入荷速報。いよいよ発売開始です。NZ100+JN50=100周年を記念した別注生地が仕上がりました。本来はスーツ生地ですが、トラウザーズ単品やオーバーシャツ、レディスでもワンピースやドロップショルダーロングシャツに仕立てられます。

100周年事業の一つとして取り組んできたダブルクロスの別注生地が一宮の葛利毛織から届きました。

生地データ : 毛82%絹18% 376g/m 紺ストライプ織柄・ダブルクロス。愛知県一宮市葛利毛織ションヘル織機にて織布。

これについては、3月にその抑えきれない気持ちから倶樂部余話【401】で先行して触れましたが、
その原稿をベースにここでもう一度、記することにします。


3月、百年企業の先輩である葛利毛織に当社の百周年を記念する生地を織ってもらいたい、と、一宮まで相談に伺いました。

旧式のションヘル織機8台が稼働するノコギリ屋根のファクトリーで、かつて私は聞いたものでした。どうして最新の織機に買い換えないで、ションヘルを使い続けたんですか、と。社長は、設備投資するお金がなかったんだよ、と答えました。照れ隠しだったかもしれませんが、半分は本当だったと思います。
そして多分ある時期から、売上を大きく伸ばすということと違う道を選んだのでしょう。売上を伸ばさずに会社を成長させ存続させる、という決断は実はなかなかできないものです。葛谷社長に戦略家野心家という一面はひとかけらも感じません、人のいいおじいさんそのもの。しかし苦しい時期もあったはずですし悔しい思いもたくさんしてきたことでしょう。ションヘルは、新幹線の時代にSL走らせているようなものですから、手間暇はかかるし高コストにもなりますが、問屋を通さない直販体制を築いて、大量廉価販売から逃れてきました。

いつしか、たとえ同じ糸を使っても葛利でなけりゃできない生地の風合いがある、という評価を受けます。そして1912年(大正元年)の創業から110年、ションヘルが音を立てているノコギリ屋根の木造ファクトリーと母屋の敷地一帯は国の登録有形文化財の指定を受け(2020年)、同じ年に葛谷社長は旭日単光章の褒章を授かりました。もちろん更に進化することも忘れません。後継者の長男は、スーツ生地の多様性に着目し、ロリータファッションの製作者たちとコラボして、尾州ロリィタを展開、ちょっとした業界の話題になりました。

そんな百年の歴史を紐解きながら楽しく進んだ商談では、葛利毛織ならでは、の自慢の生地をたくさん見せてもらいました。葛利とは過去3回(フィナンシャルストライプ、棋士の背広、万能紺無地ジャケット)の別注実績がありますが、4度目の今回は選考基準が少し違います。葛利と野澤屋の百周年にふさわしい歴史を感じられるスーツ生地であり、なおかつ、それこそロリータじゃないけれど現代のファッションにもちゃんと通用する織布、そして葛利でなければ織れない生地でなければなりません。

 決定した生地は、通称ダブルクロス。これ、説明が難しいのですが、建物に例えて言うと、一見平屋建てのように見えるけど実は地下室もある、みたいな織物でして、昔からよく知られるダブルクロスは、ドスキンとか縞コール、つまりモーニングの生地ですね。明治から大正にかけてはモーニングの需要が多く、丈夫で長持ちでしかも着心地がいい、という英国式のダブルクロスが重宝され、葛利毛織も創業当時はダブルクロスばかり織っていたというのです。しかしダフルクロスは大変手間がかかる、6000本で済むはずの経糸(たていと)を地下室の分を加えて9000本、しかも6000本は上に3000本は下にして仕込まねばなりません。旧式のションヘルでなきゃできない生地としていつしか葛利の得意技になっていました。

ただ昨今流行りのイタリア物のようにふわふわトロトロした生地ではないため、自信はあるのにアピールしづらいという面を持っていました。
もうこれしかないでしょ、と3時間の熱い商談に結論が出ました。アーカイブの中からロリータに通用するぐらいの現代性をも兼ね備えた色柄とウェイトをチョイス、最低単位(一反弱)の発注をいたしました。

まず見本反を急いで織ってもらい、手始めに縫製テストを兼ねてレディスのビッグショルダーシャツを作りました。4月に仕上がったのでこのサンプルは見ていただいた方も多いことでしょう。

