いような細かい千鳥格子柄のメリノウール、
裏側にはフラノタッチの同色の杢無地、
これをシルク糸で表裏つないだダブルフェイス(二重織)。
素材表示にウール98%シルク2%とありますが、その2%はつなぎ糸だったんですね。

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こうしてできた一枚布を、裏地も芯地も使うことなく、はぎ合わせのテクニックで
見事にうまいシルエットのジャケットを作っています。
センターベント代わりに入れたリブの三角マチなんかグッドアイデアです。

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生地の特性を生かし、衿、裾、袖口などのエッヂは切りっぱなしにし、
前ボタンはスナップボタンを配しました。
(多分ボタンホールを付けると穴が変形するからではないか)

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品名Hanns。青系(同melange)と茶系(商品タグについている色名はwine)の2色。
よくこの値段でできたね、と思える、その価格は49,680円(税込)。