そして本注文のその生地が予定よりも早く今月仕上がり、いよいよ受注開始となった次第です。


各アイテムの価格(税込)をご案内します。

(クロージング。ML,NY,ALは各縫製ファクトリー)
メンズ・スーツ・シングル上下  ML94,600円~、NY105,600円~、AL121,000円~。
同スリーピース  ML114,400円~、NY135,300円~、AL152,900円~。
メンズ・Sジャケット ML67,100円~、NY71,500円~、AL82,500円~。
  上記ダブルブレストの場合 追加3,300円~7,700円。
トラウザーズ単品 ML41,800円~、NY46,200円~、AL48,400円~。
  レディスはALで対応し、追加 スーツ+11,000円、ジャケット+7,700円。トラウザーズ+4,400円。

(シャツファクトリー。Do-1 Sewing製)
メンズ・オーバーシャツ(シャツジャケットも)  46,200円~
レディス・ドロップショルダーシャツ 41,800円~
レディス・ワンピース 62,700円~。

色は紺の一色のみです。
写真によって色が違うように見えていますが、すべて同じ色の生地です。
紺は近寄ったり引いたりで、デジカメが勝手に明度調整をするので、リアルな色が出にくいのですが、
いわゆるよくある普通の紺色です。シルク入りなので少しだけ光沢感が出てます。
376gと数値だけ見ると重ためですが、実際には重たさは感じません。
むしろミルド(起毛)させていないことで、真冬っぽさが消えて、秋口から晩春まで幅広く着用が可能です。

現在の当社の体力から言って、こういうスーツ生地の別注ができるのもこれが最後になるかもしれないと覚悟してます。
野澤屋100周年の記念祝賀服地、どうかよろしくお願いいたします。



出来上がり紹介。続きます。

出来上がり紹介を続けます。
この紹介を参考にされている方が想定以上に多いようなので、
も少し緊張感を持ってお伝えしたほうがいいのかな、などと思うこともあります。


まずこれらはハリソンのソックスとホーズ(長靴下)。
ご注文いただいた分だけの入荷なので、まぁある意味出来上がり紹介ですよね。
上左にあるコットンの5ダイヤ・アーガイルのインターシャは全季節対応の濃いめの色柄。
右下のストライプものはリネン混の夏向き素材。
この2つは私もちゃっかり相乗りしました。


十数年ぶりにご来店のOさん。何年経っても、どんなに体型が変わっても、
やっぱりⅠ型(No.1モデル)が欲しい、ということで、フロントダーツなしのボックスシルエット。
激ヤセで着れなくなったブレザーのメタルボタンを外してこちらに付け直しました。
生地は合着のカルゼ。起毛のないテンマンス素材で、上下の同素材色違いです。


Mさんからはシャツや靴のオーダーはありましたが、スーツのオーダーは初めて。
パットの厚さやボタン位置の修正など、細かいご要望にも対応し、仕上げました。
フルステッチのオプションも久しぶりでした。
生地はバラケから選んでいただき、伊カノニコの杢なダークグレー。防シワ加工のハイテククールウールです。


Aさんからもスーツの初オーダー。これもバラケからカノニコの明るめネイビーのストライプ。
紺の色合いというのは、引いて撮るのと寄って撮るのとで、ずいぶん変わるのですが、
2つはおんなじスーツです。
少々難しいご体型なので、寸法入れに腐心しましたが、
最初のフィッティングで修正なしの一発OKをいただき、安心しました。


Sさんのジャケット。皺にならない麻、としておすすめしています、
英ハリソンズのSeaShellのオリーブグレーです。今日アルテックスから届きました。
生地入れが遅れて納期がかかってしまいました。ごめんなさい。


これは鎌倉シャツの綿パン。Fさんからの取り寄せ要望で、ようやく到着です。
普通の紺よりも明るめの色合いで、そして水洗い可、ということで、
これは持ってていいぞ、ということで、私も自分のサイズを取寄中ですが、いつになることやら。


最後は靴です。
Hさんは24cmの4Eという難しいサイズ。祝儀用に一足なにか欲しい、、ということで、
迷わず勧めたのが、当店20周年モデルとして宮城興業にも別注型として保存してもらっている
サイドゴアエラステックの短靴モデル。革底にせずタフスタッズの底をつけました。


こちらはKさんから。ブライドルレザーのダレスバッグを新調したらおそろいの靴が欲しくなった、
という、嬉しい動機で久々の再来店です。
バーガンディブラウンのキップレザー、竪琴状のアデレード型モデルをベースにウイングチップに変更して、
かっこいいフルブローグに仕上げました。

ご注文いただきました皆様、ご用命いただきありがとうございました。
どうぞ末永くご愛用ください。



イベント。シャツを作ろう!!~オプションフェア(3つ無料)。4/29(金)~5/16(月)。おなじみ、3つタダのアレです。

おなじみのアレです。
オプション3つまで無料です。
期間は、4/29(金)~5/16(月)、GWを含む週末3回、です。
シャツの生地、全品番、除外なく対象です。

どんなオプションがあるの、と、時々聞かれるので、この機会に一覧表を添付します。
本来内部資料ですが、お見せしても特に支障はないようなので、公開します。
なお、当店では扱いのないオプションも含まれていますのでご了承ください。


ほとんどのオプションが本来なら500~1,000円の追加価格ですが、
中には2,000円、3,000円もするオプションもありまして、
そう考えると、ビッグサイズ(ボディや袖)の人、ハンドステッチを入れたい人、
ポケットを増やしたい人、なんかはお得感が強いです。

それと、このオプションフェアは、オーバーシャツ(シャツジャケット)にも適用します。
オーバーシャツの場合、どうしてもポケットの追加などがかかるので、
この3つ無料は持ってる意味合いが大きいです。
夏場の簡単に羽織れるジャケットをお考えの方、
ぜひこの機会をお見逃しなく。





出来上がり紹介。百周年の葛利の見本反を使ったレディスのオーバーシャツのサンプル、オーダーシャツの仕上がり、などなど。

このあたりで、出来上がり紹介です。

まずはコレ。

これ、何かというと、レディスのサンプルです。
生地は、9月に出来上がる葛利のスーツ生地。N100+J50記念のダブルクロスのアレです。
詳しくは倶樂部余話第401話をご覧ください。
見本反ができたので、これで、レディスの新提案、ドロップショルダーシャツを作ってみました。
若干の修正点はあるものの、思っていたよりも軽くていい感じに出来上がりました。
9月に生地が仕上がったら、スーツ、トラウザーズ、メンズのオーバーシャツ、と合わせて、これも注文を承ります。
サイズの修正はもちろん、襟型も色々選べます。モデルになったうちのかみさんは襟なし(スタンドカラー)がいいみたいでした。
このサンプルはいつもおいておきますので、見たい人は是非ひと声かけてください。

で次はこれ。


これもシャツの工場で縫ってます、オーバーシャツなんですが、
こういうジャケットの襟型がシャツ工場でできるってのは画期的でして、
それで袖口もカフスを付けないで筒状に仕上げますと、
こういうジャケットが出来上がるわけです。
それでいて、価格は通常のシャツとおんなじでできる、という嬉しい話。
で、生地はというと、サマーウールのシャツ生地、しかもウォッシャブルなんです。
でイベント対象生地だったので、価格16,000円+税。えっ、と思いません?
夏用にほんとに軽く羽織れる簡単なジャケットが欲しい、というSさんのご要望にお応えしました。
せっかくなのでSさんご本人に試着してもらいました。
我ながら、良い提案ができたもんだと、えっへん、嬉しく思っています。

そう、ちょうど3000円offのイベントだったので、いい生地のシャツ仕上がりが多いですね。続けます。

高校の先生Iさん、新学期のスタートに。
左、トーマス・メイソンの濃いブルー無地のブロード。アリソデナサソなトーマス・メイソン、ですね。
右、カリビアンコットン・コールド120/2Gの新柄。超マイクロアーガイル模様のドビー織りです。
光沢感が出てますね。


Iさんのオーダーはおんなじようなのに一枚ずつ少しずつ違うという、発注者泣かせのオーダーです。
生地はすべてカリビアンコットンシルバー100/2Gの白ですが、3枚とも織り方が異なります。
で、衿型、カフス、ポケット、がこれまたそれぞれ異なります。
共通しているのは、ポケットの下の方に入るオフホワイトの数字の刺繍。ほとんど着てる人にだけしかわかんない、というストイックさ。


この方もイニシャルがIさん、東京在住の女性です。リモートでのご注文。
左2つ、衿ボタンのないバンドカラー。カリビアンコットンシルバー100/2Gで、淡グレーのマイクロヘリンボーン、と、サックスブルーのロイヤルオックス。
右はリバティプリントの新柄。こちらは衿ボタンのあるスタンドカラーです。


左は、レディスで、えっこれもIさんだな。毎年大好評のハードマンのアイリッシュリネン、今年の新色のグリーンを選んでもらいました。
右はメンズでMさん。いい糸のオックスフォードで普通のBDのシャツを、というご要望です。ポケ下に刺繍が入ってますが、個人情報の特定につながるので、画像を添えられませんでした。
このお二人は、何の関係もありません。たまたま同じ日に仕上がったので二枚を一緒に撮影したまでです。


Tさんの3枚オーダーは、先程のIさんとは違って、生地以外の仕様は3枚ともすべておんなじです。
生地もカリビアンコットンシルバー100/2Gで、ロイヤルオックスフォードの白、ツイルの白、色違いでツイルのパープル。


Sさんのご注文は、2枚で趣が異なります。
左、お仕事用に、カリビアンコットンシルバー100/2Gでのツイルでサックス。
右は、オフ用です。ハードマンのアイリッシュリネン、このサックスブルーは、定番のようですが意外にも新色です。ホリゾンタルカッタウェイの衿、着丈も短くし、裾出し時のアクセントとして、白の脇ピースもオプション付です。



こちらも2枚オーダーのMさん。2枚とも同じディテールですが、素材感が異なります。
左は、カリビアンコットンシルバー100/2Gのピケ織サックス、オーソドックスなお仕事着、というところです。
右は、多分クールビズ用なのでしょう、カリビアンコットンのゴールド120/2Gにリネン緯糸をブレンドした夏素材です。







 

 


入荷速報。お待たせしました。バラケ生地、届きました。インポートブランドのスーツやジャケットの値下げ生地のことです。

毎シーズンのお楽しみ会、みたいになっている、インポートブランドのスーツのバラケ生地、
今シーズン(2022SS)分が届きました。
写真の解像度を少し上げていますので、拡大して柄行きまでご覧いただけることと思います。

バラケ、つまり色柄揃えができずバラけてしまったものですので、在庫は少ないはずです。
御用の方はお早めのオファーをおすすめいたします。


伊エルメネジルド・ゼニア
☆☆☆…92,400円~。☆☆…85,800円~。(参考価格(シングル上下)、税込。以下同様です)


伊ロロ・ピアーナ ☆☆…85,800円~。


伊ロロ・ピアーナ ☆…78,100円~。


左端列の3つ、英ジョン・フォスター ☆☆…85,800円~。
その他、伊カノニコ ☆なし…70,400円

ね、えっ間違いじゃない、というプライス。
皆さんがバラケを待っているはずなのがとても良く理解できます。

ジャケットも少しですが入ってます。
左列、伊ロロ・ピアーナ
☆☆…61,600円~。(参考価格(シングルジャケット)、税込。以下同様)
☆…56,100円~。
右側が伊カノニコ
☆…56,100円~。☆なし…51,700円~。


入荷速報。英ハリソンズの春夏ジャケット生地インディゴINGIGOがリニュアル、新しいバンチが届きました。

ハリソンズのジャケット生地「INDIGO」が3年ぶりのリニュアルです。

今回は全29柄。おなじみの赤いバンチもこのようにとても薄いです。
メリノウール80%・リネン20%。230g(8oz)の春夏用の素材。
英国ウェスト・ヨークシャーのミルで織られています。

インディゴというから、藍染めの綿素材なのかと考えてしまいますが、
そうではなくて、ウールにリネンをブレンドして、
藍染めのような絣調の色合いを醸しているので、この名が付けられたようです。
ですので、藍染め的な色合いが多く入っています。

柄物もインディゴブルーを含んだチェックものなど数々、
無地の青系だけでもかなりの色数があります。

藍青系以外にも、英国のジャケットらしい、渋めの色合いがあります。

リネン20%ですが、意外にも麻っぽいシャリ感はあまり感じません。
おそらく触感よりも藍染的なかすれた色合いを出す目的でブレンドされているのかな、と思います。

通常設定価格は、79,000円~92,000円(税別)。
納期は約5週間。生地をその都度英国から空輸するので、普通より1週間余計に掛かります。

最後に、おまけ、です。
こういう実情をお話していいのかどうかわかりませんが、
生地屋さんによって、生地のバンチは受注の必需品ですから、
とっても大事なものなのですが、このバンチというもの、相当にコストがかかるのも事実です。
ですので、バンチの提供方法というのは生地屋さんによって色々工夫を凝らすものでして、
例えば、一冊いくらと有料にするところや、このバンチから必ず何着分はオーダーすることを確約させるところなど、問屋さんによっては、小売店に何かしらの負担を求めるところもあるのです。
そういう中ではうちの問屋さんは良心的な方でして、
新しいバンチ一冊の要望に対してまずあらかじめ最初に一着分の生地の購入が条件として付けられています。
今回のインディゴIndigoのバンチに対して、買付したのがこの生地です。

インディゴブルーの絣っぽい無地調のものです。
で、この色柄に限り、5,500円off(税込)にて承ります。
一着分2.0mだけですので、当然ですが、先着1名様限りです。
ブログ(クリップボード)を見た、とお申し出ください。